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#8 【AIがもたらす未来】 自伝文章の内容について

 少し前、将棋や囲碁のプロ棋士にAIが勝利したニュースがセンセーショナルに報道された。このAIの話題は、最近になってさらに増えている。報道を見ると、業務の効率化に貢献するようなAI製品がいくつも登場。今後ますます注目を集めていくことになるそうだ。
 また、AIの発展とあわせて雇用への影響も懸念されている。2013年の研究では、労働人口の47%が機械に取って代われるリスクがあるという予測も。AIがもたらす変化によって、皺寄せを受ける人も多いのかもしれない。
 
 そこでこの記事では、労働市場に変化が訪れようとしている今、「AIで未来はどうなるのか?」というテーマでわたしなり(自伝の執筆と保管を文化に|匿名性自伝サービス「アークカイブ」運営代表)の考えを紹介したい。あわせて、アークカイブに自伝の執筆を考えている方に向け、執筆に取り組む際の手順について簡単に触れる。

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私の信じている事


増えるAIについての報道

 ここ最近、AIに関するニュースが増えている。もちろん報道だけではない。わたしたちの生活にも明らかに入り込んできた。いつからか、ネットに繋げば、わたしたち一人一人の関心に合わせたニュースや広告が次から次へと表示されるようになった。膨大な情報の中から的確に提案が行われているみたいだ。ほかにも、スマホで撮影時の自動補正、動画編集ソフトの一部手助け、さらに文章の添削まで。これら消費者向けソフトの分野でAIの恩恵は大きくなるばかりだ。
 どうやらこの勢いはこれからも続いていき、車の自動運転技術など、AIはより幅広い分野で活躍していくことになるだろう。なお、個人的に期待しているAIの活用例を挙げると、機械の故障の事前予測がある。

他産業へのAIの利用

 このアークカイブの活動を始める前、わたしは機械系の仕事をしていた。そして機械に携わるうえで大切だったことは、故障したときの対応。これは実生活の中で考えてみても分かりやすい。読者の中にも車や家電製品が壊れ、生活が立ち行かなくなったという経験をした方もいるだろう。これは企業の工場でも同じ。故障への対処は効率的な運用を実現する上で課題の一つ。常に試行錯誤が重ねられている。
 そんなあるとき、業務を通してAIを使った機械の故障予知の研究を知る。「とんでもない時代がやってきたもんだ」と期待を膨らませた。たとえば、石油を吸い上げるため、油田の現場で地下深くに降ろされる「ESP(Electrical Submersible Pump)」と呼ばれるポンプ。このポンプの故障を事前に予測するAIの研究が、当時から成果を出していた。また、風力発電のために使用される風力タービンの故障を予測するAIについても、長いあいだ研究されているようだった。
 これらのインフラ分野では、機械が故障することで生じる損失が膨大。故障を自伝に予測することは、大掛かりな修理作業の効率化や原因究明の手助けになる。ますます研究が進む分野だ。

直近のAIの動向

 ここまでAIの可能性をいくつか見てきたが、さらに直近の話では、AIの進歩(大規模言語モデルの発展)により、その活用がよりスピーディーかつ細かな分野で進んでいくとのこと。言い換えると、これまでは膨大な研究コストに見合う巨大な市場(消費者向けソフトの分野やインフラ分野)でのAI研究が中心だったものの、これからはより小規模なビジネスにも応用されていく流れ。
 もちろん、良いことの裏には懸念も指摘されている。このことについては、スタンフォード大学の工知能研究のAndrew Ng先生の話(Youtube上のチャンネルStanford Onlineで、タンフォード大学が講義や講演が提供されている)が分かりやすかった。AIによるこれからのビジネスチャンスとあわせ、既存の高賃金の仕事がAIに取って代わられるリスクについて言及する場面があった。今後は社会のあり方について、慎重に議論する時期に来ていることを示唆している。

Andrew Ng image from wikipedia

 個人的にわかりやすく感じた説明が、AIは100年ほど前に実用化された電気のような汎用技術という例え話。100年前の人々には、「電気が世界をどう変えていくか?」なかなか想像がつかなかっただろう。しかし、今では生活のあらゆる場面に応用されている。つまり、AIによって一夜にして社会が大きく変わるということはないものの、徐々に多くの職業や産業に影響が波及していく。このようなイメージではないだろうか。

AIがもたらす変化への不安

 一旦ここまでのAIの内容について整理してみる。まず、AIは今後あらゆる分野で効率化に貢献していく汎用技術で、その影響は労働市場にも波及していく。ただし、現時点では将来について落ち着いて考える時間もあるようだ。冷静な学びと対処次第で、如何様にもなるということではないか。
 とはいえ、個人的な話をすれば・・・上手く対処していける自信はない。また、「来たる変化になかなか落ち着かない」と感じている方は私を含めて多いだろう。ようするに、AIについて簡単に見てきたところで、変化に対する不安自体は拭いきれていないのが現状。
 そこで、ここからは私の常套手段に移ろう。AIが台頭してきている現代と同じように、「過去の人々は新しい科学技術に伴う変化にどう対応したか?」その一部を見ていく。これにより、改めて確認できることも多いに違いない。

産業革命と鉄道建設

 そうと決まれば、早速だが、John Henry(ジョン・ヘンリー)という人物を見ていく。この人物は、アメリカで産業革命が起きた19世紀、黒人の労働者とされた伝説上の大男。非凡なハンマーの使い手であったことから、当時新たに登場した蒸気機関ハンマーと対決し、勝利をおさめたとされる。まさに産業革命に争った象徴のような人物といえる。「誰がモデルになった話なのか?」や、「そもそも実在した人物だったのか?」こういった話には諸説あるものの、アメリカでは広く知れ渡った存在。実際、John Henryの歌や銅像、さらにストーリーにもいくつかのバージョンがある。ちなみに、私もこの「John Henry」の絵本を手に入れたので、もう少し当時の状況を詳しく見ていく。


ウェスト・バージニア州にあるJohn Henryの銅像 image from wikipedia

John Henry 対 蒸気機関ハンマー

 ときは、アメリカで産業革命が起きた19世紀。大量の物資の輸送を行うため、米国の各地で鉄道建設が進められる。そんな重要な役割を担う鉄道だが、整備していく中で発生した問題の一つが、行手を阻む硬い岩盤。掘り進めるためには、ダイナマイトを爆発させるトンネル工事が必要だった。説明だけを聞けば、至ってシンプル。だが、その実態は過酷な重労働そのもの。肝心なダイナマイトを設置する穴を、手作業でタガネとハンマーを使ってこじ開けなければならなかった。
 そこで、絵本「John Henry」の話につながっていく。労働者に変わり、より効率的な蒸気機関ハンマーが、とあるトンネル工事現場で投入されることになる。ただし、そうなると別の問題も発生した。既存の労働者たちからすれば、これまでの仕事がなくなってしまう。
 そんな経緯もあり、現場でハンマーの一番の使い手だったJohn Henryと蒸気機関ハンマーの間でトンネル工事の競争による対決が組まれる。そして気になる勝負の行方だが、両者は死闘の末、John Henryが勝利。ただし、その代償はやはり大きかったようだ。終了直後、力尽きて亡くなってしまう。競争に勝って勝負に負けたような結末だ。
 読者のみなさんは、この話からどのようなメッセージを受け取っただろうか。
 いくつか挙げてみると、
・産業革命で登場した機械と対等に渡り合った人間の話
・資本家と労働者の対立の話
・伝統的な仕事に敬意を払いつつ、人間は変化に適応できることを示唆した話
これらの受け取り方ができ、AI時代を迎えている今、まさに学べることも多いストーリー。

もう一つのメッセージ

 なお、せっかくなので、絵本「John Henry」の話で個人的に気になった場面を一つ紹介する。それがストーリー終盤、亡くなったJohn Henryに対して周囲のみんなが言葉を掛ける場面。
 
 具体的には、
「Dying ain't important. Everybody does that. What matters is how well you do your living」
 このセンテンスを和訳すると、
「結局のところ誰しもいつか死ぬ。なので、大切なのはどのように生きたかだ。」
 
 ニュアンスによる微妙な違いはあるかもしれないが、John Henryの人生が称賛されている。実際、称賛されている通り、作中でJohn Henryは自分の強靭な身体能力を、蒸気機関ハンマーとの対決も含め、常に人助けのために活かすことを選んでいる。
 わたしが気になった理由として、当然ながらほかの選択肢もあったであろうこと。いや、寧ろあらゆる現場から引っ張りだこの人材ではないか。しかしながら、敢えて蒸気機関ハンマーとの対決で人生を終えている。
 ようするに、絵本「John Henry」の話には、「どのような社会を望んでどのように生きたか?」という、いつの時代にも一人一人の人間に問われる普遍のテーマも詰まっていたことになる。そしてこれこそ、この話が長年語り継がれている理由のような気がした。

自伝はどの程度の情報を残せるか?

 また、ここまでくると、一つの疑問が生じる。John Henryの場合、「どういう経験を通じて頭の中で何を考えて自分の行動を選択するに至ったのか?」というもの。少しでも迫ることができれば、いつの時代においても一貫した考え方が学べそうだ。19世紀の当時の労働者の生活や、John Henryの資料について、さらに調査していく方法も有意義な気がした。
 しかしながら、この取り留めのない発想はあらぬ方向へと進み、自伝そのものの可能性について考えるきっかけとなる。どういうことか補足すると、仮に人生について記述した自伝が残っていた場合、当時のJohn Henryの状況や考えがわかりそうな気がした。もちろん一方で、「いやいや、自伝が残っていたとしても、記載される情報には限界がある」といった反論も浮かぶ。いずれにせよ、John Henryの状況について考える中、自伝がどのような情報を残していくのか、避けては通れない新たな問題が出てきた。
 読者を振り回しているようで申し訳ないが、ここで一つの提案をひらめく。それが「ここから、私たちで自伝を書いてみるところを想像してみるのはどうだろうか?」というもの。自分たちのことであれば、「自伝がどの程度の情報を残せるか?」を、より詳細かつ実感を持って検討していけるかもしれない。
 もちろん実際に読者のみなさんが自伝を執筆する必要はない。簡単に自伝を書きはじめるにあたって、「自分の人生はどんな出来事があったか?」を一緒に考えていくことを想定しているだけだ。あまりにも唐突な気もしているが、ぜひ読者のみなさんも私と一緒に進めて欲しい。

自伝を書いてみるところを想像|ステップ1.

 まだなかなか気が進まないという読者もいるかもしれない。しかし、手順はたったの2ステップ。自伝を書きはじめるところを勢いで想像していこう。
 
ステップ1.
 自伝を執筆するには、まず「自分の人生は何があったか?」と時系列から振り返り、そこからテーマを決める必要がある(ただし、読者によっては「自分の人生は何があったか?」を考え始めると、非常に多くのことを振り返る必要があるかもしれない)。そこでこの記事では、一旦「20代にどんな出来事があったか?」を皆で考え、可能な場合は書き出してみよう。
 
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 どうだろうか。ちなみに私の場合、20代の出来事を紹介すると次の通り。
 
1.AIでポンプの故障を予知する研究発表を見に行った経験
2.長崎県に旅行に行き軍艦島を見た経験
3.匿名性自伝サービス「アークカイブ」を作るために準備を進めていた時期の経験
 
 今回はこの3つの経験に関する記憶が頭の中で蘇った。
 ここまで、蘇った記憶の数や鮮明さに個人差はあったかもしれない。ひとまず、「20代の出来事」について何かしらの記憶が蘇ってきたことを前提に次のステップ2.に進む。

自伝を書いてみるところを想像|ステップ2.

ステップ2.
 さきほど書き出した出来事の中から、自伝に書き加える最初のテーマを決める。たとえば私の場合、3つの案の中から適当に「AIでポンプの故障を予知する研究発表を見に行った経験」を選択し、自伝に執筆する最初のテーマとする。自伝を執筆するにあたり、残す作業は、テーマに選んだ出来事についてさらに深く考えていくこと。
 
 すると、当時の出来事についてたくさんの記憶が蘇ってくる。私の場合、次の通り。
 
1.研究発表を聞いたときの、とてつもない未来を期待した当時の感情
2.学会が行われた大きな会場の情景
3.夏前だったものの、汗をかきながら学会が開かれている会場の外を歩いていた当時の体温の感覚
4.、太陽光発電に関する研究発表も聴衆し、中国の圧倒的な勢いに驚いた記憶

当時の出来事について考えていくと、以上の記憶が蘇ってきた。
 読者の皆さんもここまで順調だろうか。
 
 ひとまず、お疲れ様です!ここまで来たら一段落になります。自伝の執筆を想像する作業は終了となります。

わたしたちの記憶は疑わしい

 ここまで、「自伝がどの程度の情報を残せるか?」を検討していくため、実際に自伝を書いてみるところを想像してきた。そして、その第一歩として、過去の出来事について考えていき、自伝に執筆するテーマの記憶を蘇らせた。普段は考えないことばかりで、かなり苦労した読者もいたのではないだろうか。ただし、苦労した分の成果も大きいはず。
 もしかしたら読者の中には、その出来事の情景、感情、考えていたことなど、当時の心の状態が驚くほどリアルな記憶で蘇った方もいたかもしれない。そんなリアルな記憶が、最終的には自伝の文章として形になっていく。そんな想像を踏まえると、わたしたちの経験や考えがかなり細部まで自伝には反映されそうだ。自伝の可能性に心躍る・・・
 
と、思われた。
 
 しかしながら、この考えは疑わしいものだと分かる。よくよく考えてみると、重要な見落としがあった。それが、「記憶はどこまで正確なのか?」という問題。冷静に考えてみると、記憶の正確さについてわたしたちは何も分かっていないことに気が付く。
 そこで、「自伝がどの程度の情報を残せるか?」この検討を進めていくにあたり、記憶のメカニズムについて深い考えを紹介している本を探していくことになった。

書籍「心の社会」

 結局、行き着いた先が書籍「心の社会」。こちらはAI研究のパイオニアの一人、マーヴィン・ミンスキーが書いた書籍。AI(人工知能)はもともと、「人間の脳をコンピュータで再現できる」という考えのもと、研究されてきた分野だそうだ。そこで人工知能の実現に向け、マーヴィン・ミンスキーも、人間の心、自己、意識、知能、感情、そして意志などを長年にわたって研究していく。これは、必然的に脳の構造を広く深く分析していくことにも繋がり、結果的にその考えがまとめられたものが「心の社会」となる。
 最大の特徴は、人間の心がまるでたくさんのパーツから組み合わさって作られているという考え方を紹介している点。また、子供の発達、人間の意志の自由、さらに遺伝と環境のことまで、幅広く人間の心を網羅している。まさに脳を理解する上でマスターピースのような一冊。そんなわけで、当然ながら記憶のメカニズムについても考えが展開されていた。

記憶のメカニズム

 さて、先ほど過去の出来事に関する記憶を蘇らせた。そしてわたしたちは、そんな記憶について、過去に経験したことを復元してくれるものだと思っていた。しかし、結論から言えばこれは誤りのようだ。書籍「心の社会」の説明によると、記憶が当時の脳の状態を完全に再現するのは難しいとのこと。これについては理由を二つ挙げて説明する。
 まず一つ目。そもそも、出来事のほとんどを脳は記憶出来ていないとのこと。これは日々の生活を通しても分かる。たとえば道を歩いているとき。意識が行きがちな先は、足元、進行方向、そして自動車が来ると予想される方向ではないだろうか。これは裏を返せば、認識できていない殆どの部分については、見落としていることを意味する。
 また二つ目は、記憶を貯蔵している脳自体が変化していること。極端な例を挙げれば、子供の時と今の私たちでは、同じニュースを見たとしても、反応が全く異なるはずだ。ようするに、蘇った記憶を経験している当時の自分と、今の自分とでは脳の反応が変わったことを意味している。
 では、先ほど驚くほどリアルな記憶で蘇ったのはなぜだろうか。記憶とは何なのか。これが気になって仕方がない。もちろん、書籍「心の社会」の中にはこの説明もあった。
 そしてつまるところ、記憶とは後から考えたことを含め、再構成したものに過ぎないということ。わたしたちが稀に記憶違いを起こすことを考慮しても、非常に説得力のある説明だ。
 読者のみなさんはどう思っただろうか。自分自身に何かしらの変化が生じたわけではないが、なかなかの衝撃だ。また、本題の「自伝がどの程度の情報を残せるか?」に話を戻すと、ここでも大きな問題が発生する。
 それが、自伝の情報の正確さが揺らぐということ。もちろん、わたしたちの経験や考えがかなり細部まで自伝に反映されること自体に間違いない。とはいえ、自伝に記載された内容の中には、過去に起きた出来事とは少し異なる内容も混ざっている可能性が出てくる。自伝を読む執筆するとき、そして読むとき、常に注意を払いたい。

文章の執筆は難しいもの

 あと最後に、書籍「心の社会」からもう一つ紹介したい内容がある。それが、自伝の執筆時の心構えにも関わる部分。さきほど自伝の執筆について想像したとき、読者の中には、「自分の頭の中で蘇った経験や考えを文章で表現するのは難しいだろうな・・・」と感じた方もいたかもしれない。なかには、自分の文章力を責める方もいただろう。しかし、自分を責める必要は全くないことが「心の社会」の説明から分かる。
 どういうことか。簡単に説明すると、そもそも脳の思考そのものが曖昧であり、思考そのものを正確に表現する言語もないということだ(当たり前のことかもしれないが、現実で指摘されることは少ない)。そんな曖昧な状況の中、文章という符号に変換し、他の人に思考を共有しようとわたしたちは執筆を試みている。ようするに、自分の思考を表現することは難しくて当然のようだ。
 そしてだからこそ、「私たちは子供のときから思考を表現するために言い替えや言葉遣いを学び続ける」と書籍の中で述べられていた。これは言い換えれば、自伝に記載される内容には、執筆者の経験や考えに加え、表現方法による味わいやリズム感といった固有の情報も追加されることを意味している。

自伝が残す情報

 ここまで、「自伝がどの程度の情報を残せるか?」を検討してきた。わたしたちの記憶は再構成されたものであることから、自伝の内容には事実確認が必要なときがあるようだ。また、思考や言語そのものに曖昧さが含むことから、自伝の情報にも曖昧さが残ることを脳の構造をもとに確認した。
 また、これと同時に、わたしたちの脳は記憶を蘇らせて、過去の思考や感情といった心の状態をときにリアルに再構成できることを実感し、それが執筆者の文章表現を交えて自伝に残されることも分かった。
 John Henryの自伝が残っていた場合の話でいえば、もし仮に残っていたら、完全な情報とは言えないものの、それはかなり説得力の形で、当時の状況や思考についてさらに深く学んだり考えたりする機会になったであろうと想像することができる。

まとめ|自伝文章の内容について

 以上、この記事の前半では、AIがもたらす変化について見てきた。そして中盤では、変化の時代に向け「過去の人々は新しい科学技術に伴う変化にどう対応したか?」をJohn Henryの例から確認。後半では、「自伝がどの程度の情報を残せるか?」を検討するため、私たちで自伝を書いてみるところを想像した。
 AIの発展は目覚ましく、自然な会話やコメントの投稿も可能になった。しかしながら、過去の出来事まで遡り、記憶を蘇らせながら、内省を繰り返した思考の表現は、本人が文章で執筆しなければ残すことが難しい状況だ。加えて、この自伝文章の執筆は困難を要する。しかし、仮にたくさんの人々の自伝を残すことができれば、将来的には、現代のある一人の人物の自伝を、それを必要としている未来のたった一人の人物へ、AIを活用しながら、正確に届けられるようになるかもしれない。
 そのためにも匿名性自伝サービス「アークカイブ」では、人生の中でも特に思い出に残った出来事を中心に(アークカイブの投稿には100の上限を設けています)、第三者が理解できるような、客観性のある深い内容の文章の執筆をお願いしている。
  ぜひ、読者のみなさんも自伝の執筆をよろしくお願いします。

【参考文献】

・Frey, Osborne (2013),
The Future of Employment: How susceptible are jobs to computerisation?, https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf
・Kandziora(2019)
Applying Artificial Intelligence to Optimize Oil and Gas Production, Offshore Technology Conference
・Marti-Puig, Blanco-M, Cardenas, Cuisdo, Sole-Casals(2019), Feature selection algorithms for Wind Turbine Failure Prediction, Artificial Intelligence in Data Science For Energy Management in Sustainability
・Eloundou, Manning, Mishkin, Rock(2023), GPTs are GPTs: An Early Look at the Labor Market Impact Potential of Large Language Models, https://ar5iv.labs.arxiv.org/html/2303.10130#S2.SS1
・Andrew Ng(2023), The Near Future of AI, Stanford Online, https://www.youtube.com/watch?v=KDBq0GqKpqA&t=1s
・Julius Lester(1999) "John Henry" Puffin Books
・マーヴィン・ミンスキー(1990) 「心の社会」 産業図書

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