国家財政を考えてみよう その7 アベノミクスを振り返る④ 増え続ける税収
前稿では、アベノミクス第2の矢は機動的な財政政策、10兆円規模の経済対策で需要を政府が創出と声高に主張しながら、実は安倍政権になってから歳出は一段減ってそのままの状態が続いていることを確認しました。
では税収はどうでしょうか?一般会計の税収の決算実績を見てみます。
一般会計税収決算額 前年比
2009 38兆7331億円 (民主党政権発足)
2010 41兆4868億円 107.1%
2011 42兆8326憶円 103.2%
2012 43兆9314憶円 102.6% (12月安倍政権発足)
2013 46兆9529憶円 106.9%(安倍政権1年目、実質前政権予算による支出)
2014 53兆9707憶円 114.9%(安倍政権最初の財政年度、消費増税)
2015 56兆2854億円 104.3%
2016 55兆4686億円 98.5%
2017 58兆7875憶円 106.0%
2018 60兆3563億円 102.7%
一般会計税収の予算額と決算額の推移
https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/basic_data/201904/sy3104c.html
税収は増え続けています。10年前の2009年と最新の決算年度2018年の税収では21兆6323億円も税収が増えています。
他方、歳出は増えるどころか減っていることは前稿で確認しました。
税収が増えて歳出が減るということは、民間から政府にお金が吸い上げられて、民間が自由に使えるお金が減る、つまり潜在需要が減るということです。
あれ?アベノミクスの第2の矢は、10兆円規模の経済対策で政府が自ら需要を創造するのではなかったでしょうか?
事実は、嘘もいい加減にしてくれ、と言いたくなるような実態です。
デフレ脱却がアベノミクスの目標のはずでした。
デフレとは、継続的に物価が下落する状態と思われていますが、それは実は現象であって、デフレの本質は供給>需要であることです。物価の下落はその結果に過ぎません。
だとしたらとるべき政策目標は、デフレ=供給>需要 を インフレ=供給<需要に換えることのはずです。
しかし事実は歳出は増えず、10年スパンで21兆円、安倍政権になってからでも16兆4249億円/年も多く民間からお金を吸い上げて需要を減退させている。
2014年の消費増税5%→8%の分だけなら約7兆円のはずですので、それ以外の税収増のほうがずっと大きいことになります。
これが安倍政権の財政政策の「事実」であり、アベノミクス第2の矢は全く実行に移されていません。
尚、ここまでは話を一般会計に絞って進めてきましたが、これとは別に国家財政には特別会計が存在し、その規模はなんと390兆円と、一般会計の約4倍にも達するのです。本来であればそちらにも触れなければならないのですが、話がどんどんややこしくなるので、ひとまず一般会計に絞って話を続けたいと思います。
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