見出し画像

歴史のバトンを繋ぐこと、物を買うということ。

書斎に置く家具や照明を買うために、古道具屋さん、家具屋さんを回っていた。ネット上でも、ヤフオクやメルカリを見て回って、ついにインスタの広告は、アンティークショップだらけになった。

ただ、本当に欲しいものは高い。だから「どうせ同じようなデザインがあるなら、少しでも安く楽天かAmazonで買おう。」そんな風に思っていたわたしが、代々受け継がれてきた家具を買ってみて、全く違った感情に触れた、そんな記録です。

***

中学生の頃からインテリア雑誌が好きで、蚤の市なんかにも行くようなませた学生時代だった。その頃から、古道具やビンテージ家具、日本国内外問わず、いろんなものを見ては自分の部屋に置いた様子を妄想するのが好きだった。

だけど、雀の涙ほどのお小遣いでは、せいぜい3000円くらいまでのガラス瓶を買うくらいの余裕しかなかった。蚤の市に行くまでの交通費だけで、バイト代が飛んで行った。だから、ずっと家具や本当につくりのいいものは、眺めているだけの存在だった。

しかし、時は経ち、書斎(兼 撮影スタジオ)を作ることになったので、絶対にその空間に置くものは妥協しないぞと決めて、本当に欲しいものを吟味しながらゆっくりと購入している。

いくつかのお店を回る間、こんなことを考えていた。

以前は、こうした古いものが好きな人たちは、これらを所有する楽しみのために古道具を集めているのかなと思っていたけれど、いざ、自分が買ってみると、また違った感情が生まれた。

ここまで残してきてくれた人たちや、頑丈なものをつくってくれた人、いろんな人の手を渡って、巡り合わせにより、奇跡的な確率で、わたしのもとにある。

そして、高くてもいいものを買うという選択をすることは、こうして代々受け継がれていくもののバトンを手にするということだ。新しいものを買う時にも、私の手元を離れたら処分されてしまうものなのか、それとも何かしらの形で受け継がれていくものなのかを考えるきっかけになった。

これまで、高額なものを買うというのは、仕事で使うカメラくらいだった。服は大してこだわりがないのでZARAが好きだし、コーヒーがいくら好きだと言っても数百円。わざわざ高いものを買わなくたって、今では、それっぽいデザインで、実用的で、トレンドに合った衣食住にまつわる商品はたくさん買える。(楽天ルームは、本当にすごい。)

だけど、手に入れた瞬間、買った瞬間に満足のピークを迎えてしまうことに気付いた。頑張って手に入れた家具には、これから一緒に暮らしていくのが楽しみになる、手入れするのがワクワクする、そんな気持ちも一緒に乗っている。

ものがたくさん溢れている時代に生まれて、Less is moreの精神で、たくさんのものを持たない生活を心がけてきた。だけど、今回の買い物を通して、「買い物をすること=消費」だけではないんじゃないかと思った。

【消費】
1 使ってなくすこと。金銭・物質・エネルギー・時間などについていう。「ガスを消費する」「消費電力」
2 人が欲望を満たすために、財貨・サービスを使うこと。「個人消費」

ものを買うということは、現代、便利な時代に生まれたわたしにとって、まさに「使ってなくすこと」という感覚が強かった。だから、何かを買うということに消極的な自分がいた。捨てるものを買っているような、うしろめたさを伴う行為だった。

一方で、何かを買うということは、あくまでも様々な資源を借りているとも言えるかもしれない。だから、借り物をどう扱うか、そんな視点でものを買うという行動をしていきたいなと思った。

いつか、この椅子を手放す日、次の誰かが使う日のために手入れをして、無事にバトンを繋ぐことができたら嬉しい。

画像1


この記事が参加している募集

最近の学び

友人とシーシャに行きます。そして、また、noteを書きます。