無目的的旅路において|エッセイ
梅雨。このご時世にそぐわないキャリーケースをガリガリと音をたてながら引き摺り歩く。旅は、いつ振りだろうか。12月に訪れた真夏のセブ島、それから3月の福岡。海外には、もう半年も行っていない。それに反して、国内旅行からは、まだ3ヵ月の月日しか経っていなかったのか。駅で買ったミルクティーを流し込みながら、リュックに突っ込んできた文庫本を捲る。旅先では、何も特別なことをしない、ただいつも通り喫茶店で本を読むとか、散歩するとか、そういう時間の方が贅沢だと思ってしまうから、案外出不精にな