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雨音の響く本屋にて

唐琴(からこと)という街に、4月29日 12:00、本屋さんがオープンした。

瀬戸内海がくるくると表情を変えていく景色を眺めながら、寄せては返す穏やかな波のように、ひとり、またひとりと本を連れて帰っていく様子を脳内に記憶していく。

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「せっかくのオープンの日なのに、ずっと雨で残念だな」そう思っていた矢先、「晴耕雨読、本屋さん日和」とあかしさんが呟いた。

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「aru」ただ、そこに在る......

雨だって、晴れだって、はたまた曇りだって、この瀬戸内の海は、驚くほどに、プラスもマイナスも意味を示さない。人間は、どうしても、無意識のうちに、晴れだとうれしい、雨だと悲しい、というような感想を抱いてしまう。

だけど、海はいつも、そのままで美しい。その海を眺めるこのお店に並ぶ本たちは、どれも、ただそこに在るだけで愛おしい。

それぞれの本が主張をしているというよりは、今の自分の心境や大事にしたいものに呼ばれるような感覚に近い。例えば、とても疲れている日は、何周しても、これだと思う本に出会えない。

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居座るための本屋

こうして、じっと何かを観察するという行為は案外難しい。本は動かない、向こうからやってきてはくれない。SNSでは情報が向こうからやってくるし、Youtubeも、Spotifyも、Instagramも、日常で受け取っているものは、良くも悪くも、意図せず、気付かないうちにじわりじわりと頭や身体に染み込んでいく。

しかしながら、本は勝手にやってきてはくれない。五感をはたらかせて、じっくりとお店のなかをぐるぐると周っていく。せかせかしている日は、本に焦点が合うまで時間がかかる。

足が疲れてきた頃に、「はっ」と運命の本が飛び込んでくる。

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「aru」は、靴を脱いで、ゆったりと居座ることができるから、鬱々と寂しい日も、ちょっと元気がない日も、ただ本たちはそこに在ることしかできないけれど、本を眺めながら、ぼうっと居座る時間は、ただそこに居ていいとわたしを包み込んでくれる。

何かを摂取していると、頑張っている気になれる。ちょっと成長した気になれる。だけど、ずっと誰かの価値観に沿って生きていると、必要のない「いい/悪い」に苛まれて、大きな価値観に飲み込まれて、いつしかたった一人、取り残されたような気持ちになっていく。

でも、いつでも本だけは、自分で選ぶことができる。社会的にいい本だとか、価値のあるものだとかは関係がない。素直であれば、本はいつでも待っていてくれて、ただそこに居ていいと背もたれになってくれる。そうして、そんな本を眺めながら、ふうっと深呼吸できる本屋もまた......。

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申し遅れました、「aru」ができるまでを写真で記録しています

「aru」ができるまで、日々の変化をフィルム写真で記録しています。詩歩(@moon__mani)と申します。

これからも、お客さんでもない、お店に立つスタッフでもない、けれど、ちょっとおせっかいな親戚のような気持ちでaruの成長を追いかけていけたらと思っています。

aru、お誕生日おめでとう🎂

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■営業時間
月に1週間ほど、不定期にオープンします。開店情報はインスタアカウントにて。
※店内の常時換気、アルコール消毒、マスク着用など感染対策を行った上で営業する予定です

■住所
〒711-0905
岡山県倉敷市児島唐琴町1421-18

■インスタアカウント(aru___store)
https://www.instagram.com/aru___store/

■周辺の宿
DENIM HOSTEL float(おすすめ!)
https://www.denimhostelfloat.com/

HYM Hostel
http://hym-bldg.com/hym-hostel


友人とシーシャに行きます。そして、また、noteを書きます。