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映画「キャッツ」を観てきた ミュージカルファンの映画レビュー

2月某日、実写版映画「キャッツ」を観てきました。

その後ずっと下書きに収めたまま、塩漬けになっていたこの記事ですが・・・感染症対策のため3月以降の新規映画公開が延期になっていたりして、時間ができたのでnoteの公開に漕ぎつけてみることにしました。

映画関係のみなさま、すでに撮り終わって公開を待つ、新作映画をどうぞ公開してください。旧作については1席空けた予約など、対策を講じられています。映画を観る側も留意して観ますので、どうかお願いします。

で、本題の映画、実写?版「キャッツ」(吹替版)のレビューです。
公開前のネット上の評判があまりにも悪く、公開後は「酷評されていたけれど、結構よかった!」という声が身近な人から結構聞こえていたこの映画。

アンドリュー・ロイドウェーバーの名作ミュージカルという重い重い看板と重圧を背負って実写化された(ミュージカルも人が演じているという意味では実写、でも登場人?物はみな猫)ある意味、いい度胸している映画「キャッツ」のレビューを書きます。

公式サイト 映画「キャッツ」

映画版見どころはここだ!豪華配役の映画版(ミュージカル版と比較しながら)

■ミュージカル版で端役の白猫ヴィクトリアが実質ヒロイン

ミュージカル版では白いバレエ猫というイメージの、正直端役のヴィクトリアがストーリーテラー(進行役)として、そしてキーパーソン(キーキャット?)として、重要な役どころを果たします。重要どころか、主役です。

俳優は、ロンドンロイヤルバレエのプリンシパル、フランチェスカ・ヘイワード。ケニア・ナイロビ生まれ、小柄なバレリーナです。

チャコットのインタビュー

実際は小麦色の肌の魅力的な女性で、白猫ヴィクトリアのイメージとはちょっと異なります。ちょいちょい後ろの方で卓越したバレエ技術を披露していますが、圧巻は中詰めの舞踏会シーン。美しいからだとバレエの技術はため息ものです。

あえて主役猫を作らない群像劇としてのミュージカルと、捨て猫となり猫のコミュニティに新参者として現れたヴィクトリアの視点から展開される映画版。核心のスタンスが異なるので、意見が分かれるところと思います。(私は悪くないと思いました)

■踊らない俳優枠のミストフェリーズ

ミュージカル(劇団四季では特に)では、若手男性ダンサー枠の登竜門にもなっているマジシャン猫ミストフェリーズは、映画版では踊らず演技で魅せます。主役ヴィクトリアと後半恋の予感のような描写もあり、とってもいい役です。踊らなくても、魅せるミスト。ちょっと情けなくて、でも一生懸命ないい役です。

■ヒール役に徹したマフィアみたいな妖術師マキャビティ

マキャビティを演じるのはイドリス・エルバ。40代後半の大柄・セクシーな俳優さん。ミュージカル版では「ちょい悪」ですが、映画版では「極悪人」。唯一の猫に選ばれたくて、ライバルをじゃんじゃか妖術で誘拐して監禁w。マフィアっぽいコートに帽子のマキャビティ、とにかくセクシーです。さすが、「ピープル」誌が選ぶ「世界で最もセクシーな男」2018選出の実力。立ち姿だけでセクシーオーラあふれる猫ですが、もう少し背景(なぜ唯一の猫になりたいのか、これまでの悪行のバックグラウンドになにがあるのか)など知りたかったかも。

■オーデュトロノミ―は女になって神々しい慈愛の長老に

ミュージカルでは、厳格で威厳ある男性長老の役どころですが、女性に性転換。英国の重鎮ジュディ・デンチがミュージカル版とは全く異なる役としてオーデュトロノミーを好演しています。この役ばかりは「映画版はないわ~」と思った人も「ありかな?」と思ってしまったのではないでしょうか。娼婦という女を売ってきた猫を救い、選ぶという同性の慈愛に満ちたまなざしは、さすが名俳優ジュディ・デンチ、彼女オリジナルの役柄に昇華しています。「007」のMだけあります。

■鉄道猫スキンブルシャンクスが、マリオにしか見えない件

これは私がイチオシ??のポイントです。映画版1番の収穫??衝撃??

ミュージカル版で青い感じの衣装を纏う鉄道猫スキンブルシャンクスですが、映画版ではマリオです。スーパーマリオの…マリオ。帽子といい、赤い衣装の感じといい、マリオ一択。

可愛いですよ。マリオにしか見えませんが(しつこい?)

■その他 ヴィクトリアに代わって存在感が無くなってしまったシラバブ

往年の俳優猫ガスについて歌う、いい役どころのバブは、え?居たの?出てた?くらいの役柄に…。いい役なんだけど、ガスは本人がいい味出して(次章参照)いるので、今回の出番なし。

吹き替え版の声優もなかなか良かった!

■純真無垢な葵わかな

ストーリーテラーのヴィクトリアは、捨てられた真っ白の子猫で、前半は幼さ無知、無垢なイメージです。朝ドラ「わろてんか」のほか映画やミュージカルでも活躍の、葵わかなさん(スターダストプロモーション激推し)がピュアな声で演じています。柔らかい歌声もさすがです。

■そして今回も山ちゃんがいい仕事をしてます

七色の声を持つ男、日本のトップ声優の一人である山寺宏一が悪党マキャビティを。「アラジン」のジーニーに続いて、セクシーな大人の男性を好演。

■往年の名俳優ガスは宝田明!!

映画を観ながら「この声誰だろう??」と謎で仕方なかったガス。宝田明だったとは〜〜!御年85歳!!4月に86歳にお成り遊ばします。往年の映画スター、デビューは東宝ニューフェイスですよ、ご存知ですか?みなさま。どうでもよい話ですが、私の亡くなった祖父は東宝ニューフェイスのスカウトが来るほどの美男子だったそうです。でも眉毛が下がっていたことでデビューには至らず…宝田明との差、それは眉毛です。本当にどうでもよい話でした。もとに戻します。宝田明、映画、ドラマ、CM(リポDからアートネイチャーまでw)、バラエティと映像でマルチに活躍されていましたが、実は吹き替えも数多くこなしています。東京ディスニーランドのカントリーベア・シアターとか。すみません、ニッチ過ぎました。からの(!どこからだ)キャッツの老いぼれ俳優猫ガスですよ。枯れています。そしてどこまでも滋味深いです。もともとミュージカルでもガスは好きな場面だったので(ジェリーロラムの歌うガスの歌が好きなんです)、宝田明目当てに裁縫してもいいくらいです。宝田明さん、いつまでもご活躍を!

■踊らない大貫勇輔

ダンサーで歌も歌える高身長のイケメン俳優、大貫勇輔。メリー・ポピンズなどでミュージカル俳優としての姿を観てきましたが、今回はスキンブルシャンクス役で吹き替えをしています。もともとダンサーで卓越した身体能力で様々なジャンルを踊りこなせる人ですが、最近は舞台に引っ張りだこですね。歌も及第点どころか、お上手です。お声も柔らかくてとってもいいので、今回のキャスティングなのでしょう。スキンブルシャンクスは映像的にマリオにしか見えなかったのですが、今後キャッツの舞台で歌い踊る大貫勇輔を観たい!と思わず妄想してしまう、そんな配役でした。

公式サイトより 吹き替えキャスト

映画→ミュージカル ミュージカル→映画 両方楽しもう!

封切り前は、一部のミュージカル民が親の敵か?というくらい映画を叩きまくって酷評だった映画「キャッツ」。実際に見れば、それぞれ好みはあるものの、これもまたいいんじゃない?と思わせる欧州勢の贅沢な配役、CGを使った雰囲気やロンドンの町並みなど、映画にも見どころは満載でした。

ミュージカルか、映画かと二項対立的に語ってどちらかしか楽しめないのはもったいない!と思うゆるファンのレビューでした。

お読みいただき、ありがとうございました。

ぜひ映画「キャッツ」それから、劇団四季ミュージカル「キャッツ」もぜひお楽しみくださいね!

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