風説信奉者によるネットリンチ
インフルエンサーが作ったデマの拡散やインフルエンサーが主導する
誹謗中傷に加担する信奉者について、分析します。
■信奉者集団の形成
多くのユーザーに注目される「話題」は、様々な「意見」を喚起します。
1.同種の「意見」が集まると、小規模な「世論」が形成される。
2.加害者は、「世論」を根拠にして、誹謗中傷の加害行為に及ぶ。
3.加害者は、被害者に対して、非難したり非を認めさせようとする。
4.加害者は、「世論」が「真実」であると、認識している。
つまり、「多数派の意見は正しい」という思い込み(言論空間では、
多数決で正否が決まるという間違った認識)を持った人は、
「正しい世論」に便乗し、間違った人物(被害者)の認識を正す
という行動に、一定の合理性を見出します。しかし、
論理的に考える人は、「事実」を根拠として、正否を判断します。
事実が確定していない期間は、論理的な説明が困難です。
一般的事実を基に、加害者の説得を試みても、話が嚙み合わない
主な理由は、着目している観点(依拠している根拠)が異なる
からだと思います。
■攻撃的集団への変化の流れ
1.フィルターバブル
SNSでは、個人に最適化された情報を提供するため、
偏った情報が集中的に表示されます。
信仰への入口となります。
2.エコーチェンバー
同じ情報に関心を持つ人と繋がり、自分と同じ意見を
持った人たちとだけ交流するようになります。
3.サイバーカスケード
一つの意見に流される形で、異なる価値観を排除し、
集団の思想が先鋭化する。
4.攻撃的集団
集団内で確信を得て、自ら積極的に発信するようになる。
対立する意見を持つ人物を非難し、やがて、誹謗中傷する。
この一連の流れは、外形的に見ると、
情報収集、情報の選別、意見の形成、情報発信と
ごく普通の知的活動を行っているだけです。
その結果、正しいと思える情報を入手し、発信しているので、
他者に被害を与えたり、社会に悪影響を与えていることを
本人は気づきません。
しかし、敵に対峙する集団に参加し、不確定な情報を根拠にして
攻撃を加えているなら、それは、異常です。
■別の価値観の世界
エコーチェンバーの中にいる人には、外とは、別の世界が見えている。
攻撃的な姿勢について:
・反抗心、正義感
相手から攻撃してきたのだから、やり返されて当然だ。
仲間に対して、生意気な口をきいてきたから、言い返してやる。
悪党は懲らしめて、排除しなければならない。
・忠誠心、功名心
インフルエンサーや仲間が言ってるから、自分も同じことを発信しよう。
仲間が頑張っているから、自分は、もっと効果的な攻撃を仕掛けよう。
相手が嫌がることをしてやる。
・説教、忠告、指導を行う立場を取る。
相手は、自身の立場をわきまえないから、分からせる必要がある。
相手は、指導者の指示に従い、質問に答える必要がある。
相手は、人格に問題があるから、指摘されたり、指導されて当然だ。
これらは、加害者の主張を要約したものなので、創作ではありません。
なぜ、このような心理に行き着くのか、理解しがたいところがあります。
疑問なのは、単純に、攻撃対象を外敵として相対化していない点です。
SNS上で直接、交流がない相手の人格に介入する人達は、
知り合いへの配慮か、身近な存在に説諭するように、
接点を持った相手に対する振る舞い(親切)を装うことです。
一旦、内に引き入れて、追い出すような姿勢が奇妙です。
責任に対する自覚:
誹謗中傷しているのに、自分には一切責任がないと考えているようです。
攻撃的な姿勢とは全く矛盾する認識を持って、他者に責任転嫁します。
・信憑性
発端となった話題がデマや憶測でも、絶対に自身の誤りを認めない。
反対意見や少数意見を遮断することが可能なSNSは、
構造的に、誤りを認識しづらい。それに加え、
誤りを指摘した場合、攻撃されたとみなして、反撃する。
世間がまだ知らない重要な情報を、自分たちだけが共有している。
もっと多くの人に、重要性を知らせなければならないという
自負(思い込み)が、頑なな態度を取らせるようです。
・罪悪感
他者からの伝聞を発信する行為は、自分で考えた情報ではないので、
拡散の責任を認識し辛く、「言い出したのは自分ではない」という
言い訳が可能であるため、誹謗中傷に躊躇がない。
多くの投稿の中の一つだから、問題視されない。
具体的に被害をもたらしていることに目を向けない。
客観的な視点で見れば、集団で一人を攻撃する卑怯者です。
恥さらしな行為をしているのに、開き直っています。
・帰属意識
特に具体的な組織に属しているわけでもない。
自由な意思の下で、自分ができることをしている。
意見の合う仲間と同じ方向を向いて行動しているだけ、
仲間も増えて、褒められて、憂さ晴らしもできる。
自分たちの行動は、社会規範を守るため、正しい。
正しいことをしているから、自分たちを警察が捕まえるわけない。
集団の言い訳に同調することで、安心しているように見受けられる。
「嘘つき」の嘘に惑わされないために、「嘘つき」についてまとめました。
インフルエンサーがネットリンチを主導する状況を以下にまとめています。
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