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『子ども白書2023』ができました【6】 一部公開 子ども・若者の声(菊田有祐・平野真衣・福代美乃里)

 今年で59冊目を迎えた『子ども白書』(日本子どもを守る会編)。児童憲章の精神に基づき、子どもたちが安心して暮らし、豊かに育ち合っていける社会の実現をめざして刊行を続けています。今年の特集は「いま、子どもの声を〈きく〉」。かもがわ出版のnoteで内容を一部公開していきます。今回は、「子ども・若者の声」からです。
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デジタルツールによる「声」の獲得 (菊田有祐/慶應義塾大学3年生 )

配慮ツールとして

 小学5 年生の時にiPad を使った学習を始めました。当時、東京大学先端科学技術研究センターで中邑賢龍先生が中心となって、DO-IT Japan というプログラムが行われていました。これは障害のある子どもたちが、将来、社会で活躍できることを目指したもので、テクノロジーを活用しながら自分に合った学び方を身に付けて、次の学習機関へ進学することを支援するプログラムです。試しに、夏休みの作文をこのやり方でやってみました。自分が口頭で文章を作って、母が入力します。すると手書きしていたこれまでは半分しか書けなかった作文が、3 枚も書くことができました。それからは、このようなICT(情報技術によるコミュニケーション)を使った学びをしたいということを学校に提案して、実際に活用しました。

 活用にあたっては、事前に、母とさまざまな議論をしました。「どうしてICT を使いたいのか」、「自分がどんなふうに学んでいきたいのか」、「なぜ、学びたいのか」。話し合いのなかで、自分の学習観や人生観がわかってきました。たとえば、「自分はわからないことや知らないことを、学び続けるような人生にしたい」という思いです。そのために、「学問をしたい」。そのために、「大学に行く必要がある」。そのために、「ICT を使った学びをしたい」。でも、ICT を学校で使うと、ずるいと言われるかもしれない。だったら、自分でルールを決めよう。こうして、マイルールを決めることができました。「学校用のタブレットには、ゲームをダウンロードしない」。「漢字予測変換機能をオフにする」。こうしたルールを決めたうえで、学校に使用を申し出ることにしたのです。こうしたルールを決めたうえで、学校に使用を申し出ることにしたのです。……(続きは『子ども白書2023』でお読みください)

教育の本質を考え直してみてほしい おとなに「はじかれた」布ナプキンプロジェクト (平野真衣/大学3年生)

 私には、一生をかけて取り組みたいと思っている課題があります。それは、環境問題だけでなく、人権やジェンダー、貧困、教育の本質といったさまざまなキーワードを巻き込むものです。なぜ、その問題に着目し、どんな行動を起こしたのか。行動の先に見えた新たな課題は何か。ひとりの学生の視点から、お話ししたいと思います。 

行動のきっかけ

 朝起きたら、学校へ通い、友だちと会って、家に帰れば、家族と過ごす。これが当たり前じゃないと気づいたのは、私が中学2 年生の頃です。ケニアへの支援活動をされている方との出会いがきっかけでした。

 みなさん、生理と聞いて何を想像しますか? 女の子? デリケートな問題? あまりわからない? 日本のコンビニやスーパー、最近では公共トイレなどでも、紙ナプキンが販売されているのを見かけるようになりました。1 パック大体500 円前後です。手に入りやすく、使い捨てなので便利な分、紙ナプキンを使用する女性は多くいると思います。

 そんな紙ナプキンですが、手に入れることのできない女の子たちがいるのは、ご存知でしょうか。ケニアでは、紙ナプキンが高価なため、生理が来ると学校へ行けなくなる女の子がいます。彼女たちは、紙ナプキンの代わりに葉っぱや新聞紙などを使いますが、紙ナプキンでないと、制服に経血が染みてしまうおそれがあります。その上、衛生面でもあまりよくありません。

最初の一歩

 こういった問題が起こっていることを知った私は、自分にできることをしたいと思い、ケニアの支援活動をされている方へ手紙を送りました。すると、布ナプキンプロジェクトの話をいただきました。布ナプキンというのは、紙ナプキンとは違い、使い回しが可能です。布からできているので、繰り返し洗って使用することになります。そして、これを手作りして、ケニアへ送る活動に参加することにしました。……(続きは『子ども白書2023』でお読みください)

今の私たちの行動が、将来生きる世界を決める(福代美乃里/高校生)

気候変動への危機感

 画面越しに見える真っ赤に燃え上がる森林。 
 流氷のかけらに乗っているシロクマ。
 海水でひたひたになった家。

 気候変動の影響を象徴するような映像の数々は私の心を震わせ、私の学生生活を大きく変えました。

 当時中学生だった私は学校で環境問題について学び、次第に環境問題について調べる機会が増え、さまざまな情報を目にするようになっていました。そこで知ったのは、地球が気候変動により危機的な状況にあり、いつか住めなくなるかもしれないという事実でした。さらに、その原因が私たちにあるということ。自分たちが快適な生活を送る裏側では、気候変動によって引き起こされた度重なる自然災害に苦しんでいる人たちがいるのです。それを知った私は悲しさと罪悪感、将来への不安でいっぱいでした。

 しかし、事実を知ってしまった以上、私には何もせず今まで通りの生活をするという選択肢はありませんでした。私が持っていたその悲しさや罪悪感、将来への不安は、気候変動を止めるために今すぐ行動しなければならないという強い意思に変わり、その後の私の活動の原動力になりました。
そして、自分にできることを調べているうちに友人を通して出会ったのが、Fridays For Futureという活動でした。

Fridays For Futureで仲間と活動

 Fridays For Future とは、2018 年8 月にスウェーデンの学生、グレタ・トゥーンベリさんの学校ストライキをきっかけとして生まれた気候危機への対策を求める世界的な運動です。日本では2019年2月に活動が始まり、現在では20 以上の地域で活動が行われています。これまでに、グローバル気候マーチや政府への署名提出、NDC(温室効果ガス削減目標)の引き上げを求めるスタンディングアクションなどを行ってきました。私自身もこの運動に加わり、アクションの企画をしたり、路上でスピーチを行ったりするようになりました。……(続きは『子ども白書2023』でお読みください)

日本子どもを守る会編『子ども白書2023』
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