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かもがわ出版メルマガ2024年Vo.149

入学シーズンを経て、子どもも学校になじみ始めた時期かと思います。初めてお子さんを小学校や中学校に入学させた親御さんも、入学に関するあれこれが一段落して気持ちの余裕ができたころ、学校についてわからないこと、知りたいこと、疑問に思うことが出てきたのではないでしょうか?
最近では、先生の多忙化、共働きの増加、PTA加入率の低下などで、保護者が学校を知る機会がどんどん減ってきています。多忙な先生に質問する機会がなかなかない、PTAや保護者会にも入っていない、といった状況では、学校のことがよくわからない、という状況は改善しません。
 
4月末に刊行された『令和版 学校のトリセツ 保護者と先生のための学校入門』は、保護者が学校を知る足がかりになることを目指して作られました。
 
第1章では、知っておきたい学校の基礎知識をまとめています。先生の勤務時間と給特法、先生の区分、クラスの生徒数の決め方、教育委員会、通知表や内申書、PTA、学校徴収金、学校給食と食物アレルギーへの対応、スクールカウンセラーや特別支援学級、部活動や学童保育、いじめやモンスターペアレントの問題などなど、この章を読むだけで、学校現場についてのおおまかな知識を得ることができます。
 
第2章では、保護者からの質問に先生が答えるQ&A方式で、学校の現状について、より深い知識を得ることができます。
なぜ先生になりたい人が減っているの?宿題の役割とは?意味のわからない校則について、学級崩壊への対応、校長先生と教育委員会の役割、先生の多忙化解消で学校行事や部活はどうなる?など多岐にわたる問答が、保護者と先生のホンネで語られています。
 
第3章では、保護者が学校運営に参加することで、実際に学校が変わっていった事例を、著者の経験をもとに紹介します。自動採点システムや習熟度別授業の導入といった事例を通して、どのように保護者が学校に関わり、要望を実現化していったのか、そのプロセスがわかるようになっています。
 
第4章では、大転換期を迎えている最新の学校現場における教育について考えます。コロナ禍以降、世の中が大きく変化し、ひと昔まえの常識が通用しなくなっている現状がよくわかります。
 
著者のお二人は、2019年に『PTAのトリセツ』を刊行して大きな話題となりました。今回は、その学校版となります。
本書を通して、保護者においては学校を知り、学校現場が変えられることを学ぶことができます。そして先生においては、保護者を知り、保護者の意見や発想を取り入れることが学校運営においていかに大切かを学ぶことができます。
 
教育ニーズの多様化、少子化、教師の働き方改革、ダイバーシティの尊重など、学校は大転換期を迎えており、これまでの常識が通用しなくなってきています。本書は、そんな時代における保護者と先生の必読の書といえます。


【新刊案内】

●特集・学童保育をめぐる8の論点
『学童保育研究 第24号』
一般社団法人日本学童保育士協会 本体価格1,500円
学童保育を進めていくために、インクルージョン、ダイバーシティ、ICT、施設、権利、専門性など今問われているテーマから論ずる。

●学校改革に取り組んだ元校長と元PTA会長による学校を変えるためのトリセツ
『令和版 学校のトリセツ』
福本靖・今関明子 本体価格1,600円
先生に残業代はでない?校区はどう決まるの?意外と知らない学校の基本から課題解決のヒントまで、PTA・学校に関わる人への入門書。

●それ、やりたい「支援」になっていませんか?
『子どもと女性のくらしと貧困』
中塚久美子 本体価格2,000円
子どもや女性の貧困に向き合い、当事者に伴走を続けている大阪の2人の女性に焦点をあて、支援や寄り添いの在り方を考える。

●それ、やりたい「支援」になっていませんか?
『まだら模様の日々』
岩瀬 成子 本体価格1,800円
児童文学作家・岩瀬成子さんの、親子の葛藤と繋がりを描くエッセイ+ちょっとおかしな愛すべき人たちが登場する短編集。写真も収録。


【重版情報】

●保育現場に必携の本!
『子どもと保育「4歳児」改訂版』
大阪保育研究所 本体価格2,200円
改訂版の本シリーズは、年齢別にみた「発達」の課題や指導計画、保育内容と方法など理論と実践の統一をめざす。

●漢字が覚えられない、書けないのはなぜ?
『漢字イラストカード1年生』
山田充 本体価格2,800円
漢字の形・読み方・意味をうまく関連づけられない子どももイラストとゲーム形式で習得できる小学校1年生の漢字80字。解説書付。

●子どもと心かよわす暮らしのなかの絵本の「読み合い」
『保育をゆたかに絵本でコミュニケーション』
村中李衣 本体価格2,000円
絵本を仲立ちとするコミュニケーション「読みあい」で、保育を豊かにする発想と方法を学ぶ。保育の場面に生かすブックガイドも魅力。


【総合ランキング】

保育・教育書 第1位
●特別支援教育のワーク教材
『SSTワークシート自己認知・コミュニケーションスキル編』
LD発達相談センターかながわ 本体価格1,500円
社会性の課題を抱える幼児から中学生くらいまでを対象にしたSSTワーク。子どもの相談からできたオリジナルな内容。コピーしてすぐ使える。

人文・社会 第1位
●希代の論客たちと白熱対談
『われら自身の希望の未来』
宮本憲一・宮本背広ゼミナール 本体価格3,200円
環境経済学の第一人者で積極的な発言を続ける宮本憲一が、斎藤幸平らと転機を迎えた現代社会の課題と解決の糸口を探る対談講演集。


【読者の声】

●チェコ共和国に恋をして15年
『チェコに学ぶ「作る」の魔力』

【女性・40歳代】
【とても面白く読みました。
私はアマチュアで楽器を弾いています。チェコには1度、数日滞在しただけですが、その時に聴いた、チェコのクリスマスミサ曲を、今、日本で弾く、というご縁に恵まれています。
 かといって、チェコについては完全な初心者。
チェコついてなんとなく興味があるものの、特段普段はかかわりもなく。そんな私が、ビビっときてこの本を買ってしまった次第です。
 読み終えて、さらにチェコに関心が深まりました。また、読み終えて思ったのは、実はあまのさんがご両親の介護、看病をされていたから、余計こういう本ができたのではないかということです。そして、私はそういうところにも共感したのかもしれません。私は40代ですが数年前似たような状況でした。突然の介護、1人で疲れたのを思い出しました。30代で、さぞかし大変だっただろうと思います。
 そして、そんな厳しい状況だからこそ、チェコの歴史的魅力から生まれた作るの魅力に気づけたのではないかと。私もとても勇気づけられました。】

●獣医師が描く切実な命の物語
『あるすてねこさんのおはなし』

【女性・10歳代(小学2年生)】
【人間の都合で捨てられてそのまま苦しんで亡くなってしまう猫はかわいそうだし、捨ててしまわないでほしいという気持ちが出ててとても良かったです。】


【編集より】

『まだら模様の日々』刊行によせて
 
『まだら模様の日々』
 今回は、個人的な話から始めてしまいます、申し訳ありません。
岩瀬成子さんの作品と出会ったのは、中学生の頃、岩瀬さんのデビュー作『朝はだんだん見えてくる』でした。
中学生になって、忙しくなり、とにかく本を読む時間が減っていました。でも、『朝はだんだん見えてくる』と出会い、心をガシッと掴まれてからは、「私にはこの本があるのだ」と、なんとなく気持ちの余裕が生まれました。いわゆる「運命の一冊」です。
それからずっと現在にいたるまで、岩瀬さんの作品を読んできています。児童文学であれ、エッセイであれ、その文章世界に魅了されつづけています。
これは私だけではないと思うのですが、毎回、一人称で語られる主人公がどんなに小さい子どもであっても、性別もこえて、「その子」と一体化してしまう、そんな至福に身を浸すのです(最新作の幼年童話『ぼくのねこポー』(PHP研究所)もほんとうにいいですね)。
 
岩瀬さんの本を、いつか、作りたい。そう思いつづけて数十年。2018年にきっかけを掴むことができました。幼少期を描いたエッセイには『大きい家 小さい足』(理論社)がすでにありますが、岩瀬作品の源にはきっと小さい頃の記憶がある、それをもっともっと「岩瀬さんの文章」で読みたい、その想いをお伝えしました。
 
本書は、それぞれ自立したエッセイ、写真、連作短編を一冊のなかに収めた「不思議なつくりの本」です。岩瀬さんから、写真を撮ってみたい、エッセイと短編を一緒に入れてみたいとご提案いただいたからこそ生まれたスタイルではありますが、私のなかにも「まるごと一冊岩瀬さん」の本を作りたい気持ちが強くありました。
本作りの過程で何度も原稿を読みました。そのたびに、その描写力に唸ったり、絶妙なユーモアに声をあげて笑ってしまったり。そして、思うのは、本書のあらゆるところに、岩瀬作品の魅力の秘密が潜んでいる、ということです。
 
岩瀬成子さんの文章世界をまるごと楽しんでみてください。秘密を探して、感じて、味わってみてくださいね。