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【連載エッセー第4回】 薪ボイラーに挑む

 丸山啓史さん(『気候変動と子どもたち』著者)は、2022年春に家族で山里に移り住みました。持続可能な「懐かしい未来」を追求する日々の生活を綴ります。(月2回、1日と15日に更新予定)

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 太陽熱温水器だけでは、冬場に熱いお風呂に入ることができない。寒い時期には、薪ボイラーを使う。

大きい(長い)型にしてみた

 家に薪ボイラーを設置することになったのは、ほとんどなりゆきだ。世界的な半導体不足の影響で、給湯器がいつ手に入るかわからない、というところから始まった(給湯器に半導体が使われていることに驚いた)。

  お世話になっていた大工さんは、「薪ボイラーなら手に入りますよ~」と教えてくれた。「この家族なら、薪ボイラーでも“うん”と言うかも」と思ったのかもしれない。台所にコンセントはいりません、トイレに換気扇はいりません、インターホンはなくしてください、などと、いくつも「非常識」なことをお願いしていたから。

 とはいえ、薪ボイラーを使うことは、まるで考えていなかった。お風呂は元からのものを残すことにしていたし、壊れていたガス給湯器を新しいものに取り換えるのだと思っていた。

 私と妻は、「薪ボイラーか…」となった。私たちにとって、薪ボイラーを使うというのは、なかなか難度の高いことに感じられた。草刈機を使わずに鎌を使うとか、自動車を使わずに自転車を使うとかいうのとは、わけが違う。
 
 薪ボイラーがどういうものか、まずは実際に見てみることになった。大工さんは、薪ボイラーで風呂を沸かしている家が近所にあるからと、そこに連れていってくれた(地元の大工さんに頼めてよかった!)。そして、その家の方は、薪ボイラーの使い方、煙突の掃除の仕方、薪の割り方などを、とても親切に教えてくれた。「薪のお風呂は体がとても温まりますよ~」という話も聞かせてもらった(不思議なことだけれど、これは本当にそうだった。ぽかぽか感が持続して、すごく気持ちがいい)。

燃料は杉が中心になりそう

 給湯器の見通しが立たなかったし、薪ボイラーでやってみよう、ということになった。ところが、考えることは、そこで終わらない。「バーナー付き」にするかどうかを決めなければならなかった。バーナーがあると、灯油で火をつけることができるらしい。

 バーナーがあると少し楽なようだったけれど、灯油タンクを設置することになるし、やっかいな面もある。何より、薪を使うと決めたのだから、化石燃料に頼らず、潔く薪だけでやってみたい気がした(バーナーは、後から取り付けることもできるらしいし…)。

 そういうわけで、我が家の薪ボイラーにはバーナーが付いていない。薪に火をつけるところから、うまくやらなければいけない。ライターで新聞紙なり杉の葉なりに火をつけ、大きめの薪に火を移していくのだけれど、いざ挑戦してみると、これが難しかった。なかなか薪が燃えてくれない。これでは、お風呂に入れない。前途多難だ。

 夏場は太陽熱温水器のおかげで薪ボイラーを使わずにすんだものの、秋が深まると薪ボイラーの出番が来る。薪ボイラーの腕を磨かなければ…。

『気候変動と子どもたち 懐かしい未来をつくる大人の役割』

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