FRBの政策変更がないのに円高となる理由
12月13日に米連邦準備理事会(FRB)は政策金利の上限5.5%を変更しないことに決めました。
そのあとドル円は145円程145円程度の円高となりました。政策を変えないのに円高になるのはちょっと奇妙ですが、FRBパウエル議長が、これまでの言い方を変えて、金利引き上げの一巡と今後の利下げを感じさせる発言をしたことで、金利低下の安心材料となり長期金利は3%台に低下しました。それをうけて、円高ドル安となりました。
すでにアメリカのインフレ率は3%台に低下しており、金利が5%以上であるのはかなりの引き締めですので、今後インフレを長続きさせてしまう賃金上昇率の低下を確かめながら政策金利を引き下げると予想します。どの程度のスピードで引き下げるかは、賃金上昇率の低下スピード次第ですが、インフレが収まっているので低下は時間の問題と考えます。
ドル円の行方については、日米双方の賃金上昇率の変化のスピードに依存するでしょう。アメリカは賃金上昇率が落ち着き金利は低下方向、一方、日本は人手不足がまだ続き、賃金上昇、金利上昇傾向ですので、円高ドル安傾向は続くとみています。FRBは賃金上昇が続いてインフレが再燃する恐れから金利引き下げに臆病になり、日銀は賃金上昇率がインフレを追い越すまで金利引き上げに臆病にならざるを得ません。
ドル円がコロナ禍前の110円程度の水準に戻るにはまだ数年かかるかもしれませんが、FRBと日銀が臆病風に吹かれる中で、ゆっくりと円高は続くとみています。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
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■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113
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