アメリカのインフレの方向性がはっきりしないが…
アメリカのインフレ率は今後も低下し、政策金利のこれ以上の引き上げは必要なく、来年前半から金利は低下すると予想しています。しかし、9月発表の米経済指標はインフレの方向性をはっきり示すものとはなっていません。
今月14日に発表された8月の小売売上高は、わずかながら7月より増えました。また中国の需要増期待や産油国の減産継続で石油価格が上昇し、インフレ再燃懸念の材料となりました。ただし、石油価格が上昇しても、人々の収入が伸びなければインフレは長続きしません。一方で、インフレ率そのものは政策金利よりも低く、インフレが長く続くかどうかに影響を持つ賃金上昇率は大幅には低下しないものの、3カ月ほど横ばいです。
市場は、今月1日発表の米雇用統計ではインフレは加速しないと判断しましたが、石油価格の上昇では少し懸念を強めたようです。それでも、現時点で市場の多数派は、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げがないとみていると報道されています。短期的な指標より長期的な指標を気にしていると言えそうです。
今後、長期インフレを占う指標として重要な賃金上昇率が前年同月比で3%台に低下してくれば、政策金利引き下げを見越して、長期金利は再び低下するとみています。賃金上昇率が現状の4%程度に止まっている間は、市場は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ懸念を持ち続けると警戒し続けそうです。
これからしばらくはアメリカの金利高とドル高が続きそうですが、逆転は時間の問題とみています。今後もアメリカの賃金上昇率に注目していきます。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
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■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113
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