神社の「御守り」が持つ意味とは?持ち歩き方のススメ
馴染みの神社で受けてくる御守り。
家族や友人などから贈られる御守り。
旅先で足を運んだ神社で出会う御守り。
さまざまなご縁で、あなたのもとにやってくる「御守り」たち。
あなたはそれを、どんな風に取り扱っていますか?
今日のテーマは、より身近に神様の存在を感じることができて、きっとあなたの心の支えになるであろう「御守り」についてのお話。
その「形あるもの」が私たちに与えてくれる意味と、知っておきたい持ち歩き方と納め方のご紹介もいたします!
なぜ、御守りを持つのか?
せっかく御守りを持つのなら、知っておきたいのは、御守りにはどんな意味があるのか……ということ。
神社にある「御神体」や神棚にお祀りする「御札(神札)」もそうなのですが、それらは神様の魂が宿る「依り代(よりしろ)」と言って、ひとつの「家」のような役割を持っています。
人々は「御霊(みたま)分け」と言って、さまざまな場所に神様の御分霊を宿すことで、その存在を身近に感じる工夫をしてきたということなのかもしれませんね。
神棚は「家庭」ごとに、御守りは「人」ごとに持つことができる「依り代」ということでもあります。ですから、神社では必ず神主の御祈祷によって、御札や御守りの中に「御霊入れ」を行っているのです。
御守りとは、そもそも「神様との絆を目に見える形にして、肌身離さず持ち歩くため」に生まれた文化。
目に見えない存在である神様との絆を通わせるには、私たちが「神様に心を向ける」ことが必要です。
御守りはその助けとなる、「形あるもの」だということですね。
持ち歩き方・管理について
人間の世界の物に例えるなら、御守りは神様と個人的に繋がることのできるトランシーバー(無線機)のようなイメージがあります。
困ったとき、不安なとき、がんばりたいとき……。
神社に足を運べない時であっても、御守りを通じて祈ることで想いは神様に届き、心の平穏や一歩を踏み出す勇気をいただけることがあります。
ですから、日頃から肌身離さず持ち歩くもの――鞄やお財布、パスケース、携帯電話などにつけるなどして、できるだけ「いつでも目につきやすい場所」に持っていただくのがよろしいと思います。
御守りを複数お持ちの場合、特におすすめなのは、まとめてお気に入りのポーチに入れるなどして持ち歩くこと。
御守りも無造作に鞄に入れるより綺麗に保つことができますし、どこかに入れたまま忘れてしまうこともなくなります。
よく「御守りをたくさん持つと、神様同士が喧嘩してしまう」という話を心配されている方もいらっしゃいますが、そのようなことはありませんので心配は要りません。
ただし、一つひとつをぞんざいに扱うようなことにならないようにしましょう。
仮に持ち歩かない場合も、引き出しの奥底にしまい込んで、いつの間にか存在を忘れ去ってしまわぬように注意したいものです。
たとえば神棚や机の上など、よく目にふれる場所に置いておくなどして、御守りを通じて「神様を意識する」ことが大切だということですね。
御守りの中身とは?
神社で奉職をしている際、よくご質問をいただくのが「御守りの中身」について。
御守りの中には「護符(ごふ)」もしくは「内符(ないふ)」という、神様が宿る御神体が入っています。
基本的に御守りは、大切な御神体が汚れたり傷ついたりしないように、中を開けることなく最後まで持ち歩いていただくもの。
「穢れ」は、御守りに宿った神様のお力を弱めてしまうことに繋がります。
神社では、御守りはおよそ1年ほど経ったらお戻しいただき、また新たなものを受けていただくようにご案内をしていますが、これもそういった理由があってのことなのです。
相性の良い御守りの選び方
神社で豊富な種類の御守りを前にすると、「どれを選べばよいものか……」と迷ってしまう方も少なくないはず。
その場合はぜひ、数ある御守りとの出会いの中で、心の「直感」と「愛着」を大切に選んでいただければと思います。
「直感」は、御守りをひと目見たり、手に取ったりしたときに感じる心のときめき。
「愛着」は、長く大切に持ち続けていたいと思えるような、愛おしさを感じること。
もちろん、御守りごとに込められた「願意(がんい)」などがありますから、心にある「願いごと」と「直感」や「愛着」に従って、楽しく御守りを選んでいただければ幸いです。
大切な人に御守りを贈る
御守りが、参拝の証である「御朱印」と異なるのは、「自分以外の大切な人に贈る」という文化があること。
あなたも、家族や友人から「これはね、〇〇神社の御守りなんだけど、あなたにぴったりだなと思って受けてきたよ」といった具合に、御守りをいただいたことがあるかもしれません。
たとえ本人がその神社に参拝をしていない場合であっても、その人を大切に想う誰かが神社で祈りを捧げ、御守りを通じて「御神縁」が結ばれて願いが叶うようにと贈る……。
そのように、人から人への素敵なプレゼントにもなるのが、御守りの魅力のひとつでもあります。
かけがえのない人へ「応援」をしようと思ったら、方法はいろいろとありますよね。
言葉をかけたり何かを手伝ったりするなど、直接力になってあげることもありますが、時には信頼を持ってそっと見守るべきときもあります。
そんな大切な人に、相応しい御守りを見つけることができたなら、それを贈ることで神様とのご縁を結ぶことも、ひとつの愛情の注ぎ方なのではないでしょうか。
御守りの戻し方(納め方)
大切に持ち歩いた御守りは、やっぱり愛着が湧いて、なかなか「手放したくない!」と思うこともあるでしょう。
そのお気持ちも大変よく分かるのですが、基本的には先ほどご説明した通り、御守りは一年に一度くらいを目安に、新しいものを受けていただくことをおすすめしております。
御守りは、私たちのそばで力を与えてくださったり、身代わりとなって災厄を跳ね返したりしてくださったりすることがあります。
そうやってお役目を果たす中で汚れたり傷んだりした御守りも、あなたが感謝を込めて神社にお戻しし、お焚き上げをすることで神様の元にお力が戻ってゆきます。
そして、また新たなものを受けることで、神様の「御神氣(ごしんき)」を授かることができるのですね。
もしくは、たとえば安産祈願や合格祈願などといった御守りであれば、「ひとつの願い」が叶うまで手元で力を貸していただくという持ち歩き方もあります。
その場合は、願いが叶った暁に再び神社へ出掛け、神様に感謝を伝えながらお納めするというのがよろしいですね。
御守りを心の支えに
人は誰しも、この世でさまざまな物事や人に翻弄されつつも、一生懸命生きています。
時には、心に余裕を失ってしまうこともあるかもしれません。
でも、その度に私たちは心を落ち着けて「調子を取り戻す」ことが必要になりますよね。
そのためのきっかけのひとつが、神様との繋がりを感じることなのではないでしょうか。
そして「御守り」の存在は、きっとその一助になることでしょう。
人が大事にすればするほど、想いを込めれば込めるほど、御守りの存在には「意味」と「御神威」が込められてゆくものです。
あなたと神様との繋がりも、どんどん深くなってゆくことでしょう!
お手元の御守りを、ぜひ大切になさってくださいね。
文/巫女ライター・紺野うみ
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