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記事一覧
某氏へのメッセージ10
1月24日
2014年にドイツのマンハイムで見た "ESCUELA" の作家 Guillermo Calderónの新作である"Mateluna"を、サンティアゴ・ア・ミルで見た。
その作品は "ESCUELA" の後日談のようなものだった。
"ESCUELA" は80年代のチリにおける、反体制左翼ゲリラの養成所を描いたもので、皆々が覆面をしてお互いの顔も名前もわからないまま、ゲリラになるため
某氏へのメッセージ⑨
1月18日
毎日、ここサンティアゴで舞台作品を見ている。
ほとんどの作品はオールドファッションといったところで、だから失望している。
「けれども、オールドファッションのなにがわるいのか?」
今日はコロンビアからの作品を見た。やっぱりオールドファッションだ。でもおもしろかった。ひとりの男の死とその家族の話。
ストーリーはとてもシンプルだった。観客はたくさん笑い、感動していた。
そういう彼ら観客を
某氏へのメッセージ⑧
1月11日
ブエノスに来てからの2ヶ月は、かならずしもいいものではなかった。
だが不思議なことに、どこか別の場所に行くとき、ブエノスが恋しくなっている。
住めば都。
それに日本の多くのニュースはギスギスしているように見える。いま。ぼくには。
明日は大規模な舞台芸術フェスティバルを見るために、チリはサンティアゴに飛ぶ。帰りはバスで30時間くらいかけて帰ってくるつもりだ。
人生山あり谷あり。
今年は
某氏へのメッセージ⑦
12月27日
ある町にて。
年末のにぎやかな人混み、強い日差し。果物や雑貨、乾電池などが積み上げられ、並べられているセントロを歩いて、かつてそこにやってきた異邦人のことを思う。
観光地ではないその町の、すぐ近くに国境はある。
人間には移動するということが遺伝子に組み込まれているのだろう。人の行き来がその町の活気を支えているように感じた。そして街角や店の前には、マシンガンを持った警官やガードマンが
某氏へのメッセージ⑥
12月20日
ブエノスアイレス*には、おおきくわけて2つの日系コミュニティがある。と、"Bonenkai"に行ったときに、沖縄系の移民者からそれを聞いた。
ひとつは沖縄系移民で、彼らは長い歴史を持っている。もういっぽうは、「内地」出身で、沖縄系コミュニティよりも新しいひとたちだ。沖縄系のひとたちの多くは、ペルーやブラジルのそれとおなじように、第二次世界大戦の影響もあって、日本語を話さない(話せ
某氏へのメッセージ⑤
12月13日
「日本食を食べに行きましょう」
と彼に言いました。
それから、わたしたちはサンクリストバルにある「カサ・ハポネサ」に向かいました。ラーメンを食べさせようと思っていました。
けれども、彼の家系はイランの出身で、そのためなのでしょうか。豚肉が食べられないということでした。
彼は焼鮭定食を食べ、こんなにうまい日本食はいまだかつて食べたことがないと言いました。
わたしはうどんを食べました。
某氏へのメッセージ④
12月7日
地下鉄によく乗る。ブエノスアイレスの地下鉄は、SUBTEと呼ばれている。
「SUBTE」なんだか奇妙な響きがする。
SUBTEや電車やバスに乗るのには、「SUBE」というカードが必要である。これも奇妙な響きの名前だ。意味はいつかわかるだろう。
この一年、スペイン語圏、フランス語圏、英語圏に行った。そのすべて、アルファベットの組み合わせでことばをつくっている。
それではバリエーション
某氏へのメッセージ③
11月28日
今日28日は祝日でどこにも行かなかった。昨日の日曜日もどこにもいかなかった。
日曜日は、家族で過ごす日。おなじく祝日も。だからどこにもいかず、誰にも会わなかった。(ハウス)シェアメイトともほとんど会話せず過ごした。
そして、ASKA逮捕のニュースと「君の名は。」のことと投票の権利と義務について考えていた。今日は「国民主権の日」という休日らしい。
ここでは、中流階級と下層とホームレ
某氏へのメッセージ②
11月21日
家の近くに、日系のレストランがあると知って、日本食が食べたいぼくは行ってみた。が、夕食を外でひとりで食べるのはさみしいな、なんて思ってた。
そこは日系会館併設のレストランで、入るか入らないか迷っていると、奥のほうから剣道の音が聞こえてきた。会場のドアがわずかに開いていたので、覗き見する。
すると10人くらいのアルゼンチン人が、コテ!とかメン!と元気よく竹刀を振っているので、時間も
某氏へのメッセージ①
11月14日
あたらしい人たちと会うときはいつも、
彼たちはキスとハグをしてくれる。
ぼくはいつもわずかな期待と静けさと、貧しい言葉を持つ。
腹がへったときはいつも、
築116年のバルコニーで、アリが朝食に好む牛乳入りのタバコを吸う。
アリが寄ってくる。
夜になると、人妻たちがブラウンカラーの通りに出てくる。
叔父はばかみたいな言葉を吐くのをやめないので、
ぼくがじつはばかなんじゃないのかと