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眠気を感じないナルコレプシーの患者さんが実在するのを知っていますか?医療関係者にも診断を否定されるナルコレプシーの症例について

どんな疾患でも同じ疾患の患者さんには症状に個人差があるものです。

例えばCOVID-19の場合、入院をしてしまう重症の方、命を落としてしまう方、全く無症状で何も感じない方、軽い風邪のような症状で済んでしまう方もいらっしゃいます。

現在、ナルコレプシーはテレビで放送された症状(自転車に乗って寝落ちして電柱にぶつかってしまう、他人との会話中に寝てしまうETC)が有名になりすぎて、正真正銘のナルコレプシーの患者さんに「TVで放送された症状と違うからあなたはナルコレプシーではない!」と否定をするような方が大勢いらっしゃいます(医療関係者の方にもいます)。
しかし、TVで放送されるような症例は極端な症例であるということをお伝えしたいと思います。

例えば「ナルコレプシー1型の眠気は他人との会話中に眠ってしまうものだからあなたの眠気はナルコレプシーではない!」と一般の方(時には医療関係者)に否定されたというナルコレプシーの患者さんがいらっしゃいます。
しかし、実際、他人との会話中に寝落ちするナルコレプシー1型の患者さんは少数派です。
「ナルコレプシーの患者さんが会話の途中で寝てしまう症状は稀です」ということに関して、アメリカのナルコレプシーの啓発団体が啓発をしています。


ナルコレプシー1型の患者さんには眠気を感じない患者さん(眠気の症状を疲れ、苛立ち、集中力の低下、など別の症状で感じる患者さん)すらいらっしゃいます。
そして、こういったケースの患者さんの場合、医療機関さんや睡眠専門医さんですらナルコレプシー1型の診断を否定されることがあります。

この Sleepiness doesn’t always LOOK sleepy 
(ナルコレプシーの眠気の症状は眠気には見えないことがある)
(≒ナルコレプシーの症例は常に眠気の症状を呈すとは限らない)
について英語圏では当たり前のように啓発されています。


ナルコレプシーの患者さんの中にはMSLT検査が偽陰性になる患者さんがいらっしゃいます。そして、そういったケースでは本当にナルコレプシーの患者さんでも「ナルコレプシーではない」と診断を受ける患者さんもいらっしゃいます。
※現在、睡眠科でナルコレプシーの検査として採用されているMSLTはナルコレプシー1型の患者さんの約7%に偽陰性となりますが、そのことをご存知ない睡眠専門医さんは多くいらっしゃるようです。

ナルコレプシー1型の患者さんでも脱力発作が軽度で地面に転がることがない患者さん。脱力発作が顔に力が入らない、呂律が回らない、そんな感じの症状の患者さんがいらっしゃいます。
そして、そういったケースでは医療関係者に「ナルコレプシーはもっとこうだから」「あなたの発作は脱力発作ではない」と言われ続けてしまった患者さんがたくさんいらっしゃいます。

私の個人的な知り合いのナルコレプシー1型の患者さんでも「眠気は感じなかった、眠気だけなら診断を受けられなかったと思う」「眠気というよりも毎日疲れているようなそんな感じだった」という方がいらっしゃいましたが、そのナルコレプシー1型の患者さんは脱力発作や入眠幻覚の症状が酷くて診断を受けていました。
脱力発作が軽度な患者さんもいらっしゃいます。脱力発作は一瞬何の発作だかわからないような、体の一部が動かなくなりような発作が起きることがあります。「脱力発作は地面に倒れ込むような発作だからその発作はナルコレプシーの脱力発作と違う!」と医療関係者に否定を受けていた患者さんもおりますが、こういった患者さんの多くは睡眠専門医を受診しておらず、精神科医で睡眠障害を見ているという医師を受診していますので、別の病院を受診することで診断を受けられています。

ナルコレプシーの場合、オレキシン検査が受けられるようになり、検査の方法が広がったことで誤診が少なくなったようにも感じられます。ナルコレプシーの場合、認知が広がっているおかげでナルコレプシーでも他人との会話中に寝落ちはしない、眠気が少ないケースがある、脱力発作は地面に倒れ込まないケースもあるという情報が比較的簡単に手に入ります。

しかし、今現在でも正真正銘のナルコレプシーの患者さんが医療関係者が思っているような症状がない場合にその診断を否定されてしまうことがあるのが事実です。


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