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紹介したいnote記事「前略、元恋人さま」

冬月剣太郎 猫詩人🐈さんの「前略、元恋人さま」という記事を紹介します。

妻の誕生日の夜

秋風の便りで

貴女の死を知らされて

妻に内緒で泣いています

暗い寝床のなかで

貴女の笑顔を想いだしました

泣き顔を想いだしました

渡りかけた三途の川に

浮世のしがらみは

すべて捨ててきたつもりですが

今宵は心が揺れています

前略、元恋人さま| 冬月剣太郎 猫詩人🐈 (note.com)

 この詩をパッと見た時、サザンオールスターズの桑田佳祐さんが歌にしそうだなと。桑田佳祐さんの「月」が脳裏に浮かびました。


「妻の誕生日の夜。秋風の便りで貴女の死を知らされて、妻に内緒で泣いています」

 妻の誕生日ですから、ケーキを買ってきて一緒にお祝いした事でしょう。美味しい料理やお酒を飲んだりして、楽しい時間を過ごしたのではないでしょうか。

 そんな中、思いがけず知らされた元恋人の訃報。親しい友人からの知らせでしょうか。どのような理由で別れたのかはわかりませんが、泣くほどまでに愛していたのでしょう。

 そんな夫の気持ちも知らず、隣で幸せそうに眠る妻。軽く寝息を立てているのでしょう。その妻に悟られまいと、布団を被って泣いている姿が目に浮かびます。

「暗い寝床のなかで、貴女の笑顔を想いだしました。泣き顔を想いだしました」

 笑顔は幸せな場面を想像させますが、泣き顔は悲しい場面です。愛し合う二人が別れなければならなかった日の情景が、昨日の事のように思い出されたのでしょう。

「渡りかけた三途の川に、浮世のしがらみはすべて捨ててきたつもりですが、今宵は心が揺れています」

 三途の川が見えるほどに死に近づいたと言う事は、病気か大怪我で生死を彷徨ったのかも知れません。それが奇跡的に助かったと。その時に、一度死んだつもりで生まれ変わったのでしょう。この世に対する未練なども捨てたはずだと。

 それなのに「心が揺れている」と。元恋人を思い出して、一気に過去に飛んだのでしょうか。若かったあの頃に。


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