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「そこで死んでいるのは本物のあんた自身だ」(ゼロが教えてくれた事)

 「ゼロ THE MAN OF THE CREATION」は、愛英史先生が原作、里見桂先生が作画の漫画で、集英社「スーパージャンプ」で1990年から2011年まで連載され、全78巻まであります。


 私にとってはバイブル(聖書)のような漫画で、何度も繰り返し読んでいます。以前にも「ゼロの名言」としていくつか紹介させていただきました。

 今回改めて、マガジンとして「ゼロから学んだ事」を紹介していきたいと思います。

 第1巻は、影の総理と言われる大物政治家の児玉巌が殺し屋に殺されるところから始まります。見事に仕事をこなした殺し屋は満足して帰っていきます。その様子を別室で見ていたのは、殺されたはずの児玉とゼロ。二人は殺害現場の部屋に入って死体を確認します。

「所詮、作り物とは言え、己の死体を見るとは」

 児玉の言葉に対し、ゼロは憮然とした表情で言います。

「作り物なんて低俗な言葉で私の仕事を侮辱してもらいたくないね。そこで死んでいるのは本物のあんた自身だ」

 言葉の出ない児玉にゼロが続けて言います。

「どんなに権威のあるドクターでも、その死体がお前さんである事を証明してくれるだろう」

 ゼロが請求する報酬額は40億円です。

 この金額を高いと思われるかも知れませんが、彼の仕事を考えますと当然の値段です。

 まずは児玉そっくりの男を探してこないといけません。ゼロ本人は忙しいので、専門の業者に依頼するのでしょう。そして「替え玉」の人物の人生を買わないといけません。ただで死んでくれる人はいませんから。

 殺される事を覚悟して替え玉になってもらうには、どれほどのお金を積まないといけないでしょうか? そして、その人に整形手術を施さないといけません。その際、体の小さな傷なども完璧に再現します。

 そして本物と言うからには、児玉自身の記憶を替え玉にインプットしないといけません。それが出来る機械を彼は用意します。DNAまで変える事が出来るかはわかりませんが、医師が本人だと結論づける全てを準備するはずです。

 ですから、素材(替え玉の人間)や手術の機械、それを調達する専門のプロに依頼する料金など、必要経費だけでも十数億はかかるはずです。

 ゼロは時に、赤字になっても依頼を受ける時がありますが、今回の40億は仕事に見合った相当の額だと思います。

 常に完璧なものを求める彼が作るものは「本物」です。つまり、オリジナルがあるとすれば本物が二つになるわけです。

 既に失われたものであったとしても、ゼロが以前に「見た」ものであれば再現可能です。恐ろしいほどの記憶力と知識で本物を作り上げるゼロ。

 彼の活躍を見ながら「仕事に対する真摯な姿勢」を学びます。決して妥協せず、本物を再現する。私もそんな仕事をしたいと思っています。


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