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物書きなんて、病んで当然だよね❤(暴論)

人生同様、壮大な「つじつま合わせ」だもの。


みなさま、お疲れ様です。
これまた私自身の僅かな経験を基に、極論を振りかざす話で恐縮ですが。
「物書きなんて、病んで当然だよね」という話を書きたいと思います。
思いっきり、主観と自己弁護に偏っていることを、お許しください。
Youtube動画の原稿に、大幅に加筆してお送りします。

既存の作品をゲーム化するのには、抽出力が必要

ここでは、特に、オリジナルのストーリーや世界観を作って、ゲームにするタイプのライターについて、書きたいと思います。
ノベライズのように、既存の作品をゲーム化するのには、また別な能力が必要だと思います。
この場合は、たとえば、面白い場所を見出す、抽出力とでもいうようなもの、でしょうか?

では、オリジナルのストーリーをゲーム化するのに必要なのは?

私は、ゲームシナリオライターには、少なくとも、オリジナルのストーリーを書くのには、理屈をこね繰り返せる能力が必要だと思います。
頭の中で、理屈やストーリーの起承転結を考える続けるのが好きかどうか、ということです。

「なんとなく」という答えはNG

「ここは、なぜ、キャラクターがこういう行動を取るの?」とか、
「ここは、なぜ、こういうセリフを返して来るのですか?」と聞かれて、
ただ、なんとなく、なんて返すようでは、訓練が足りないんじゃないか、と思うのです。

例えば、声優さんにレコーディング中に質問されたら、演出の意図も含めて、自分の言葉で説明できなくてはダメです。
それには、なんにでも質問に答えようとする姿勢と、「この人が、こういう行動を取るには、どんな理由があるのだろうか?」と、突き詰める力が必要だと思います。

屁理屈も理屈のうち

私は、説明できないのがイヤだと思うタイプです。
どんな質問をされても、ある程度は、自分の言葉で返せないと、負けた気になるタイプです。
自分の理屈が、正しいかどうかは、関係ない。
ようは、屁理屈も理屈のうち、なんです。

「お前、この絵どう思う?」と聞かれて

これは、私がスタジオパンサーに入社して、まだ3日と経たない時のこと。
ある人に「お前、この絵どう思う?」と聞かれました。
ディスプレイには、女性のキャラクターが描かれていました。
私は正直に、「少し絵柄が古いように感じます」と答えました。
すると、お相手は「具体的に、何処が古いと思う?」と畳みかけます。
私は「キャラクターの輪郭線が太くて、古臭く感じます」と答えました。
「そうか…」と、お相手は少し考えた様子。

後日、その方は、イラストレーターの職を辞しました。
ちなみに、この方はスタジオパンサーの社長さんです。
対して、当時の私は何の実績も無い、ズブの素人。
社長は、その後、ミュージックコンポーザーとして大活躍されました。

それまではイラストレーターとして、ゲームのキャラクターを描いたりも、されていましたが、社長がキャラクターを描くことは、なくなりました。
後輩のイラストレーターの指導のためにアドバイスをしたり、デッサンをチェックしたり、コンテを切るような作業はされましたが、社長のキャラクターイラストを基に、ゲームを作ることは、それ以降、ありませんでした。
デザイン力には素晴らしいものがあったので、印刷物の版下を作ったり、ロゴデザインをしたり、いろいろと才能のある方でした。

拙い経験ですが、私は今でも、当時のことをリアルに覚えています。

「お前、この絵どう思う?」と聞かれたとき、
私は、どう答えるのが正しかったのか?
違う答えをしたら、どうなったのか?
それは、私には、わかりません。
でも、この経験は、私に大きく影響を与えました。
相手の立場や役職が異なっても、自分の意見をいうことに、戸惑いがなくなりました。
…おかげで、サラリーマン社会では、苦汁を舐めることになるのですがw

クリエーターは、「私は、こう思う」という習慣をつけよう

たとえ、他のクリエーターと意見が違ったとしても、喧嘩にならないように、無理筋にならない程度に、言葉に気を付けながら、「私は、こう思う」と話を続ける。
私は、そういう姿勢が、クリエーターには大事だと思います。

ゲームには、分岐がある。キャラも選択で成長し、変化する。

小説家なら、全てを答えられなくても、良いかもしれません。
メインシナリオとは違う、別ルートを考える必要性も、少ないでしょう。
小説と違って、シナリオには、セリフとト書きしかないのです。
しかも、ゲームとなれば、フラグやカウンタ等のパラメータも意識しないと、いけません。
ルート分岐も、意味あるように、仕向けなくては、いけません。

  • どこの、どんなフラグで、キャラクターの運命が変わったのか?

  • なんの、どんなパラメータで、世界が変化するのか?

  • ゲームの物理法則が、この世界と違うなら、どんな法則が事象を左右しているのか?

それらの組み合わせや答えが、少なくとも、自分の頭の中にあって、ロジカルに繋がっていないと、ストーリーも繋がりません。
そうでないと、キャラクターの動きが、突飛なものに、なりがちです。
飛躍があり過ぎると、ストーリーに無理があるように感じられます。
キャラクターが変わる(成長する)のには、相応の理由や出来事が必要です。

企画屋は、ペラいちでもセリフ1つでも、シーン1個でもいいが

企画屋さんは、ペラいちの文書や、気の利いたセリフや、印象的な1シーンを書くだけでも勝負できる(場合があります)。
絵師さんは、魅力的なキャラ絵を1枚書くだけで、皆を説得できる(場合があります)。
でも、シナリオライターは、時には、既に出来上がっているそれらを基に、ストーリーを編み、起承転結をつけて完成させなくては、いけません。

共同作業には困難がつきもの。だから成長する

時には、非常に制約のある中で、ストーリーを完結させなければ、いけません。オーナーや他部署のスタッフに忖度することだって、あります。
どうしても伸ばせない〆切や、増やせない予算や、絵師さんが苦手にしていて描けない構図や、日本では許されるけど、外国では許されない表現だって、当然のように、あるわけです。
(海外向けローカライズは、異文化交流ですw)
それらを、みんなで乗り越えて成長しながら、ゲームを完成させるのです。

シナリオライターが書き終えないと、他部署に影響が出るから

今とは規模が全然違うとはいえ、私も1週間でゲームを一本書いたり、追加CGが三枚しか発注できないのに、他の人が投げ出したシナリオを完結させたり、複数人で書くはずだった恋愛シミュレーションゲームのシナリオを、独りで完成させたりしました。
それと同じくらい、私も後輩のシナリオライターに迷惑を掛けたし、彼らに助けられました。
絵師さんを振り回したし、時に振り回された。
「それを言っちゃ、お終いよ」な言葉を吐いた。結果的に、皆を苦しめた。
共同生活に向かない私ごときが、会社に住みながら、よくやったもんだ。
(上下に貼った画像を読んで、お察しくださいw)

よく出来たと思ったら、売れなくてもガッツポーズを!

勝手に動くキャラクターに足枷をつけてでも、自分で書いたキャラクターに恨まれたとしても、エンディングに向かわせていかなければ、ならない。
ゲームの起承転結が、当初考えていたものより良いものに仕上がったら、
たとえ買ったユーザーには不評だったとしても、売れなくっても、心の中でガッツポーズをする。
それが、(それも)ゲームシナリオライターというお仕事だと思います。

現役クリエーターの皆さん、頑張ってくださいね!

制限が多い環境で書くのは、とても悩ましい作業になります。
でも、それが地頭を鍛えます。
こういった面倒ごとを考えるのが、苦痛と思うのか、楽しいと思うのか?
そこが、ゲームシナリオライターに向くか、企画屋に向くかの、違いだ。
そんなふうに、私は考えています。
最初は、無理があると思っていたストーリーが、最期は、綺麗なナラティブとして繋がる。そんな経験をした時、とても清々しい気分になれる。
それが、ゲームシナリオライターの喜びで、自身の成長を実感する時だと思うのです。

私は、もはや自分でゲームを作る立場ではありません。
でも、この話が、現役クリエーターの皆さんへの刺激となれば、幸いです。
ではでは、また、いつか。

上下の画像とも、神坂兼人の名義で書いた大人向けゲームでのこと。紆余曲折で絵師さん大混乱


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