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題:期末テスト
初めましての方は初めまして。高校生ライターのリシュンです。
初めての題は「期末テスト」──つい先日、私も四日間のテスト期間を乗り越えたばかりで、本当にいろいろな意味で終わりました。
拙作初投稿となります。ぜひ本作をお楽しみください!
「お前、テストの点数何点だった?」
向かい側の席に座る大柄な男が僕に声をかけた。手には、がさつに割れた割り箸を持ち、その先を僕に向けている。口には大量のごはんが掻き込まれていて、なんというか少しはしたない。
そんな大柄な男──タッパが僕に聞くには、つい先ほど返却された期末考査の点数。正直、やはり聞いてくるだろうとは思っていた。
「え、お前から言えよ」
僕はあからさまに嫌な顔をして、タッパのその問いに答えた。
はあ?──タッパは口に含んだご飯のせいか、口をハムスターのように膨らませてそう言う。だが、それに対し僕は反抗的な目を向けた。僕も弁当のおかずを口に含んだ。
「サトル、お前今回手応えあったって言ってたじゃん。特に英語とか、古典とか」
「・・・・」
英語?古典?なんですかそれ。
解けた記憶がありません。脳が溶けてしまいそうなほど、熱い眼差しをこちらに向けるタッパ。
僕の点数に期待しているのだろう。だが、僕は君の期待には答えられないようだ。口を割りたくない。
英語とか知らねえし、と僕は言った。
「あー、じゃあ今回低かったってことか」
何故か納得したような表情でタッパは頷く。
「確かに、英語、難しかったもんな」
妙に達観したようなそのセリフ。箸を持ちながら、腕を組む。彼の持つ箸が可哀想に思えてきた。
「・・・お前はどうだったんだよ」
今度は僕がタッパに疑問を投げた。
「え、知りたいか?」
その疑問を耳にした瞬間、タッパの顔の色が変わる。にたにたという擬音が最適であるかのような、明らかに下劣めいた満面の笑みで僕を見る。
「ちっ、じゃあ今回よかったってことか」
「そう!特に英語が!」
「・・・・」
だからか。
またおかずを口に含んで、目の前の巨体の顔を見る。
どうだ羨ましいだろうと言わん限りの憎たらしい顔。思わず手が出てしまいそうだ。
「いやあ、ほんと先生に言われた通りだった。英単語よ、英単語!赤字の部分だけじゃなくて、黒字も出すって言ってたのをテスト前に思い出したおかげでな?大問2全て丸!最高だぜ!」
「・・・そうかよ」
黒字、黒字か──。
だからあんなに落としてたのか。
くそ、と愚痴が漏れる。
「まあ、でも俺も、他の教科はてんでダメだからな。まだ三つしか返されてねえから、他が問題だ。午後は確か、数学だよな?返されるの?」
「ああ、数学の前半だな。あれも解けた気がしねえ」
他教科も不安が残るものばかり。
テスト返却を楽しんでいるものとそうでないものに二極化されるのが普通だろうが、区分するなら僕は明らかに後者だ。
返すのなら一気に返してほしい。
なぜいちいち各教科担の先生から渡されないといけないのだ。
それがいいと目の前の男は言うのだろうが、そこだけは相容れない。
「今回、初めて英語に自信がついた。俺もやればできるってことが証明されたぜ」
「・・・はいはい、そうですか。それは良かったですね」
「──ふっ、なんだかお前に勝った気分だぜ」
はあ、と溜め息が漏れる。
もしかすると。もしかするとだ。
僕は目の前のデカ男に本当に負けているのかもしれない。
英語、英語だけでなく、、、、。
「数学の前半──ああ、確率だったよな。あ、俺確率も自信あるわ」
だからこそのこの彼の浮かれ具合なのかもしれない。
高校生になって僕はテストを楽しむ身ではなく、追われる身になったから。
タッパのようにテストですら楽しめるのはある種尊敬する。
自分には到底できないことだ。
将来の展望が見えない。
僕はどこの大学に入ることになるのか。
何をしているのか。
何か楽しいことを見つけているだろうか。
それはまだ兆しすらも掴めていないという証左。
テストでいう、未回答。
僕は食べ終わった弁当を片付け、テストの期待を独り語り続けるタッパを見なが、そんなことを思った。
そろそろ、昼食の時間も終わりだ。数学、何点だろうか。
そして、タッパは思い出したように僕に言う。
「で、結局、サトルは英語、何点だったんだ?」
「・・・はちじゅう、はちだな」
「は?おい待て、俺より高いじゃん」
タッパは自分自身に箸を向けて、口を開く。
「俺、62点」
その点に思わず笑ってしまった。
はい、実際の私の点数です。
英語ではありませんが、一番低い教科の点数ですね。
いやあ、テスト返却って恐ろしい。
でもその分友達との点数の共有で楽しむこともできますよね。それもまたテストの一興だと私は思います。
テスト返却も楽しまなくては!
次回作もお楽しみに‼︎
次回作予定「GTEC試験官」
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