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かつて耳管開放症を克服した話

最近、耳の不調を訴える方が増えているそうだ。私は8年前に「耳管開放症(じかんかいほうしょう)」を発症し、克服した。この経験が少しでも誰かの役に立てばと思い、ここにまとめてみた。

8年前の夏に耳管開放症を発症

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耳管開放症とは、その名の通り耳管(耳と鼻・喉をつなぐ管)が開きっぱなしになる病気のこと。

8年前の春、私は体調を崩して体重が減少した。その年の7月、耳に違和感を覚えるようになり耳鼻科を受診したところ、耳管開放症と診断を受けた。

耳管開放症は大人の女性に多い病気で、原因のひとつに体重の減少が挙げられている。耳管周囲の組織がやせることで耳管が開きっぱなしになり、症状が出るそうだ。他にストレスや脱水、妊娠なども原因になると言われている。

私の症状

耳管開放症では次の症状が多いとされている。
自声強聴:自分の声が大きく聞こえる
自己呼吸音聴取:自分の呼吸音が大きく聞こえる
耳閉感:耳がつまったような感覚

私は自声強聴、自己呼吸音聴取の症状がよく出ていた。外からの音は普通に聞こえるのだが、自分の声や呼吸音が大きく響いて聞こえる。傍から見れば全く分からないけれど、本人にとっては結構なストレスになる。

また、深くおじぎをするように頭を下げたり、横になると症状が治まった。これは、耳管周りの血流が促進され、管が狭くなることで一時的に症状が治まるためと言われている。

私の治療法

耳管開放症の治療にはさまざまな方法があるようだが、私は加味帰脾湯(かみきひとう)という漢方薬を飲んで治療することになった。

てっきり西洋医学的な治療をすると思っていたので、安心するような、これだけで本当に治るのかと不安になるような、複雑な気持ちだった。

また、医師には「頭を深く下げることも治療のひとつです」と聞いたので、これも実践した。

幼稚園の運動会でのエピソード

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耳管開放症を患っていた時、私は幼稚園の役員をしていた。役員活動で特に大変だったのは、10月初旬に実施された運動会のお手伝い。話は多少逸れるのだが、あえて運動会でのエピソードをご紹介したい。

幼稚園の運動会では、役員として次の役割をこなした。

・ゴールテープを持つ係
・三角ポールを置く&片づける係
・白線を引く&消す係
・かけっこで拾うお菓子を並べる係
・子ども達にハチマキを巻く係
・競技中、トラックの内側に座って見守る係
・玉入れ競争を手伝う係
・子ども達にプレゼントを配る係
・運動会終了後、お遊戯室のビニールシートを雑巾がけする係

先生に役割分担を伝えらえた時はおののいた。自分の子どもより明らかに出番が多い。果たして自分に務まるのだろうか…。

さらに夫が出張中だったため、親子競技にも参加した。運動会は朝から始まり、お昼休憩を挟んで14時過ぎに終わる。もちろん早起きしてお弁当も作った。

当日はよく晴れて暑かった。耳管開放症では脱水にも気を付けた方がよいため、とにかくこまめな水分補給を心がけた。暑い中で緊張感をもって体を動かし続け、すっかり疲れたが、何とか最後までやり遂げられた。

ちなみに運動会の一週間前、予行演習でもほぼ同じことをやった。(これも大変だった。)

耳の症状は運動会のあいだじゅう、ずっと続いていた。しかし、すべての役目を終えて家に帰った途端、症状がぴたりと消えた。

「緊張やストレスがあると耳管開放症の症状が出やすい」ということを身をもって実感した一日だった。

なお、私の子どもが卒園した後、運動会は午前中で終わるように変更された。役員活動も保護者の負担を減らす方向で動いているようだ。

当時の私は、役員を辞退するほどではないけれど、体重が減って体力が落ちていた。運動会のお手伝いは重労働だった。

役員活動で得られるものは多いし、楽しく貴重な経験をさせてもらった。でも、保護者の負担が大きくなり過ぎない環境が望ましいとも思う。子どもが通う幼稚園や学校は、保護者にとっても気軽に通える場所であって欲しい。

秋が深まる頃には改善傾向に

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話は戻り、11月に入ると症状が出る頻度はかなり減ってきた。耳鼻科でそのことを伝えると「いいですね。では漢方薬を飲む回数を減らしたり、時々飲むのをサボったりしましょう」と言われた。

耳管開放症は、ある日を境にぴたっと治るものではなく「そういえば最近症状が出てないな」という感じで徐々に治っていくものだ、とも教わった。

それから少しずつ漢方薬を減らしていき、症状が出なくなり、耳鼻科通いを終えるに至った。

現在の状況

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耳管開放症を発症・克服してから8年が経過した。今でもたまに症状が出ることはある。水分が不足している時だ。症状が出た時は、水分を取り、頭を深く下げるとすぐに治まる。

こういう状態なので、厳密には、完全に克服したとは言えないのかもしれない。ただ、日常生活には支障がないので、自分の中ではほぼ治ったと思っている。

症状が出ないようにこまめに水分を取り、血流をよくするストレッチなども意識的に行っている。

すべての経験は人生の糧になる

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耳管開放症は、病気と向き合う心を私に教えてくれた。

誰もが言うように、ストレスが不調を招くことも分かった。耳管開放症の症状は緊張状態の時に出やすかったし、発症の原因である体重減少もストレスが原因だった。

体の不調はストレスで心が疲れている時のサインでもある。だからこそ、ストレスには早めに対処したい。自分なりの対処方法を見つけておこう。

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