フェムテックと薬機法
人気アパレル企業の吸水ショーツが女性の間で話題になっている。この企業が販売している吸水ショーツとは生理ショーツのことで、いま注目を集めているフェムテックの商品である。
FemTech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。生理など女性の健康課題をテクノロジーの力で解決する製品やサービスを指している。
国内外でフェムテック市場は拡大しているが、現状の日本では法制度の壁がある。
「薬機法」や「生理処理用品製造販売承認基準」に基づくと、先ほどの吸水ショーツは雑品に分類され、広告では生理用品であることを明確に表現できない。また、「経血を吸収」という表現もできない。商品説明には「30ml~40mlの水分を吸収」と記載されている。
この表現だと、消費者には「水分」が経血のことなのか、おりもののことなのか、尿モレのことなのかが分かりづらい。生理の悩みを抱える女性には、明確な記載がある方がより普及しやすいだろう。
もちろん薬機法などの法制度は遵守すべきであるし、法制度を無視した悪質な広告については是正しなければならないと思う。
しかし、法制度の壁によって、この吸水ショーツのように新たな商品が、最も訴求したいことを広告表現できないという課題も発生している。この課題が売り手にとって大きな痛手となっていることは想像に難くない。
今後、官民連携による法制度の整備がどのように進むのか注目していきたい。
一方で、消費者側が法制度について知り、その上で自分に合う商品を見極めるという姿勢を持つことも大切なのかもしれない。消費者が法制度を知ることは、悪質な広告に惑わされることを防ぐ上でも役立つだろう。
フェムテック市場の広がりによって、他にも実感していることがある。それは、生理やPMS、更年期障害など、女性の不調を話題にしやすくなってきたことだ。
特に日本の職場では生理の話題をしづらく、私も正社員の頃は「生理で調子が悪いです」などとは言えず、無理をしてでも働くことが当然なのだと思っていた。
しかし最近は、女性の生理による不調を会社の課題として取り組む企業も出てきているようだ。女性特有の不調に対して企業が柔軟に対応することで、社員のパフォーマンス低下による労働損失を防げるというメリットも期待される。そうなれば会社と女性の双方にとってウィンウィンである。
私がフリーランスになってよかったと思うことのひとつが、毎月の女性サイクルに合わせた働き方ができるようになったこと。「この週は不調が出やすいからゆとりのあるスケジュールにしよう」などと自分で予定を立てられるのは本当にありがたい。
正社員であっても女性サイクルに合わせた働き方が可能になれば、女性が体を大切にしながら働き続けやすくなるのではないかと思う。
正社員に限らず、どのような立場の女性も生きづらさを抱えることのない社会が実現できるように、私も自分にできることを励みたい。自分の力は微力だけれど、無力ではないと信じている。
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