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補聴器ユーザーになってわかった”あるある”

夫(K)は2020年11月から補聴器を使っています。30代から補聴器を付け始めたという人はあまりお見かけすることがなく、ひょっとすると貴重な体験をしているかもと思い、毎日付けることで出会う"補聴器あるある"をご紹介したいと思います。

1. 突然、英語のスピーチが聞こえてくる!?

私(夫K)がキッチンで夕飯の仕込みをしていると、英語の会話?が遠くの方で聞こえ始めました。補聴器は本当によく聞こえます。「家の前を外国人が歩いているのかな?」と思っていると、だんだんその声が大きくなり、はっきりと英語のプレゼンテーションだとわかり、声はさらに大きくなっていきます。

妻がPCでTEDのスピーチ(英語)を聞こうとしていました(笑)

私の補聴器はBluetoothで、スマホとPCが常に待機/接続できる状態にあります。妻がTEDを見ようとしたPCも、補聴器とつながっていて、妻は「あれ?聞こえないな?」と音量を少しずつ大きくしていったのです。

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Bluetoohで常時接続の補聴器

2. 鳥のさえずりに集中したいのに…

誰もいない桜のきれいな公園で、レジャーシートを広げ寝転がってみました。心地よい風がそよぎ、鳥たちも嬉しそうに鳴いています。補聴器を付けていると、鳥たちの声もとても自然に、立体的に聞こえます。「立体的」というのは、距離感や方向もわかるように、私の聴力に合わせて届けてくれるのです。

「ウグイスも鳴いているな…」と思いながら、もっと遠くにいるだろう、小さな鳴き声も聞きたいと思い、補聴器の音量を上げてみます。

音量を上げるってどういうこと?

私が使っているのは PHONAK社のパラダイスという補聴器です。補聴器の上部に音量を調節するボタンが付いていて、普段の設定から+5段階まで音を大きくすることができます。(-5段階まで小さくすることもできます)補聴器を付けたままの常態で、右耳でも左耳でもどちらかをタップすれば、両耳とも同じ音量に調整してくれます。また、普段の「基準の音量」と「最大/最小」のどこに設定されているかも、ボタンを押したときの「音」で教えてくれます。(トゥン!とか、トゥントゥン!とか鳴ります)

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充電中の補聴器。縦長のボタンで音量調整できます。

さて、桜のきれいな公園に戻ります。補聴器の音量を上げると小さな音が大きくなり、たくさんの種類の鳥たちの声がはっきりと聞こえてきました。「おー、こんなにもたくさんの鳥たちが来ているんだ」と目を閉じて、春の気分を満喫していると、隣で寝転がる妻が、「ねぇ!こうちゃん!ウグイスがきたよぉ!」と、とんでもない大声で叫びます。

…いえ、妻が叫んでいるのではないのです。補聴器の音量を上げていたので、隣で話す妻の声が爆音になっただけです(笑)もちろん、耳には害のない音量に調整されていますが、鳥たちのさえずりを満喫していた私には、雰囲気台無しで、妻と二人で笑いました。

3. 「え?いま何て言ったの?」のあのしぐさ

みなさんは相手の声が聞き取りにくいとき、どうしていますか?例えばカラオケで誰かが歌っているときに隣の人と話すとき、高架下の屋台で会話が聞き取りづらいときなどです。(こんな状況はしばらくなくなりましたね)きっと、耳の後ろに手を当てて、音を聞き取ろうとしますよね。

おそらく私は、10年くらいそうやって聞こえにくさを補ってきました。無意識のうちに、聞こえにくいと思ったら耳の後ろに手を当てていたのです。

だから補聴器を付けていても、コンビニのレジのシールドの向こう側から、ウィスパーボイスで「レシィフーロワ・ィリャーカ?(=レジ袋は要りますか?)」なんて言われると、「え?」と言いながら耳の後ろに手を当てる自分がいます。

補聴器ユーザーの場合、耳の後ろに手を当てたところで、音量が大きくなったりはしません。聴こえには何も影響はありません。でも、つい、クセでやっちゃうんです。

4. 0歳児のおもちゃになってしまう

0歳の次女がついに「お父さんの耳のうしろになにかついてる!」と補聴器を発見しました。抱っこをしていたら、たまたま耳の後ろが見えたようです。「え?なになに!?お父さん、それ何ですか?」と大興奮の様子で、しきりに私の耳をめくろうとしてきます。新しいおもちゃを発見したときと同じくらい、目をキラキラと輝かせていました。

赤ちゃんって、メガネにも興味を持ちますよね。子育て世代の方の中には、メガネを何本も壊されたとか、傷だらけのメガネを今も(もう諦めて)使っている、なんて方もいると思います。

補聴器にの場合、もっと慎重になります。もし、むしり取られて口に入れたら水没です。投げ捨てられたら壊れてしまうかもしれません。両耳で75万円。そんなに簡単に壊されるわけにはいかない、という大人の事情があります。

5. 健康診断が怖くなくなったという意外

聴力が悪い原因は人それぞれです。私の場合は、原因は特定されておらず、予後も不明です(これから聴力がどう変化するか、見通しを立てることができません)。

脳のMRIを撮って異常を検査したり、DNA検査によって聴力に異常をもたらすタンパク質の変異を調べたりしましたが、異常を見つけることができず、現在の医学で、私の難聴の原因はわかっていません。

ただ、健康診断で聴力検査をすると引っ掛かることがあります(ここ数年はだいたいひっかかります)。すると医師の問診でこんなやりとりをしなくてはいけません。

医師:「飲んでる薬はある?」
私 :「アレルギー性鼻炎の薬を飲んでいます」
医師:「なに、家の掃除とかしないの?」
私 :「…。」

医師:「えーと、検査は異常はないですね…」
私 :「よかったです」
医師:「あ、耳が聞こえてないみたいだけど?」
私 :「あ、はい。軽度の難聴で…」
医師:「え?にしても聞こえていないけれど大丈夫?
私 :「…。」(そんな言い方しなくても…)

出所:東京都港区にある健診センターでの出来事

健診センターはアルバイトの医師であることが多く、当たりはずれがつきものですが、実際にこんなやりとりをしなくてはならないことがありました。難聴の原因が分からず、予後の見通しも立っていないというのは不安でもありますが、それでも折り合いをつけて日常生活を送っています。それなのに健康診断のたびに、結構グサグサと言われちゃうことがあるのも事実です。健康診断は毎回医師が異なるので、くじ引きのような気分でした。

それが、補聴器を付けたらものすごく気が楽になり怖くなくなりました。(もちろん、健診センターも三島市内の病院に変えたのですが…)

まず受付で「補聴器を付けています。補聴器を外さないといけない検査もあると思うので、そのとき教えてください」と言います。ご高齢の方の検査だと、検査技師の方も注意されるのですが、年齢的に補聴器を付けていると思わず、レントゲンやCTの撮影で補聴器が壊れてしまうこともあるからです。

聴力検査のときも「あ、補聴器を付けています」と言うと、検査をせずに済みます。医師の問診でも、聴力について「聴こえていない」という事実をもう一度突きつけられたり、これまでの検査の経緯について説明を求められることもありません。

これは思わぬ効果で、補聴器を付ける選択をして本当に良かったと思いました。そしてこれまで健康診断に後ろ向きだったのは、聴力検査で医師に何かを言われて、気持ちがへこむことが原因だったんだなと分かりました。


補聴器ユーザーになって6か月。仕事も生活もものすごく快適になり、QOLが高まった実感があります。今回のnoteでご紹介したような、おもしろいエピソード、補聴器ユーザーだからこその"あるある"も体験することができています。

少しでも補聴器を付けることへのハードルが下がり、1人でも多くの方のQOLが上がりますように。


夫(K):「いまの家は、窓をあけるといつもたくさんの鳥たちが鳴いているなっておもうんだけれど…ひょっとして補聴器をつけたからいっぱい聞こえるようになっただけなのかもね。」

妻(A):「わたしの話は、そもそも滑舌が悪いから、補聴器をしたことで聞こえが改善することはないよね~苦笑」

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