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本「じい散歩 妻の反乱」

藤野千夜著。
オーディオブックにて。

じい散歩の続編。

今作はお散歩のあれこれ、というよりは
家族の話がメインだった。

90歳過ぎたおじいちゃんが
90歳過ぎたおばあちゃんを介護している。

自宅にはダメ息子が2人。
1人は引きこもり。1人は夢見がちで借金を抱えている。
二人とも実家暮らしで90歳過ぎた親に面倒を見てもらっている。

世知辛い状況なんだけど、
ほっこりするエピソードも多い。

一見、大変とか
不幸とか
そんなレッテルを貼ってしまいそうな家族も
案外当人たちは幸せだったりするのかもね。

人が他人を幸せか否か、なんて決めてはいけないのだ。


2年前だったかな。
わたくし、おばちゃんは自営業を一人でしているんだけど
お客さんだった方が亡くなった。
病気だということも知らなかった。
コロナ渦で在宅ワークになったと聞いていて
だから私に仕事の依頼がなかったと思っていた。
また会えるって思っていた。

なのに、突然ご主人から電話がかかってきて
「亡くなりました。葬儀は・・・」と
話された。

同じ年の女性。
一緒におしゃべりしたりランチしたり
本当に良くしていただいたお客様だった。
お客様という垣根は超えて
友人のような方だった。

50歳過ぎたばかり。なのに
闘病の末に亡くなった。

お通夜では
遺影の写真のお顔が
とてもキレイでほがらかで
余計悲しくなった。
生きていたら
あんな笑顔で笑っていただろうに、と。

泣いた。めちゃくちゃ泣いた。
あんなに泣いたのは
久しぶりだったと思う。
辛かった。悲しかった。
まだまだしたいことがたくさんあっただろうに。

でも、その翌日
ベランダから
山のある風景を見て
ふと思った。

「彼女は不幸だったのか?」と。
「彼女の人生は悲しいものだったのか」と。

とても優しいご主人がいて。
素晴らしいお仕事に就いていた。
海のそばの素敵な一軒家に住み
日々の暮らしを満喫していた。
ご主人と海外旅行を楽しみ
私にもお土産を買ってきてくれた。
可愛い愛犬たちにいつも囲まれて
いつも笑顔だった。

そうだ、彼女は幸せだったんだと思う。
きっと幸せだった。
短かったけれど
不幸なんかじゃなかった。
そう思うと
自分の身勝手なレッテルを恥じた。

勝手に彼女の人生が短かったから
悲しい、と思い込んだから。
迷惑な思い込み。

そう。
勝手に判断しちゃいけない。
その人のこと。
その家族のこと。

自分自身が
幸せだ、と思っていられれば
それでいい。

そんなことを
じい散歩で感じた。

ビバ・個性的な家族!
ビバ・元気で頑固なおじいちゃん!


でも、最後に
本のサブタイトルの反乱、、、って。
何が反乱だったの?(笑)
権利書がいつの間にかなくなっていたことかな?

妻(おばあちゃん)は、
おじいちゃんに介護されて
幸せだったと思う。
きっと。これは思い込みではなく。きっと。

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