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【読書日記】9/26 和風?なのかな。「おやすみ、ミユキ」

おやすみ、ミユキ
ロクサンヌ=マリ・ガリエズ (ぶん),セング・ソウン・ラタナヴァン (え),桜庭 一樹 (やく)
岩崎書店

桜庭一樹さんが、気に入って自ら企画を持ち込み翻訳したという絵本。
フランスに住む日本の女の子、ミユキとおじいちゃんの物語。

ぎんいろのおかに きんいろのあめが ふるとき
たいようは よるがくるまえの さいごのひかりをはなつ
ツバメは すをととのえ
アリは たべものをあつめ
ヒキガエルは バケツにとびこむ
たいようがゆっくりとかくれて
つきがそらにあがっていくのをみて
おてらのかねもおやすみのじかんをつげる
ところで ミユキはどこかな?

うつくしい夕暮れ時 こどもは寝る時間。みゆきは?

まだ遊び足りないミユキ。
もうねなさい、とおじいちゃんがこえをかける
ミユキは、まだやることがあるのよ、とこたえる。

それは?
トンボの女王様を迎える準備
野菜にお水をやること
まいごのかたつむりをさがすこと
こねこがさむくないように毛布を編むこと
おひさまに感謝をつげる特別のダンスをすること・・・

明日、トンボの女王様をお迎えするのよ。

昼から夜へと移り変わる黄昏時、女の子の空想の世界でのびやかに遊び、それにしずかに寄り添いつつ眠りへと誘うおじいさんが素敵。

ミユキ、さあ、おやすみ。

もうおやすみ、とくりかえし促すおじいさんに、まだよ、まだよ、とミユキ。
さすが、おじいさん、年の功。辛抱強い。やはりむかしばなしは、おじいさん・おばあさんの領域だなあ、と改めて思います。

不思議な雰囲気の絵が、昼と夜、現実と空想、起きている時と眠っている時の狭間の物語によくあっているように思います。

和風、なのかな?と最初首をかしげたのですが、現代ではなく、大正時代の銘仙の着物とか、江戸時代の千代紙など一昔前のものの華やかさ鮮やかさ、大胆な色柄の取り合わせに通じるものがあるのかもしれません。

あたらしいようななつかしいような、異国風で和風な一味ちがうお休み前の物語です。

おやすみなさい。

ミユキは ゆめのなか。