【読書日記】3/7 花むすめが目を覚ます。「花むすめのうた/フルビーン、トゥルンカ」
花むすめのうた
フランチシェク・フルビーン 作 イジー・トゥルンカ 絵
ほるぷ出版
古本屋さんで美しい挿絵に惹かれました。チェコの絵本のようです。
冬が去り、春を迎えるこの季節に。
とある庭にある小屋に住む花から生まれた花むすめ。
鳥も木もお日様も花むすめが大好き。
幸せに暮らしていた小屋に、あるひ冬婆がやってくる。「なにもかもこおりついた特別寒い冬に、雪、雪、雪の森のなかでたったひとりでうまれた」冬婆。
冬婆は、我が物顔で花むすめをこきつかう。
それに飽き足らず泉に映った自分の青い醜い顔をみて花むすめの愛らしさを妬み、森の中に置き去りにする。それでも森の動物たちに愛されて幸せな花むすめを憎み、心のよりどころであった庭をめちゃくちゃに破壊する冬婆。
傷つけられた花むすめは、とうとう帰らぬ眠りについた。
勝ち誇る冬婆。
しかし、春が来てお日様に照らされて 花むすめは目を覚ます。
そして、冬婆を恐れて臆病になっている花むすめを子供たちが励まして庭へと戻ると、子供の唄の嫌いな冬婆は、消えてしまった。
冬の厳しい国らしい話だなあ、と。
冬婆がこれ以上ないくらい憎々しげなのですが、どこか哀愁が漂います。元々人に好かれにくい性質のものが人に疎まれてさらに態度を硬化させてますますつまはじきになる人付き合いのデフレスパイラル。
仲良く歌い、笑いあう子供たちの歌が一番嫌い。という冬婆。
やっぱり哀れです。
何となく冬婆に同情してしまいましたが、やはり春の訪れは嬉しいですし、花を愛でるのは幸せです。
そして、冬(厳しい状況)を打開するのは、明るい希望と勇気と仲間、というのはお約束、かな。