【読書日記】4/3 進級おめでとう。「たんぽぽの日々/俵万智」
たんぽぽの日々 俵万智の子育て歌集
俵万智 著 市橋織江 写真
まさに、今、葉桜となりつつある桜を見送ったらこんな感じ。
そして、子供を育てているとやはりこんな感じ。というのを三十一字で代弁してくれているように思います。
乳飲み子の時、保育園に通い始めた時、小学校に入学した時、それぞれ大騒動しきって次の季節へと移り変わる。
めっきりトゲトゲになった子どもに「あのときは、こうこうでとびきり可愛かった」と嫌がられるのが分かっていることをつい口に出してしまいます。
眉間にしわを寄せて不機嫌を隠そうともせず「どうせ良かったことしか覚えていないんだろ」となどとへらず口をたたいてきます。(そのお顔が赤ん坊のころのむずかり顔とおんなじだなあ、と生暖かく見ているのは内緒。)
ちがうよ、我が子よ。つらかったこと、苦しかったこと、夜中に慟哭したこと、傷口から今でも血が出そうなくらい生々しく覚えているよ。
ただ、そんな日々のなかにほんの少しだけ、何にもかけがえのない珠玉のときがあるからそれをとっておきの甘露として繰り返し反芻して育ててこられたのだよ。
残念ながら私は母親としての才能に乏しく、努力してもあまり補えないようだから、君たちにも苦労をかけているのかもしれないけれど。これも今生の縁だからお互いに折り合いつけて仲良くやっていこうね。
それはさておき、俵万智さんの子育て歌集。
ああ、そうそう、こういうこと思っていたのよ、と共感することばかりです。
私も子供に物の名前を教えるときに不思議に思った記憶があります。写真の「犬」イラストの「犬」。トイプードルに柴犬。なぜすべて「犬」と認識できるのだろう、と。
我が意を得たり。私もその方針で行こう、と思ったのですが。十年以上経ってから『「にほんごであそぼ」がきらいだった』と打ち明けられた時の驚き。ついでに言うとやっぱり英語もうすこし真面目に取り組んでおくべきだったという後悔。
毎年の夏の戦争特番を見ていたとき、もし戦が起こった時は自分は出征する子を見送らねばならぬ方になったんだ、とある日気付いてしまって愕然としました。
子どもたちを殺させない、子どもたちに殺させない、単純にそう祈っています。
子どもたちは4月になってひとつ進級しました。
あとしばらくは私たちの庇護のもとにいるでしょうが、いずれ旅立っていく子供たち。
いろいろあるけど、愛しているよ。私のこどもに生まれてきてくれて、ありがとう、と今のうちに伝えておきたいと思います。