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【読書日記】5/8 今日はお猿のお手伝いの日。「幸田家のことば 知る知らぬの種をまく/青木奈緒」

幸田家のことば 知る知らぬの種をまく
青木奈緒 著  小学館

幸田露伴、幸田文、青木玉、本書の著者である青木奈緒氏にいたる親子四代。幸田家に伝わる40のことばは、人の生き方や暮らしの知恵を伝えてくれています。

この中には、私が好きな言葉がたくさんあります。
その中でも今日ぴったりなのは「猿守」

猿の子守はいたずらばかりして、寝ている赤ん坊をむずからせる。ここから転じて、間が悪く、何をしてもうまくいかない日のこと。

幸田家のことば「猿守」

この言葉は、知人のおばさまも使っていました。
私が最初の子を産んだときに、赤ん坊の世話というのが想像以上に大変でぼろぼろになっていた私を何かと助けてくださった恩人なのですが、何をしてもどんなにあやしても泣き続けてどうしようもない、というとき「今日は、猿守の日だから」ということを教えてくださいました。
 子供の守りはお地蔵さまだけれども、お地蔵さまが忙しい時には山からお猿がやってくるのだそうです。お猿はふざけて赤ん坊をかまってばかりで泣かせてしまうのだと。

 子供のひっきりなしの泣き声に自分が母親失格の烙印を押されているようで、いっぱいいっぱいに張りつめていた心が、ふ、とゆるむような気がしました。
 我が子はよく泣き、あまりお乳を吸わず、ほとんど寝ないという赤ん坊だったのですが、私がぎりぎりのところで耐えられたのは、昨日も猿守、今日も猿守と、おまじないのようにとなえていたからのように思います。
 今思うと、お猿の子守当番の日、多すぎでしょう・・・。

 仕事をしていると、何をしても裏目に出る日ありますよね。
 やらないといけないことが山積みだから段取りを考えているのに、会う予定の相手が約束の時間を大幅に間違えていたり、かかってきた電話が思いのほか長引いたり。
 資料作成急いでいるのに、なぜかプリンターが不具合起こしたり、頼んでいたデータがもらえなかったり。
 何気ないひとことを曲解されて勘気を被ったり、受信したメールの文言を深読みしてもやもやしたり。
 ひとつひとつは大したことのないよくある話でも、立て続けに起きたり、間が悪かったりすると、心底嫌気がさします。
(洒落にならないくらいの厄介ごとが起こっているときは、逆に火事場の馬鹿力で対処するのであまり厭世的な気分にならない)
 そんなときは、「今日はお猿がお手伝いに来てるのかあ」と思うことにしています。お猿が仕事をしているところを想像してなんとか気を落ち着けるのです。
 今日は、連休明けで、多くの人が心と体のエンジンが上手くかかっていないのと、休みでせき止められていた要件が動き出すのとで何かとこざこざの多い日で、一体、何匹のお猿が手伝いに来ていたのでしょうね。

そして、忙しくて何もかも投げ出したいときにはこのことば。
「私の行く先ゃ花となれ」

「あとは野となれ山となれ」に続く文言。日常には思うようにならないことも多いが、先行きの福を念じて自分を鼓舞しようとする。

幸田家のことば「私の行く先ゃ花となれ」

「私の行く先や花となれ」
文字を目で追うよりも、口に出してみてください。
私の頭の中に、しろつめくさの原っぱやレンゲ畑、一面の菜の花の絵がうかび、よし、ここは踏ん張りどころだ、となけなしの気力が湧いてきます。

「知識とは伸びる手、わかるとは結ぶこと」
「千年の古藤のごとく」
「知る知らぬの種」
「人には運命を踏んで立つ力があるものだ」

など、私が普段から心にとめている言葉がたくさんあるのですが、これらは、また、その日の気分の時に味わいたいと思います。

今日は、疲れました。
明日は、お猿さんのお手伝いは遠慮したい・・・。