ようこそ笑顔神社へ(116)アイスと海
黄色三日月のカウンターで、〈Marvin Gaye の What's Going On〉を聴きながら、スパイシートマトジュースを飲んでいると、いつものように鶴乃長命さんが現れました。
そして、話し始めました。
【以前、血豆タウンにあるスーパーでこんなことがありました。
ある日、謎の人物から店長あてに電話がかかってきました。
そして、その人物は言いました。
「アイスが売れている日は、海で溺れる人の数が増えています」
それを聞いた正義感の強い店長は慌てました。
「すぐに売り場からアイスを撤去しなければ!」
そのとき、たまたま隣にいた冷静な副店長は言いました。
「外が暑い日は、アイスが売れます。
外が暑い日は、海で泳ぐ人が増えます。
海で泳ぐ人が増えれば、溺れる人の数が増えるのも当然です。
つまり、アイスと溺れる人の数は関係ありません」
店長は納得しました。
副店長は、こう続けました。
「世の中には、こういうお話がたくさんあります。
そして、この手法を使って人を騙すこともできます。
〈数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う〉
という言葉があるくらいですから」
店長は、何度も頷きました】
なるほどです。
亀さんは、その店長と同じく何度も頷いてしまいました。
しかし、謎の人物はいったい何者だったのでしょう。
謎は謎のままにしておきましょう。
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