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ピカソになりたい

いつか見た片思いの女性のインスタグラムに載っていた美術館を求めて、よく晴れた午前中、群馬県館林美術館に行くと、本日で最終日、ピカソの特別展が開催されていた。


ちょうど先日テレビ番組で爆笑問題の太田光
さん×ピカソ を観て感動していたばかりだった。

ピカソの生い立ちから、名画ゲルニカが出来て、その後の余生まで、たっぷり2時間ほど楽しんだ。

独特なキュビスムというピカソの代表的な表現に至ってはまた突き進む、絵の移り変わりが分かりやすく展示されていた。

労働者や恵まれない庶民を写実的に描き、段々とキャンバスにピカソなのかそこにいる人の視点がふんだんに織り交ぜられるようになり、四角く輪郭がハッキリとした線が折り重なる絵は、まるで涙で濡れた目でライトを見た時に対象の周りにキラキラした四角がぼんやりと散らばるイメージを具現化して立体化したようなものだった。

スペインでの内戦で荒れた背景に、たった1ヶ月で描き殴った、美術館の目玉であるゲルニカは圧巻だった。

晩年のピカソは大好きな生き物の絵が多く、カエルや猫など、あくまでペットとしての動物ではなく、人間と同じ生き物として、猫が全身を震わせて逆立たせた毛で獰猛さを表現した絵だったり、同じ動物なのに戦争を起こすのは人間、と嘆きながら描いていたらしい。



ピカソの思い、片思いの女性が来ていた思い、美術館の周りを物思いに浸りながら散歩する。

ほとんどの人が車で来る美術館、最寄駅から徒歩20分で来た。



美術館に行く道中から、入るまでの自然の流れが本当に綺麗で滑らかだった。

決して周りの風景を壊すことなく、馴染むようにして、フラッと横を見ると、洗練された美術館の庭が広がっている。

何も無理のない表現で周りにあるものを使って、そして、受け入れる姿に、美術館に入る前も入った後も感化された。



ピカソが絵を描くことを中心に様々な表現に挑戦していく姿、晩年には陶芸にも挑戦する姿にも全く無理がなく、俳優という表現から、書くという表現に変わった自分にも、これからまた何かあるのかもしれない、と不安ではなく期待で胸を膨らまして、このキッカケをくれた片思いの女性はどうしてるかな、と少し想いを寄せたりしながら、風がビュンビュンと吹き荒れる午後になり、家路に着いた。

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