仮面残留を経て。


注:以下の文章は、2019年に執筆したものに加筆・修正したものです。
 
・仮面生活
入試を迎えるまでの私は京都大学への合格が叶わなかったならば浪人する思いでいました。ところがセンター試験(現: 共通テスト)本番で、その覚悟が揺らぎました。英語筆記以外の科目で自己最低点だったのです。運が味方をしなかった、学力が付け焼き刃だった、などと評する向きもありましたが、自身ではその原因は明らかでした。本試験となると頭が真っ白になってしまったのです。そうなると浪人という選択が悪手に見えてきます。現役時の本試験ですらこうなのだからいよいよ次のない浪人時をや、ということです。かくして、本番に慣れようと受験した大学に進学することを決めました。喉元過ぎれば熱さ忘れるだろうと。
そこで始まった大学生活で私はどうにも拭いきれない違和感を覚えました。思うに原因は二つ。一つは知的興奮を駆り立ててくれる刺激的な友人の少なさ、もう一つは片道二時間弱の通学時間でした。こうした問題に対して、当時の私には京大への再受験こそがこの悩みを解決する最適解のように見え、大学生と受験生の二足の草鞋を履くことを決意しました。

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*2023年度11月祭で販売した「【令和5年度】京都大学仮面浪人体験記 第5弾」のnote版です。元はPDFファイルだった関係で、一部読み…

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