まえがき

 このたびは当団体の仮面浪人体験記(第5弾)をご購入いただき、誠にありがとうございます。京都大学元仮面浪人交流会 初代会長(設立者)の294と申します。
 われわれ京都大学元仮面浪人交流会は、仮面浪人を経て京大に合格した京大生による受験支援団体・交流コミュニティです(2019年6月発足)。主な活動内容は、仮面浪人体験記の作成・販売、食事会の実施です。今年度も多くの新入生が入会し、会員数は70名を超えました。
 
仮面浪人という字面を見て、“偽りの仮面”というネガティブな印象を抱く方も多いでしょう。実情を知らない物事に対して、イメージが先行するのは当然のことです。仮面浪人は間違いなく少数派であり、その生態を知る者もそう多くはありません。この体験記を読む中で、「他の大学を辞めて京大に来た」という表面的な仮面の特徴だけでなく、仮面の作り方や被り方、そして仮面の奥の素顔が少しでも伝われば幸いです。
 
仮面浪人という行為は、限定的・個別的な側面が強く、一律に肯定できるものでも、一律に否定できるものでもありません。他の大学に在籍しながら再受験を試みる行為自体に、絶対的な白黒をつける意味はあまり無いはずです。そこは「人による」で良いのでは無いのでしょうか。重要なのは、仮面浪人というテーマを通じて、受験の前段階の話である志望校選択や、これからのキャリア形成について真摯に考えることです。当団体の意義は、現在進行形で再受験に向き合う方へ情報を提供し応援することだけでなく、一般の受験生が将来的に仮面浪人へと向かってしまう潜在的なリスクを反面教師として洗い出すことにもあると考えています。
 
さて、本書の読み方についてですが、全ての体験記のプロフィールと最初の段落に一通り目を通してみることをオススメします。仮面浪人はまさに千差万別。経歴も、文体も、再受験の理由も、状況も、価値観も、全てが違います。ビビッと来た体験記から読んでみて、それを足掛かりに「他の人はどうなのだろう?」という観点で読み進めてみるのも一つの手です。大学受験で多くを悩み足掻いた者たちの生き様、どうぞ最後までごゆっくりとお楽しみください。
 
2023年11月22日 京都大学元仮面浪人交流会会長 294

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*2023年度11月祭で販売した「【令和5年度】京都大学仮面浪人体験記 第5弾」のnote版です。元はPDFファイルだった関係で、一部読み…

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