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「羊男」の考察

「羊男」は、村上春樹の
いくつかの小説に出てくる登場人物です。


「羊男」は羊の衣をまとった人間で
戦争を避けるため、隠れて孤独に暮らしています。


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戦争は必ずあるんだ。
いつでも必ずある。ないということはないんだ。
人間というのはね、心底殺し合うのが好きなんだ。
そして殺し疲れるまで殺しあうんだ。
・・・・
そういうのが嫌だったら別の世界に逃げるしかないよ。
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「羊男」は私にいいます。


「羊男」はいつも奇妙な場所に現れ
私を翻弄し、そこから私の自己を見つめる旅が始まります。


「羊男」の存在は、不思議で現実感はないけれど
話す言葉は、今の時代への比喩や思いのように感じます。

戦争の話も
起こっていることを知っていて
どこかで恐れを抱きながらも
何事もないように
平然と暮らしている
今の私たちへのメッセージのようです。


ウィーンの医師フロイトは
「無意識」というものが人間にあり、
人は自分の知らない自分により、
無意識に動かされていると言いました。


いつもなにげなく普通に
生活している行動や考え方
私たちは無意識の中にある何かによって
生み出されているというのです。


その「無意識」こそ羊男なのでは
と私は思ってしまいます。


村上春樹の『羊男のクリスマス』で
「羊男」は他にもたくさんいると言っています。


それぞれの人にそれぞれの「羊男」が
潜んでいるよとも思えてきます。


春樹の本には、
戦争だけでなく、自分の欲望に対して、現代社会にたいして
問いかける描写がたくさんでてきます。


羊男を辿ることは
自分の無意識を見つめることだと
感じます。

#村上春樹

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