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慰めてくれたカメキチロウ

私はカメを飼っています。

小学校2年生の時に、おじいちゃんとお兄ちゃんと一緒に近所の祭りに行きました。その時に亀すくいの屋台が目に止まり、私は亀すくいをしました。

カメを3匹すくいました。その中から、ペットにする亀を1匹選ばなければなりませんでした。私が選んだ1匹の、わずか6センチほどのカメは、後に私の大切な家族となりました。

私が小学校高学年の頃です。ある日、学校で嫌なことがありました。その日、私が家に帰ったとき、家族は仕事でまだ家に帰っておらず、1人でした。実際は1人ではなかったのですが。

家にはカメキチロウがいました。

水槽の中で、陸に上がっており、グデーっと気持ちよさそうにしていました。まだそれほど大きくありません。

私は、何も考えず、カメキチロウを見つめていました。私がそのままぼーっとしていると、頭の中で、今日学校で起こった嫌なことがジワジワと蘇りました。私は自分の気持ちが沈んでいっているのを、感じていました。そして、涙が出てきました。

すると、カメキチロウが首を動かして、私のほうを見ているのが視界に入りました。カメキチロウはじっと私の目を見ています。

私は、「カメキチロウ」とつぶやきました。

カメキチロウは一度も私の目から視線をそらさず、ただ私の目を見ていました。

すると、不思議なことに私は、心が軽くなりました。

なんだか、落ち込んでいたことがどうでもよく思え、私は涙を拭き、カメキチロウに微笑みを見せました。

カメキチロウは、視線を別の場所に戻しました。

私は今でも、その時のカメキチロウの顔を覚えています。まっすぐにただ私の目を見つめていてくれたカメキチロウの目を。

あの時、実際にカメキチロウが何を考えていたかはわかりませんが、私は、あの時カメキチロウが慰めてくれたのだと思ってなりません。

カメキチロウは、今でも私の大切な家族です。今は大きくなって甲羅の大きさは15センチほどあります。

カメキチロウ、ありがとう。

それから私は、出かける時などにいつもカメキチロウに「いってきます」「ただいま」と言います。また、心がざわつく日、また、これから大切なことが起こるという日は、カメキチロウに「今から○○頑張ってくるね」と言います。すると、少しですが、心が軽くなる気がするのです。例えば、ピアノの発表会だったり、大学受験の時などです。

カメキチロウを見れば、何とかなる気がする。私の思い込みかもしれませんが、それでも構いません。

カメキチロウ、いつもありがとう。これからもよろしくね。


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