#選択の代償 第29話
おはようございます、#選択の代償、私、亀川がお送りしております。
さて、前回はついに第二期第三者割当増資、5億円を手にしようとしています。業界のドンであるK氏は一体何者か?某大手証券会社出身の方で、それなりに日本の金融投資業界には大きな影響力を持っていることは確かです。そして、以前出てきた『光物』と『青物』の話、覚えてますか?いよいよ、この話の中で最も大きな選択すべき時が来ます。
話は本題戻りますが、K氏が出した投資の条件とは?彼は「1株\50,000なら・・・」といい、そして「条件が合えば、8億円まで用意する」と言い放ちました・・・・
私は、先のどのフリーズが解ける間もなく、全身の毛穴が一気に全開になると同時に、血の気が一気に引き始めるのを感じました。そして「それは、ここで私の一存でお答えできないので、戻り次第、早急にご返答します」と言い残して、その場を去りました。
オフィスに戻る途中、どう理解すればいいのか?今更ながら後ろから頭をバットで殴られたようです。
そう、果たしてK氏の言葉が、正統なのか?正しい評価なのか?どう解釈すべきか?ほぼ、顔面蒼白でオフィスにもどったと思います。するとそれから3時間後、赤木社長が私のオフィスに飛んできました。
そして「亀ちゃん、どうやった?」と言うのです。彼によれば、先の北米エイペックスへ支払ったライセンス料3億円をこちらの会社に貸し付けている処理になっているので、その分の3億円を返済するという形であれば、親会社本体もこの窮地をしのげるとの事で、大きな期待をしていましたね。
そこで、私と赤木社長の話し合いになりました。私は「1株50,000円という条件を出されました・・・」、赤木「・・・」なんともはや・・・暫く沈黙が続きます・・・赤木「という事は、このエイペックスジャパンをあちら側に渡すという事か!」、そうです、株主構成及び出資比率からすると明らかに光物の孫会社の主導権は、K氏に渡すことになります。つまりそれは、『光物』から『青物』に変わるという事です。
それはどういう事か?必死で思考を巡らせます・・・
今おかれている現状で、この資金調達の意義は親会社にとっても子会社にとってもかなり大きな意味を持つ。資金調達の真の意味がここにありました。事業を継続していくこと、従業員の生活を守ること、経営の財務基盤を安定させること、等々その意義は大きく単純な判断における選択はできないのが現実です。
この時、つくづく自分自身が『何をやっているのだろう?』と痛切に感じました。『当初の自分の選択は一体何だったんだろう?』と・・・
しかし、時間は刻々と過ぎていきます。
その夜、役員であるTさんと間口氏の3人で明け方まで話し合うことになりました。
先ず、今のエイペックスジャパンが抱える問題は何か?
そう、財務基盤が脆弱なために資金が足りなくなるのは必至です。そして、事業としての実績(売上)を挙げていくことの難しさです。確かに、新たな事業としての案件は少しずつではあるが、獲得出来てきたが自社の事業ドメインとしてはマダマダ何も固まっていない。そして、未だ自分たちのこの会社が何を目指すのか?見えていない・・・
当時、もう少しこの状況での自らの経営分析がまともであれば、この後の判断には至らなかったのかもしれない。と思います。つまりここまでの課題や問題の洗い出しが非常に甘かったと思われます。
間口は『ここまで来たら、毒を食らわば皿まで・・・なんだから今更、親会社が変わってもいいんじゃない?』などと言いだします。またTさんは『早く光物の衣を脱ぎたいけど、青物になるのは違うと思う・・・』と意見が割れます。
結論の出ないまま、朝が来ました。今度は入れ替わりに脇下常務がオフィスにやってきました。彼は「赤木はなってゆうてた?」と、私は「この会社そのものを渡すのは・・・どうかなと言ってましたね」と会話をしました。
すると脇下常務は「1株50,000円はちょっと厳しいな・・・」と
「もしそうなると、我々が用なしになってしまうわな」・・・
K氏との面談から3日後、結論を出さなければなりませんでした。その後、脇下常務が再度オフィスにやって来て「まあ、K氏の判断は判断でこれを餌に、他を当たろうか?」、「株価は別としても、ある一定の評価がされたと解釈すれば、他に資金調達できるはずやろ」と・・・いう事で、この出資の話を一旦、白紙に戻すことになりました。
正直、私の中ではすでに判断不可能な状況です。資本構成やら株主議決権なんてどうでもよくて、ホントにやるべき仕事がこれなのか?と憤りを抑えられない気持ちではありました。
その後、先のCIの案件は無事に売上・請求もたち一つの実績が出来上がりました。
ところが、もう一つの最初の案件に波乱が起きます。それは、予想してない事態でした。
この続きは、また次回お聞き逃しなく!