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金の籠

24
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2023年6月の記事一覧

金の籠 22

 元宮は依子の言葉を的確に訳してくれているようだった。けれど話は一向に前に進まない。何度…

溝口智子
1年前
4

金の籠 21

 翌朝、依子と雷三に服と靴が与えられた。依子にはコットンのTシャツとジャージのズボン。雷…

溝口智子
1年前
5

金の籠 20

 それからのことを依子は言葉で表すことができない。  すべては高速で行われ、依子の意見を…

溝口智子
1年前
5

金の籠 19

 二人が話していると男性が目を覚ました。赤ん坊の泣き声に身をよじり、依子の方に目をむけた…

溝口智子
1年前
6

金の籠 18

 いつのまにか、うとうとと眠っていた。目を覚ましたのは、床が小さく揺れたからだった。  …

溝口智子
1年前
4

金の籠 17

 異形は人間たちの保護区の近くまで依子と雷三を送ってくれた。異形が保護区の扉を指差すと二…

溝口智子
1年前
6

金の籠 16

 港の場所はすぐにわかった。赤かった通路が唐突にオレンジの敷物に切り替わった。  その先へ駆けこもうとした依子を、通路の脇に立っていた銀色の服を着た異形がそっと押しとどめた。その様子からして、どうやら警備員のようだ。  何度も警備員の手をすり抜けようとしたが無駄だった。 「この先に人間がいるでしょう? そこへ行きたいだけなの!」  異形が人間の言葉を理解してくれるわけもなく、依子はオレンジの通路から追い出されつづけた。  依子は少し離れたベンチによじ登ると、膝を抱えてオ

金の籠 13

 子供達が閉じ込められていた部屋の扉は大きく開け放たれ、中には何も残っていなかった。二人…

溝口智子
1年前
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金の籠 11

 明るくなるとすぐに二人は出発した。点に見えていたものは徐々に大きくなり、人工物らしいこ…

溝口智子
1年前
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金の籠 10

 いつもの通りスイミーが庭で依子と雷三を籠から出したちょうどその時、塀に穴が開き、大人の…

溝口智子
1年前
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金の籠 9

 一度外に出てしまってからは弾みがついたようで、依子はびくびくと身をすくめながらも散歩に…

溝口智子
1年前
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金の籠 8

 小さな異形はどうやら子供のようだった。  日に何度も金の籠をのぞきに来ては、目を細め、…

溝口智子
1年前
3

金の籠 7

 雷三の遺体はすぐに使用人によってどこかへ運ばれていった。  壁の血もあとかたも無くなる…

溝口智子
1年前
3

金の籠 6

 舞台に立ち口を開ければ勝手に喉から第九が流れ出る。そうやってどれくらいの月日が経ったのか、短かった依子の髪は背中まで届くようになっていた。  依子はその髪を三つ編みにして肩から前に垂らした。そうすると舞台を見ている異形の目が依子に集まるようになった。部屋に戻って観察してみると、他の人は皆、髪は伸び放題、男性はヒゲも伸び放題でまるで毛玉のようになっていた。  翌日の舞台では依子は三つ編みを両肩に、お下げにして垂らしてみた。その翌日は布の切れはしを使ってポニーテールにしてみ