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新春譜~詩一篇

青空の青の横溢のなかで

少年は泳げるような

錯覚をいだいた

しかし

少年は高所恐怖であった

地面にへばりつき

木にしがみつき

神経細胞のようにからみあう枝を見上げ

数世紀の思索の傷跡をたどろうとした

季節は過ぎ

青空は青に満たされ

花が咲く

老いた少年は

雀ほども飛べない臆病なお話を

雀とともにする

ああかつて

残酷な物語をむさぼり合ったあの人は

ありやなしや

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