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余り歌シリーズ「仮免許に落ちた」vol.11

仮免許に落ちた

天国から落ちることなく
現世で生き永らえながら

仮免許に落ちた

本免許ではなく
仮免許に
落ちた
(仮)免許に
落ちた

仮免許に落ちた

けれど空を飛べる
人は
つばくらめのように
優雅ではないけれど
飛行機のジャンボジェット機に乗って
エコノミーシートに座り
甘いトロピカルジュースでも飲みながら

仮免許に落ちた

一瞬脱輪して
また元通りに
カーブを曲がり
坂を上っていった

あの時のように
誰が見ても落ち込んでいるようにしか見えない
佇まいの肩の落とし方からまあ
いいか!のようなフレキシブルな脳みその
切り替え方のように

仮免許に落ちた

どうってことはない
ただ補習を受けるだけだ
もう1回試験に受からなければ
いけない
ということだ
父のお金を
借りなければいけない
ということだ
正確には貰うに等しい 何かを
対価として返さなければ
いけない!

仮免許に落ちた

どうってことはない
桜吹雪が満開の空から
一片の花びらとして
ボンネットに舞い降りては昇り
散っていくということだ

仮免許に落ちた

どうってことはない
僕はすぐに切り替えたし
これは僕の問題だ
と同時に
すべての人の問題でもある

なぜって
僕は
世界を体感しているから
この詩のように
生きる喜びを
歌えるから!

ただ
仮免許に落ちた
ということが
こんなにも清々しく
心に空き地のような
広場を造る心持ちに
なるとは!

これでまた一編の詩が
できて

また失敗また失敗また
失敗
けどな!
僕はその積み重ねで
大器晩成になってやらあ!
美しい人になってやらあ!

それが純粋な本来の僕の
1つの人生のワンシーンとして
フィルムを撮り終えた後
天国に戻って
編集作業に戻らなくちゃ!