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鬱〜ヨシタケシンスケさん

今日の朝日新聞の13面に、先週2回に分けて掲載されたヨシタケシンスケさんの記事についての大きな反響があったと載っていた。

ヨシタケシンスケさんといえば、子ども達が選ぶ絵本トップ10に何冊も選ばれる人気絵本作家。
昨年宇都宮市の美術館で行われた企画展も大人気で、土日のチケットが手に入らないとちょっとした話題になった。
来館した何人かの生徒さんは面白かったと言っており、チケットが手に入らずがっかりしていた生徒さんも。

さて、朝日新聞の記事とは何だったのか。
ヨシタケさん曰く…
ずっと「微うつ」。
昨年から「落ち込みのスイッチ」が入るようになり…
と、自身の心の不調について率直に語っている。
興味深く読んだのだが、多くの人がやはり関心を持ったのかと思った。

私自身、心の不調について初めて漠然と意識したのは、大学を卒業した直後。
それは、卒業後留学を決めていた私が、S先生の最後のレッスンに行った時に言われた言葉。
S先生には5歳から大学卒業までお世話になっていたので、私の性格や行動パターンはほとんどお見通しだったと思う。
「心の調子が悪くなったら、さっさと帰ってきなさい。留学先でおかしくなったとよく聞くけれど、そんな話を聞くのは嫌だからね。」
「私達(先生達の世代)は一握りの人しか留学できなかったから、結果を出すという事を求められたけれど、今の時代は違う。」
「気おわずに、行って来なさい。」
数年後、門下生の友人から
「アメリカやパリに留学したいと(私が言うのを)聞いたらどうかなと思ったけれど、ウィーンならば合うかな。」
とS先生が話をしていたと聞き、やはりよく生徒を見ているなと感心すると共に、次のステップに進む生徒にこのような言葉をかけられる事に尊敬を覚えた。
その後、留学中に心のバランスを崩してしまう友人や知人を実際に見て、S先生の言葉を初めて自分事として見るようになった。

帰国して、◯◯年。
その当時よりも、今はどうだろう。
回りから色々と聞こえてくるが、やはり以前より生きづらくなっている世の中なのだろう。
様々な意見があるのは承知している。
ただ、辛い時にその場だけでない別の場(ここでは、音楽)があるという事は、心の避難所にならないだろうか。
以前教えていた生徒さんがヴァイオリンをきっかけに立ち直っていったのを見ていて、学校などの世界の他に、もう1つの居場所の大切さを感じている。
渦中にいると目に入らないかもしれないが、今いる生活の他に色々な世界がある。
ヴァイオリンがそのような場所になってくれたらと思う。

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