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『14』をつけた魔法使い#23

サッカー選手だけでなく、
色々なスポーツ選手が同じような話しをしています。
ボールの模様が見えた。
相手選手の動きがスローモーションのようだった。

でもそれは、勝った選手の話しがほとんどです。

ケンゴも止まったボールを見ていました。
自分の目の前を通り過ぎるボールが、
その模様や、芝が着いているのも見えました。
でも、そのボールを、
ケンゴはさわる事が出来ませんでした。

もっと早く、前に出ていれば、
もっとスペースを考えていれば、
でも、
ゴールの前で止まったボールを見たケンゴ前を、
ボールは通過していきました。

結局、その試合で両方のチームは得点を出来ませんでした。
延長戦で得点を出来ない時、
サッカーではPK戦をやります。
ゴールキーパーとの一対一を、
両方のチームで順番で行うのです。

PKの結果、
ニッポンは負けてしまいました。

試合に負けた時、
PKで最後のボールを蹴った選手を、
みんなが気遣っていました。

その中で、ケンゴは思っていました。
延長戦で、あのボールを蹴る事が出来たら、
蹴れなくても、体のどこかに触る事が出来たら。

日本代表はニッポンに帰って来ました。
その時、空港でケンゴは、
マスコットのふろん太に出迎えてもらいました。
色々なチームのサポーターが、空港にはいましたが、
マスコットが出迎えたのは「川崎F」だけでした。

ケンゴは、「このチーム、おかしいだろう」と言いながらも、
心の中で『ありがとう』と、つぶやいていました。

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