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お箏をやっている人々

 お箏を習っている。
三曲合奏と言って、箏、三絃、尺八で合奏することが多いので、箏と三絃を同時に習うことが多い。私も一応両方やっている。
琴ではなく箏、三味線でなく三絃である。
詳しい説明は省略。

「お箏やってる人なんて、周囲に全然いなーい」
「お箏やってる人に人生で初めて会いました」
などと言われる。

 ちょっと不思議だし残念。
日本の楽器なのに、お箏人口は意外と少ない。
三味線もしかり。
BGMで聴いたことはあっても、実際に見たり触ったりしたことのある人は少ない。

 私が子供の頃、一時お箏ブームがあって、母が習っていた。
お箏は基本的に古典を習うことが多い。
母は地唄(日本舞踊のBGM)が苦手で辞めてしまった。

 お菓子作りを教えたり、作ったお菓子を販売したりするようのなった。だから趣味というわけにいかなくなって、何か趣味でやりたいと、家に放置されていたお箏と三絃を習うことにしたのだ。

 お箏を習いたい場合、師匠選びはかなり慎重にしたほうが良い。
昔ながらの、各流派の看板を揚げている先生の場合、流派以外のことをシャットアウトすることが多い。他の奏者の演奏会などに行ってはならない場合もある。
 そして、その会派を辞めることはできても、別の師匠に変えるのは意外と難しい。
なぜなら、「あの先生(流派)のとこで習いはったってことは、うちでは面倒見れません」などもある。
前の先生が、地域のドン(主)だったりすると大変なのである。
地域の協会などで、ハジかれたりする。地域合同の演奏会の出番や当番、リハーサル、楽屋の使い方で不利益をこうむるのだ。
私も実際、そういうのを目の当たりにした。
師匠を変えた人のことを「謀反を起こしたやつ」と、楽屋で言っている人がいた。
だから、この業界廃れていくんだよ~と思う。
私は、趣味で習うだけなので、目の前の課題をこなせばよいだけなのだが、本当につまらん世界だと思った。

 その代わり、長く習っていると「看板」が頂ける。
「初伝」「中伝」「奥伝」「皆伝」いわゆる免許皆伝である。
ただ、これがクセモノで、あまりできていなくてもお金を払えばもらえるというのが実情である。100万円位かかる流派もある。
なので、師範を取っていてもいなくても、演奏の良し悪しは関係ない。

 現在、本当にメジャーで活躍している演奏家は、元々流派に所属していたが、結局流派を飛び出している人もいる。
または、自分で流派を作ってしまった人もいる。

 結構、この業界をディスってしまったが、現在私は本当に楽しく、有意義にお稽古に励んでいる。

 師匠を変えにくいという話をしたが、私3回変えることができた。
1人目は師匠が遠くに引っ越したから。「遠くても習いに来たら良い」と言われたが交通費毎回2万は無理である。
2人目は私生活を振り回されたから。本当に疲れた。
3人目は失礼だが教え方がお上手でなかった。全然教えてくれなかった。

辞めるのは、ものすごく勇気のいることだった。

 今の師匠は、演奏者としても素晴らしいが、指導者としても最高。
人間的にもとても尊敬できる方。これでもう一生師匠を変えなくて済む。
 昔ながらの会派に疑問を持ち、ご本人は免許を持っておられるが、弟子にはそれを一切強要しない。「楽しくみんなに上手くなって欲しい」それが師匠の願いなのだとか。
 過去、いろいろな先生を渡り歩いてきた(扱いにくいであろう)私を、快く受け入れて下さった。

 コロナ禍のピークも多少緩やかになり、今年は久々に本格的な演奏会をする。
来週、また合同での下合わせがある。

 私はアニメとか全然詳しくない。そんなに流行ってるもんなの?と思う。しかし先日、テレビでアニソンのコンサートを見て、びっくりした。
私が知らないだけで、いる所にはこんなにいるんだーと。

お箏を知らない皆さん。
いる所にはいるんですよ~、お箏やってる人~^^




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