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真夏の京都で過ごした12日間の移住記録(ワーケーション/Airbnb)

京都は四方を山に囲まれ、山の外から来た人と、その内側から来た人では挨拶が違うという。


前者は山を越してきたから「おこしやす」

後者は山を越してないから「おいでやす」


これは、2020年の夏に我々夫婦が都内で半年間以上の在宅勤務に飽き、会社に内緒でワーケーションを勝手に実行した記録である。

落ちはオチなどない。


ワーケーション先の前提条件

我々夫婦はどちらもIT系企業で、2月のコロナ禍以降、数えるほどしか出社していない。いい時代に生まれ、いい会社で働いているものだと思う。

どうしても出社しないと仕事にならない仕事についている人には頭が上がらない。


半年在宅勤務を続けてみて、二人とも都内に住む必要はないんじゃないかと思ったので、ワーケーションを実行することにした。


これには、今年実施予定だった新婚旅行@アフリカが中止になった腹いせという面も大いにある。


条件は下記の4点。

・ご飯がおいしい

美味しいもの至上主義、美味しいドリブンで生活しているので美味しいものがないエリアには行けない。申し訳ないけれども海なし県は無しだ!(うらみがあるわけではない)


・今後住むことは無さそうなエリア

神奈川でワーケーションしました!埼玉でワーケーションしました!そんなのくそくらえである。せっかくなんだから今後一生住むことがなさそうなエリアに行くべきである。何事も経験。(埼玉にうらみがあるわけではない)


・ワーケーション先に魅力がある

とはいえ、秋田の山奥などではバケーションの幅も狭まるだろう。アウトドアが趣味の人は白神山地でも八甲田山でもいいと思うが、我々夫婦はできれば文化的な、美術館や神社仏閣なんかが恵まれている場所に行くことにした。(埼玉にうらみがあるわけではない)


・万が一出社になったとしても、朝でて都内に出社できる範囲

とはいえ何があるかわからない。明日急にワクチンが開発され全国民に配られるかもしれない。明日ちょっと会社に来てと言われてもいいように始発の新幹線で都内に出社できる場所だとよい。


以上を踏まえた結果、下記の表の通りとなった。異論は認める。


比較


札幌はいつでも移住したいと思っていたので、"今後住まない"のところで大きく評価が下がっている。あと飛行機でエクストリーム出社は微妙に朝の時間に間に合わなかった。


静岡はサウナしきじとさわやかがあるので点数が高い。新潟はワーケーション中の土日に佐渡ヶ島まで足を伸ばせば楽しいだろうな。


宿泊先の前提条件

・自炊ができる

2週間程度(結果として12日間だった)も宿泊するので、すべて外食では費用もかかるし、胃腸も疲れる。齢30を超えると胃腸の心配をしだす。


これを読んでる若い人がワーケーションをするのであれば、吉野家が近くにあるとかでいいと思う。生活の満足度を下げずに食費を下げる工夫はとても大事なことである。


自炊ができるかどうかという点で、あらかたのホテルは対象から外れてしまった。コンドミニアムか長期出張者向けのウィークリーマンションみたいなものになるだろうと想定していた。


・作業部屋が2部屋以上ある

今回最も鬼門だったのはこの点だ。お互いに別の会社に勤め、ZOOMやハングアウトミートなどで会議があるので、どうしても二部屋必要だ。


片方は机で、もう片方はベットでと部屋をわけることもできるかもしれないが、二人とも机がある環境でないと長期間の仕事の効率に大きく差が出てしまう。なにより腰へのダメージがすごいことになる。齢30を超えると腰の心配も必要なのだ。


この点を満たす部屋はAirbnbでしか探し出せなかった。


三条京阪まで歩いて10分と、とてもいい立地で、作業部屋が2部屋あり、自炊もできる。そして何より広い。一軒家ってすごい。


普段住んでる東京の家より広いので、東京に戻ってきた際に、もっと広い所に引っ越したいと妻が騒がないかだけが心配だった。


結論から言うとめちゃくちゃいい家だった。コスパも最高。それくらい京都に観光客が少ないんだろう。


・お湯がボタン一つで溜まる

・ドラム式洗濯機が神

・キングサイズのベッドが2つあって寝相が悪くても安心


もう一度京都でワーケーションするならここに泊まりたい。その時は値段上がってそうだけど。


東京に戻ってきて自分でお湯の温度を調整し、浴槽があふれる前に止めなきゃいけなくてちょっと泣きそうになった。早くお金持ちになってボタン一つでお湯がたまる(追い炊きもできる!)お風呂がある家に住みたい。


さて、次に実際の滞在中のことを振り返ってみたい。


滞在前半

京都駅に着いたのは20時過ぎ。そこからバスで東山三条まで向かう。


滞在初日の晩御飯。近所のフレスコ(京都にめちゃくちゃあるスーパー)で残っていたお惣菜を購入。知らない街の知らないスーパーのお惣菜は、どこかよそよそしい味がした。

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翌日は時間を見つけて新京極まで歩いてみた。錦市場に初めて行ったんだけど、品のいいアメ横って感じなのね。



お分かりいただけただろうか。見事に自炊してない。食べたいものを食べたいように食べている。


なかでも鶴橋の焼肉空は12日間の滞在中に3回食べた。次12日間滞在するなら12回食べたい。なんなら鶴橋に家を借りたい。それくらいうまい。


初日は仕事の合間を見て、歩いて10分の京都国立近代美術館に行ったけど、翌日以降、日中時間を見つけて観光に行こうと妻を誘ったら「平日は普通に仕事なんだけど!」と怒られた。いつも怒られてばかりである。恐怖政治。


初めての土日は、ユニバーサルジャパンを含む大坂日帰りと、前から行ってみたかった滋賀の山奥に日帰りで行ってきた。エッグシングスのパンケーキはすごかった。


滞在後半


慣れとは怖いものである。毎日の生活内容のツイートは6日目でぱったりと止まっている。それくらい京都でも生活が当たり前になったということだろう。


途中どうしても出張で徳島に行かなければいけなかったので、バスで徳島に行ってきた。東京から飛行機でいくより手軽に行けてよかった。


会社には親戚の家で用事がありそこから行きますとふわっとした言い訳で突き通した。


移住最後の土日は、奈良の吉野に賞味期限10分の葛切りを食べに。


翌日は嵐山で人力車に乗り冒頭の"おこしやす/おいでやす"の挨拶を教えてもらい、鶴橋まで移動し、移住の最後を焼肉空で締め、新幹線で帰宅。


持っていったものといらなかったもの


我が家はミニマリスト思考なので、夫婦二人分の生活物資と着替えをまとめても160サイズの段ボール一つに収まった。


持っていってよかったもの

・文房具などこまごまとしたもの一式

ハサミやノリ、充電ケーブルなどを小物入れにまとめて収納している。今回この小物入れごとまとめて持って行ったので、あれがないこれがないとなることがなかった。


・任天堂Switchとリングフィットアドベンチャー

毎日の運動は大切です。


いらなかったもの

・ハンガー

洗濯ものたくさん干すから必要だろうと思って持って行ったが、文明の利器であるドラム式洗濯機の前に我々は無力だった。

ヨーロッパ人が攻めてきた時のインディアンもこんな気持ちだったんだろうか。次引っ越したら必ずドラム式洗濯機を買おうと固く誓った。


・タオル

宿に備え付けのもので十分足りたし。我々はドラム式洗濯機という文明に。


・調味料一式

パンをトースターで焼く、レンジでチンしか調理はしなかった。京都は1500円もあれば2人で晩御飯が食べれるので、下手に自炊するより安いのだ。というか東京が色々と高すぎるのかもしれない。


食堂はやしは家の近所にほしい。全メニュー制覇したい。

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よかった点

京都の夏ってめちゃくちゃ暑くて、それはそれは生活できるものじゃないと思っていたけど、実際はそうではなかった。


朝晩はいくぶんか涼しくなるし、夕立の後の雨のコンクリートのにおい、滞在してすぐはセミしか鳴いていなかったけど、帰る頃には鈴虫が鳴いていたこと。


東京では感じることができなかった季節を感じることができたこと。


また、段ボール一つで生きていくというのは(家具家電は宿泊先にあるけれども)、365日のシンプルライフみたいで生活とモノを見直す機会になった。実際に東京に戻ってきてから断捨離がよりはかどったしね。


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あと、新型コロナの影響なんでしょう、京都めちゃくちゃ空いてました。


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出町ふたばの豆餅を2回食べれたのもよかったです。京都駅からは遠いので、なかなか買いに行くのが大変です。めちゃくちゃうまいので、最後はこれをのどに詰まらせて死にたいなと思ってます。


反省点(次回への改善点)

洗濯洗剤も持参すべきだった

歯磨き粉や洗顔などは普段使っているものを持って行ったが、洗濯洗剤だけ持って行かなかったので、これも持参するべきでした。


洗剤のにおいが違うとそれだけでストレスがたまるものですね。


通販を最大限利用できなかった

飲み物は楽天で、生鮮食品は楽天ネットスーパーで注文してるんだけど、泊まったエリアは楽天のネットスーパーに対応していませんでした。


それに楽天で注文するには、お茶がいつ届くかよめなかったので、すぐ配送してくれるヨドバシドットコムで割高だったけど注文した。


事前に着日指定で飲み物を注文し、現地でどのネットスーパーが注文できるかを確認して注文しておけば、着いてすぐ食品が届くように段取りできたなぁと思います。


普通にスーパーに買い物に行けばいいじゃないかという声が多そうですが、引きこもりは外に買い物にいくのがつらいのです。非力。


かかったお金

合計20万円

宿代:約6万円

食費/交際費:10万円

交通費:4万円


12日間で20万、1日あたり1.6万円。


完全に食費のせいです。学生時代に住んでいた街で土地勘があるなどすればもっと安く済ませることもできますし、自炊をすべきでした(ネットスーパーが注文できなかった点も大きい)


まぁ、でも美味しかったからいいかな!大阪鶴橋の焼肉空を食べに行くために片道1時間弱電車に乗ったのもいい思い出です。


自炊する(吉野家や松屋に頼る)、新幹線でなく高速バスや青春18きっぷを使うなど、コスト削減の方法は無限になると思います。


でもまぁせっかくだからいろんなお店に行ってみたいじゃんね、と湯水のように使っていた結果です。公開はしてません。


次はここに行きたい

静岡でしきじに通ったり、新潟で土日に佐渡ヶ島に訪問したり、年内にもう一度くらいワーケーションしたいと思ってます。


もう急に出社が必要となることもないんじゃないかと思いますので(あっても色々理由をつけて断る自信がつきました)遠出したいなと。


となると、雪が降る前の新潟かなー、佐渡ヶ島行きたいし。


最後に:どこに住むのか、住みたいのか

どこに住むかというのは、どんな生活を送りたいかということと同じで、どんな人生を過ごしたいかということである。


ワーケーションできない理由を探すより、出来る理由を探して知らない街にすんでみよう。


東西南北に長い日本に住んでいて、どこに行っても日本語が通じて、その土地土地に美味しいものがあるのに一か所にとどまっているのはもったいないと思いませんか。思いますよね。


ここまで読んでいただいた方の、食欲の秋、ワーケーションの秋に一歩踏み出すきっかけとなれば幸いです。


最後に、一緒にワーケーションを過ごしてくれた妻の感想を記載して本稿を結びたいと思います。


寄稿:妻より


京都ワーケションを通して学んだことは、2点です。


京都出汁はうまい

京都の出汁は濁りがなくて、一番出しベースが基本担ってるっぽくて出汁付きにはたまらん。


バケーションの本気度調節が大事
バケーションの本気度っていうのは、平日の朝・夜にどこまで周辺を散策するのかを夫婦間で決めておかないと、お互いの期待値がずれて、がっつり観光したい人とそうでもない人が発生してめっちゃストレスになります。

私はどこで生活してても、基本的に平日はがっつり仕事したいので、旦那に昼駆り出されるたびにちょっとイラっとしました。

番外編
京都のバスはわかりにくい。街全体が碁盤の目になっているがゆえに十字路が多いので、あらゆる方向にバスが走っていて、ふらっと乗ってつく東京と同じ感覚でいると死にます。


グーグルマップにもバス停が出てこないことがしばしばあったので、慣れてない民は地下鉄がおすすめ。

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