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孤独な人間を、愛している

孤独な人間が好きだ。自分の状況を受け入れ、それに一人きりで対処できる人が好きだ。

でも心の溝を埋めるために、他人の愛に頼らざるを得ない人のことも愛している。


Judy garland、Amy winehouse、Whitney Houston…
ドラッグで苦しんで亡くなった彼女たちの歌声には、どこか他人事と思えないような空気感がある。

愛の光を知っているからこそ、孤独はより深くなる。ステージから降りると誰も自分のそばにいなくなる。花で溢れた控え室で一人きり、その苦しみと孤独は誰も想像できないほど暗い色をしているのだろう。

愛の影を知っている、彼女達は魅力的だ。震えた足でやっとのことでステージに立っている、そんなボロボロの状態の姿を見ると胸が張り裂けそうになるが、その危うさに強く惹かれてしまう。目の焦点が合っていなくても、ハイヒールが脱げそうになっても、その瞬間彼女達は確かにステージに立っていた。

たった一人きりで、聴衆の見つめるステージの真ん中に。

映画・音楽業界の影が、中途半端な愛が、彼女達を殺してしまった。それは決して許せるようなものではないけれど、最後まで愛にすがろうとした彼女達の気持ちは痛いほど切実なものだった。孤独に一人で立ち向かうにしても限度がある。

彼女達しか知らない孤独や過去のトラウマ、愛の記憶。光と影が折り重なって、他人には到底分からない「何か」が歌声の中に存在しているのだ。

深い孤独を知っている、彼女達のことを愛せずにはいられない。

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