命にふさわしい。

青く高い空に白い雲。燦々と照りつける日差し。

誰かが言った。「死ぬにはいい日だ。」

それは前向きな言葉らしいのだけれど。

わたしの側にはいつも死が寄り添っている。

時々と言えない頻度で自死の念が心に舞い降りてくる。

一度囚われると心拍数が上がり目眩がする。

わたしは高いところに登ると、飛び降りた場合のシミュレーションを始める。ちゃんと恐怖で意識を失えるだろうか?そのまま還らずに終わるのだろうか?

そんなことばかり考える。

朝、微睡みの中で自死が語りかけてくる。言い知れぬ不安に後ろから抱き締められる。

一日の始まりは気持ちの良いものではない。


理由を探す。どうして死にたくなるのか。理由を探す。

それは、死に近づく恐怖からなのだと考える。

この恐怖は死ぬことへの恐怖なのだ。

優しくされたいこの気持ちは、優しさに包まれると安堵できるから。

様々なコンプレックスは死への恐怖からなんだ。

様々な欲望を叶える行為は死への恐怖からなんだ。


そうか。わたしは誰よりも生きたがっているんだ。

果たされず朽ちていくのが怖い。その怖さと向き合うことが怖くて、寿命を全うして死ぬには時間が長すぎて。だから怖くて怖くてたまらないんだ。

その気持ちこそ、命にふさわしい。


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