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第8回 今亡きの応募者分析と金賞のこと

こんにちは!今は亡きあの人へ伝えたい言葉実行委員会のペンネーム“いまねずみ”です。

9月14日(火)、第8回今は亡きあの人へ伝えたい言葉の入賞者発表を行いました。

今日は、
・応募いただいた方の年代や性別などを分析してみた結果
・金賞作品について
を、ご報告できればと思います。

年代:幅広ーーーーーーーい

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20代~70代の方はだいたい15%前後で、均等にご応募いただきました。20歳未満の方は4.3%、80歳以上の方は6.2%でした。

20歳未満の方は、相対的には大切な方を亡くされた経験が少ないのかなと思います。80歳以上の方は、今亡きが主にインターネットでの告知だったこともあり、知っていただけた方が少なかったかもしれません。

性別:女性が7割 

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おおまかに、4人中3人が女性という結果になりました。
もちろん男性の方からも素晴らしいお手紙が多かったですが、女性の方が手紙を書いたり文章を書いたりするのが好きなのかもしれません。

手紙の宛先:お父様が1位

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2位のお母様と大きな差はないですが、これは少し意外な印象でした。一般的に女性の方が長生きなことが関係して、お父様がすでにお亡くなりになっている方が多いのかもしれませんね。

金賞:「五文字の後悔」について

金賞は樋口美来さんの「五文字の後悔」という作品でした。

8代目、第8回リーダー、8人目の・・・といろいろ言ってみたくもなるのですが、これまでの金賞受賞者の中では最年少(16歳)です。

お手紙の全文ご紹介いたします。*銀賞~特別賞の作品はこちらから読めます。

拝啓
 すがすがしい初夏の季節となりました。おじいちゃん三年ぶりですね。天国で元気にしていますか?先月、おばあちゃんがおじいちゃんとお喋りしたくて天国に会いに行きましたが、その時、いつも着ていた割烹着を持っていったから今頃二人でおばあちゃんの手料理を食べている頃でしょうか?これからまた仲良く暮してください。

 さて、なぜ今、おじいちゃんに手紙を書いているのかというと、どうしても伝えたいことがあるからです。私は物心ついた頃から、おじいちゃんは無口で笑わない、素っ気ない人だと思っていました。だから、今日までずっと話す時は敬語でした。おじいちゃんのことを何も知らなかった私を許して欲しいです。いえ、正しくは「知ろうとしなかった私」をです。無口で、笑わなくて、素っ気ないこと全てに理由があったことをおじいちゃんが亡くなってから初めて知りました。

 亡くなった次の日、家族で写真を見返していると、そこにはとびっきりの笑顔でお友達と写っているおじいちゃんがいました。徐々に時を刻むにつれ、写真からは笑顔だけが消えていました。認知症だったのですね。それも私が生まれる前から。しかし、もしたくさん話しかけていたら、もっともっとおじいちゃんのことを知ることができたのに。笑顔が見れたかもしれないのに。今思うと好きな食べ物も、テレビ番組も、趣味も知りません。勝手に見えない壁を作っていたのは私のほうでした。ごめんなさい。

 葬儀の時、会場には二百名近くの方が来てくださいましたね。それは生前、おじいちゃんがお友達を大切にしていたからでしょう。そして、私にも一つだけしっかりと覚えていることがあります。それは私が五、六歳の時、たった一度だけおじいちゃんの膝の上に座ったことです。お喋りこそしませんでしたが、確かにあの時、大切にされているんだなと感じました。ぬくもりを感じました。

 「ありがとう」「大好きだよ」と伝えればよかったです。あの時、言葉にして。親戚のおじさんに言われました。
「人が亡くなった時、後悔しない人はいないよ」と。今度はいつ会えるかも分からないのに、顔や名前も忘れられるかもしれないのに。そんな、たった五文字の短い言葉を言うことが出来ませんでした。今になって、後悔の気持ちからか涙が止まりません。

 おじいちゃん、約束します。これからは思ったことはしっかり相手に伝えます。この手紙のように。だから次会う時はたくさんお喋りしようね。九十年くらいは行かないけど。じゃあ、またね。
敬具

「五文字の後悔」はとても爽やかな書き出しです。これから書籍になって、手に取るたびに読み手に初夏をイメージさせてくれるような作品だなと思っております。

樋口美来さんがおじいさまのことを想うように、大切な存在な人が亡き後も考え続けると、後になって気が付くこともたくさんあるかと思います。それは亡き人の想いだったり、自分の想いだったり。

自分にとって身近な亡き人の年齢に近づいて追い越して・・・だんだんわかってくることもあるかと思います。いまねずみは樋口美来さんの作品をきっかけに、30年位前のことを思い出したりしました。当時と今では、亡き人への思いや関係性はどう変化したかなと。

みなさんも考えてみませんか?そして第9回が開催されたら是非ともご応募いただけたらと思います。

第8回の今亡きにご応募くださったみなさま、そして作品に寄り添ってくださったみなさまが、10年、20年、30年後に、2021年の思い出を振り返ったとき、今亡きが思い起こされるといいなと思っております。

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