- 運営しているクリエイター
記事一覧
『海賊と山と薬と。』
----------------------
今日も船長に怒られた。自分では一流の海賊だと思っているのに、なかなか認めてもらえない。同じタイミングで今の船に乗るようになった奴は、いつの間にか船長の補佐役として出世した。俺が認められる日は来るのだろうか。
悶々と考えていたら眠れなくなった。船室から外に出ると冷たい夜風が吹き抜ける。月の光が海面に水平線までの道を作っている。
もう、この船を
『しゃもじのおびえ』
----------------------
迫りくる複数の足音──。
そして、私は囲まれた。
その中の一人が私のくびれを力強く掴んだ。
「やめて!」
絞り出そうとするが、想いは声にならない。
飢えた獣たちが、よだれを垂らして私を見る。
せめて、せめてシャワーを浴びさせて。
そうすれば、我慢が出来るかもしれないわ。
もう耐えられないの。
あの“白い粘り気”が私の身体にまとわりつくことが
『USAKAME2020』
「亀、すごすぎ」
「不可能ってないんですね」
「ウサギwww」
こんもりと盛り上がった丘の上。集まる動物たち。
歓声とも揶揄ともつかぬざわめきが広がる。
風はなく、照りつける太陽は光と影を作った──。
「どうして──」
俺はただ呆然と亀の勝利に沸く森の仲間たちの姿を見ていた。
満面の笑顔の熊、チラチラと俺の顔を見て嘲笑する鹿、亀の甲羅に頬ずりするリス。
あいつら……。
自分の敗北がこんなに