【危機管理】日向灘地震から1週間。日南の現場を見て思う必要な防災
地震から1週間がたちました。
今回の地震は市内の至る所で爪痕を残しました。
特に高齢のお年寄りで、災害ごみを近くのごみ収集所に運搬できない方にはとても負担になったと思います。
私も市社協のボランティアに登録して、各世帯の支援に動いてきました。
https://www.umk.co.jp/news/?date=20240813&id=24611
地震の被害が今になって明らかになってきたところもあり、さらなるボランティアの要請もあるようです。
また、17日の宮崎日日新聞によると、日南第一ホテルでは200のキャンセルがあったようです。こうした天災は強制的に営業活動を縮小させることになるため、一刻も早い行政の補助が必要だと切に思います。
さて、1週間が過ぎたからといって、地震が発生しないわけではありません。
そもそも、日本に住んでいる限り、どこにいても地震は起きるのです。
それは1秒後かもしれませんし、1年後かもしれません。
この1週間で防災の大切さを強く実感した人も多いのではないでしょうか。大事なのは、その意識をしっかりと継続していくことです。
防災バッグを車に積もう
皆さん、防災バッグは準備していますか?
地震が起きたときに、あれやこれやと物を探していたら、あっという間に津波などに襲われます。
有事の際に迷わないためにも、防災バッグをしっかりと準備しておくことが重要です。
そして、今回の地震で、防災バッグは車にも積んでおくことが重要だと思いました。
私は、地震が起きたときは自宅にいませんでした。
特に、日南のような車社会では、だいたいの人が車で移動しています。
津波などが堤防を越えて襲ってくるときは、近くの避難場所にすぐに避難しなければなりません。
https://www.ms-ins.com/kurumamo/entry/23015#3
最悪の場合は車を乗り捨てて逃げないといけません。
(必ず、車を置いていかないといけないわけではありません。実際に東日本大震災では、車で避難したことによって津波被害を免れたケースもあります)。
外出先で被災する可能性が高い人は、車にも防災バッグを積んでおくべきだと強く感じました。
「熊本地震で一番困ったのはトイレ」
今回の地震後に、熊本市長が投稿したXのツイートです。絵文字の勢いに少し笑ってしまいましたが、これは重要な提言だと思います。
当たり前ですが人間、食べたらその分、トイレに行きます。
しかし食料を準備することには熱心ですが、トイレまでは、なかなか準備が及ばないようです。
実際、避難所にも備蓄品として食べ物は用意されています。しかし、それを食べたあとのトイレの備えについては自分で準備しおかないといけません。
熊本地震の時にも一番困ったのは、トイレだそうです。
大規模な地震では上下水道が破壊されます。
トイレが流せないと、人間は1日で「終わる」そうです。
私も日南のホームワイドで、防災用品を見ていましたが、食べ物については品切れでしたが、防災用トイレグッズについては結構、余っていました。
排泄物をすぐに固めて、消臭もしてくれる便利なグッズもあります。食べ物をたくさん防災バッグに詰めるのも大事ですが、しっかりと簡易用トイレも準備しておきましょう。
「避難所」と「避難場所」の違いが生死を分ける
地震後に、多くの方に「地震では大丈夫でしたか?」と聞きました。
その中で意外とみなさん、混同されていると感じたのが、「避難所」と「避難場所」の違いについてでした。
避難場所は、災害から逃れるために一時的に留まる場所です。
避難所は、災害で自宅を失った人が一時的に生活する場所です。
東日本大震災では、避難場所ではなく、避難所に行ってしまったがために命を落とした方もいるようです。
日南市の場合は津波の際の避難所、避難場所はこちらです。
避難所と避難場所が異なっているケースもあるので、しっかりと自宅から近い場所を確認しておきましょう。
海が見えない場所ほど危ない理由
ここからは個人的な話になりますが、私が以前、東日本大震災の被災地を巡った際に強く感じたのは、「海に近い場所ほど、みんなしっかりと避難していた」ということです。
普段から海が見える環境で過ごしている人は、有事の際にも、危機意識が高いのです。
一方で、海に近いけど見えない場所にいる人たちは、「ここまでは津波はやってこないだろう」という正常性バイアスが働いてしまい、動きが鈍くなってしまうのです。
それをまざまざと感じたのは、宮城県石巻市の大川小学校の例でした。多くの人たちが「津波はここまでやってこない」と思ってしまい、地震発生からおよそ50分もの間、子どもたちが学校にとどまってしまいました。
悲劇の現場になった大川小学校を見に行くと、校庭のすぐ裏には小高い山がありました。
そこは、誰もが「なんで、この山を登らなかったの?」と思うほど、近くの高い場所なのです。
実際、小学生の中には、「山へ逃げよう」と言った子どもたちもいたのですが、先生に「ここにいなさい」と言われたそうです。
そして、ずっと校庭にとどまり、川を駆け上った津波に襲われてしまいました。
このことに対して遺族はこの被害は「天災ではなく人災」だと市教委を訴えて泥沼の裁判となりましたが、最終的には遺族側が勝訴しています。
とても悲しい裁判です。
地震が起きたらとにかく高台に逃げましょう。
特に日南市には多くの川が海に注いでいます。
海が見えない地域ほど、こうした現象が起きる可能性があります。大川小学校の悲劇から私たちは多くを学ぶべきです。
NHKの防災報道のすごさ
私は元新聞記者ですが、災害報道に関してはやはりNHKがずば抜けていると感じています。
実際、知り合いに聞いたところ、今回の地震では十数人の記者が宮崎県に投入されていたようです。
テレビで情報が得られない人に向けても、NHKはホームページ上で、災害報道を配信していました。
また、ツイッターアカウントの「NHK生活・防災」については、かなり防災情報が充実したアカウントになっており、担当者の熱意が伝わってきます。ぜひ、フォローをお勧めします。
また、「NHKニュース・防災」のアプリをインストールしておいて、自分の暮らす地域を登録しておけば、防災情報がプッシュ通知で届くのでお勧めです。
自身の安全を守るために欠かせないハザードマップについても、このアプリは優秀です。
日南市のハザードマップはPDFのペラ1枚で、正直なところ、とても見づらいです…。
このアプリなら、現在位置情報に照らしてどこが危険なのかがすぐに分かります。現状は、このアプリのハザードマップで確認するのが良いかと思います。
個人的な意見ですが、情報が錯綜する災害時にはまず、NHKのニュースをチェックするのが一番だと思います。もちろん私は、NHKの回し者でもなんでもないですが、同業の記者たちの間でも、NHKの災害報道の質と迅速さは一目置かれていたと思います。
私も一記者として、さまざまな会社の記者たちと働いてきました。
どの会社の記者も、災害時の報道機関として、多くの人の命を守るために、覚悟を持って災害取材をしていることも付け加えておきます。
南海トラフ以前に、そもそも日向灘は地震が周期的に起きる
南海トラフ地震について、多くの注目が集まっていますが実際、南海トラフ地震の30年以内に70~80%と呼ばれる確率は眉唾ではないかと言われています。
この点については私のいた新聞社の先輩である小沢慧一さんが、「南海トラフ地震の真実」という本で書いています。
古舘伊知郎さんがYouTubeでその点を分かりやすく解説しています。
ただ、これは南海トラフ地震を警戒しなくてもいい、ということではありません。むしろ、日本列島に住んでいれば、どこでも地震が起きるのです。
だからこそ、今回の南海トラフ臨時情報が終わったとしても、私たちはしっかりと有事に備えて準備をしておかないといけないのです!
最近、県内のメディアで引っ張りだこなのが、京都大防災研究所宮崎観測所(宮崎市)の山下裕亮助教(観測地震学)です。
震源域が今回の地震で十分に破壊されなかった「割れ残り」が生じている可能性があると指摘。大規模地震が再び起こる可能性もあるとして警鐘を鳴らしています。
加えて日向灘では通常の地震よりもゆっくりと断層がずれる「スロー地震」の活動も活発化しているとし、「スロー地震との相互作用で、M8クラスが発生する可能性もある」とも説明しています。
そもそも、宮崎県の近くの日向灘は昔から一定周期で地震が起きている場所で、大規模な地震が起きやすい場所なのです。
備えあれば憂いなし。
今回の地震は私たちの防災意識を高める良い機会だったはずです。
今後も、皆さん、警戒を怠らずにしましょう。
気が緩み始めたそのときが一番危ないと、私は思っています。
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