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白山 律
2022年9月19日 14:02
海の近くを歩いていると、「こっちこっち」と声が聞こえた。そこには白い髭を生やした老人がいて、ちょうど防波堤の向こうから顔を出す形になっている。その老人が立っている場所は海のはずだが、向こうはどうなっているのか。「僕ですか?」「君以外に誰がいるんだ」その老人は怪訝な表情で言った。「え?本当に?」「そうだ。早く乗ってくれ」戸惑っていると防波堤の上に登るよう促した。言われるがまま