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【前編】Life Quest~釜石で〇〇する人たちの多様な生き方〜第19回目「地域と森とデザインと。」×境悠作さん

本記事は、岩手県釜石市で人生を探求し生き方を自分でつくることに挑戦し、様々な活動に取り組むゲストの生き方に迫っていくイベント型オンライン番組『Life Quest』の内容をnoteに転載しています。         
今回は、2021年3月15日に実施された第19歩目「地域と森とデザインと。」に取り組む境悠作さんをご紹介します。                実際の放送については、こちらよりご覧ください。

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ゲストプロフィール:境悠作氏/1988年東京生まれ。米国Wartburg College 経営学部入学。2009年 Northeastern University 経済専攻経営副専攻転籍。日本に帰国後、2014年バンタンデザイン研究所プロダクトデザイン科卒業。2016年 LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 福岡県匠選出
2018年 釜石市企業型地域おこし協力隊として「釜石/岩手県産木材を活用した製品開発プロジェクト」をテーマに活動に参画

わたしのデザイン

境)皆さんよくデザインてなんだろうと非常に広い意味で捉えれることが多いんですけれども、私自身は釜石に来る前のデザインの定義として、本質的な価値を正しく、わかりやすく、魅力的に伝える行為であり複雑な概念や価値を整理して行える行為と個人的には理解しておりました。デザインというのはある意味翻訳する作業に近い、お客様の想いを正しくわかりやすく伝えるのがデザインであると理解して取り組んできました。

その中で、釜石には豊かな地域資源特に豊富な森林財であったりとかそれらと私自身のクリエイティブのスキルを掛け算して釜石ならではのローカルクリエイティブというものをずっと追いかけて2年半活動を続けておりました。

地域資源×クリエイティブ→ローカルクリエイティブ

よくご相談を受ける際に勘違いをされてしまうことがあるのですが、うち自体は林業をやっているわけでもなく、製造や生産をやっているわけでもなく、あくまで企画、デザイン、設計を主にやらせて頂いております。

KAMAISHI FORESTRY KITCHEN

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私の取り組みの一つになるのですが、こちら使い捨て可能な木皿になります。2017年に釜石で大きな山火事がありまして、かなり広範囲の森林が焼けてしまいました。ただ、この燃えてしまった木の中でも表面だけが焼けていて、中身は燃えていないものがかなり多く残っていたらしく、それらをよりいい方向で活用できないかということをパートナーの森林組合さんが課題としてお持ちでした。であれば、使い捨て可能な持続可能なお皿が作れないかということで、KAMAISHI FORESTRY KITCHENのモデルというものを提案させて頂きました。

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ゴミ0の循環型モデル、釜石のオリジナルモデルというのを提案させて頂いて、現在釜石の根浜地区にあるレストハウスの方で委託販売という形で販売させて頂いております。お皿の方は丸と四角がそれぞれあるのですが、お持ちいただく皆さんに大変軽いということでご好評いただいております。実際には、取り組みの中で完成形としてはSDGsのターゲットに合わせて目指しております。

しずくのホイッスル

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もう一つが同じく根浜という地区での取り組みなんですが、同じくローカルベンチャーの細江さんや今井さんという方々にご協力いただいて、根浜MIND様に対して地域のお土産品としてご依頼を賜ったものを紹介させて頂きます。根浜は海岸沿いにあるエリアで津波で大きな被害があったエリアですが、それ以降海の防災ということで海で仮に被災してしまったり、なんらか事故が発生してしまった時にいかに自分自身の命を守るかとかどういう風に減災をするかということを教育として取り組まれていたエリアです。その彼らが地域を象徴するお土産が何かできないかというお話を伺った時にホイッスルを持っていた方が持っていなかった方に比べて3割ほど救命率が高かったという事実があって、じゃあまずホイッスルをつくろうと提案させて頂きました。更に、森と海は恋人とという関係があって、森の材料を買ってお金を回して森が元気になれば、その栄養源というものが海に流れていくというところから木を使って森を元気にしよう、更に川に繋がっているので、その川の最小単位であるしずくというところからヒントを得て、しずくの形のホイッスルという風にたどり着きました。実際には、ワークショップも実施しておりまして、紐結びワークショップは、実際に紐の結び方を覚えていただくことで自分達の命を守っていこうということで、本当に実用的なロープ結びを漁師さんからリサーチして、その結び方を教えるというものです。お守りという意味もあるので、漁師さんたちからせっかくなら鳥居の形がいいんじゃないかということで正面に鳥居の形をした神結びというの結び方にしております。

それ以外ですと、地域のcobaというコワーキングスペースに家具の納品をさせて頂いたり、みんなで家具作りワークショップをやったりとか漆の木材を活用した製品の開発なども進めております。

Re:plant

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実際にお話をお伺いする中で例えば漆やリンゴもそうなんですが、一定年数木を育て続けていると木が大きくなりすぎたりとか、漆なんかだと樹液をとる為におろしがきという手法で傷を入れて漆をとるんですが、その樹液をとった後の木材というのは、製材所も漆のかぶれが怖いということで製材できないということで、一部が薪などの燃料にされてそれ以外は山林に放置されているという現状があります。ですので、それらの使われていない材木を製材として集め直して、それらを使ってデザイン企画を起こして、それを商品として販売することでまた山野、山林にお金を返して、持続可能な循環モデルをつくろうということで企画させて頂いたのがRe:plantという商品になります。現在、上記の商品を5種類販売しております。

FROM KAMAISHI BENCH

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もう一つが釜石のベンチを制作させていただいておりまして、「鉄の街」というシビックプライドがありますが、個人的になかなか鉄に触れ合う機会が少ない印象がありました。もっと鉄に触れ合える機会をもっと増やしたいという風に思っておりました。森林組合さんの方からも釜石には、鉄以外にも魅力的な木材もあるというお話を聞いていたので、木と鉄を用いた釜石らしい、釜石を象徴する公共家具ということでFROM KAMAISHI BENCHというものを企画させて頂いております。

以前、森林組合さんや宮崎さんが製品として開発して提案していた森と鉄の価値観がすごくいいなと思っていたので、私としてはより広い所の公共空間における地域産材を活用したベンチを提案させて頂いておりまして、両方が活かしあえる環境を作り出したいと思っております。この座面は、岩手県産材の南部赤松を使用しておりまして、これは岩手県の象徴の木といわれています。しかし、この南部赤松は少しやわらかい材質なのでこれだけでベンチをつくると強度が不安な要素もあるので、強度を必要とする支える部分の足を鉄で生産させて頂いております。

わたし自身の取り組みと致しましては、デザインというのはもちろん形があるものでもあるんですが、形だけではなく、あり方を考え、それを実現する仕組みやカタチを考えることを総じてデザインということでこの釜石の方で取り組みをさせて頂いております。

戸塚)境さん、ありがとうございました!

ー後半は、境さん自身の人生について深掘っていきます!

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