ぞわっとするマンガ『夏目アラタの結婚』
水曜日ですね、今日のマンガは『夏目アラタの結婚』です。
もうこの絵で分かる人は分かると思うんですけど、作者は乃木坂太郎さんです。「医龍」や「幽霊塔」も描かれていますよね。この2つについて、先にちょっとだけ話をさせてください。
「医龍」はすごく王道な作品だと思うんですけど、「幽霊塔」はちょっと違います。センス・オブ・ジェンダー賞大賞の耽美ミステリー!!となっている通り、主人公は男性として生きることを選んでいるんです。
この「幽霊塔」は時代背景も含めて巧妙に作られていて、ぼくは2回くらい読まないと理解が追いつかなかったりしました(笑)ただ面白いから読んではいたんですけど、noteに書くのはちょっと違うかなと思って。
というところから、読み始めたのがこのマンガでした。
『夏目アラタの結婚』はKindleでずっとリコメンドされていたマンガなんですよね。でも、またエログロ系だったらなと思って少し躊躇していました。
なんですけど、読みはじめたら久々に最初から狂ってるなと思いましたね。
主人公 夏目アラタの登場シーンなんですけど、すごいですよね。
アラタはどんな人かというと、児童相談所の職員です。正義感が強くて、子どもが大好きなんですけど、仕事に向いてないかなと思い始めて、辞めようとしていました。そんなとき、担当することになったのが山下卓斗くん。さらに、卓斗くんのお父さんがある事件の被害者なんです。
その事件というのが連続バラバラ事件。
しかも卓斗くんは、夏目アラタの名前を使って犯人と文通を始めていたんです。
この絵のタッチが独特ですよね。
急にシリアスになるというのか、色合いが変わるというか、独特な空気を放つんです。そして、アラタは卓斗くんにかわって、連続バラバラ事件の容疑者 品川真珠に面会を申し込みます。
ここ、ジェンダーレスっぽい絵だと思いませんか?
「幽霊塔」にも通じますよね。
ちなみに、ぼくは「医龍」の加藤も好きです。
『医龍(8)』(乃木坂太郎/永井明/小学館)より引用
ぼく、乃木坂太郎さんの絵のタッチに惹かれるんですよね。シャープな感じというか。
それから『夏目アラタの結婚』はミステリー感が出ているのがいいなと思っています。読んでいくうちに、「本当に品川真珠が殺人を犯したのか」という話にもなっていくんです。
最新刊は3巻なのでまだ核心には迫っていないんですけどね。それから、アラタも相当ぶっ飛んでいるんですよ。
初対面の品川真珠に「結婚しよーぜ」と持ちかけます。対する真珠もなかなかで、まずはカマをかけるんです。
ぞわっとしますよね。
それから、こういう表現も好きです。
あと、この色気があるようでないような描写。
ここまでアラタが真珠の心を開こうとしている理由は、亡くなった卓人のお父さんの頭部を取り戻したいだけなんです。でも、2にんで話をするうちにアラタは本当に真珠のことを好きになろうとします。
その結果ですよ..
このコマすごくないですか?
真珠はこんなこと言ってますけど、殺人の容疑をかけられて刑務所にいるんですよ。ここも、設定が狂ってますよね。そして担当弁護士が登場します。これすごいなと思ったんですけど「獄中結婚」ってあるんですね。
こうやって、どんどんアラタと真珠の結婚が進んでいきます。
真珠は弁護士に対してこんな顔をするんですけど、絶対本物じゃないですよね。狂ってます、良い感じに狂ってます。超怖い。
こわー!お母さんの名前を聞いたりして、外堀からどんどん埋められています。ぼくはこのマンガを夜に1人で読んでいたんですが、本当にどうしようもない気持ちになりました(笑)。ただ、どれだけ怖いと思っても、その奥にある真実を知りたくなっちゃうんですよね。
ここ、アラタの切り返しもいいんです。
すごくないですか?あと、ここもちょっと面白いなって思ったんですけど、
こういうの好き。IQを測るテストらしいんですけど「そんなのあるの?」と思いました(笑)。
面白いですよね。ここから、アラタはさすがに飽きてきて、別れ話をするべきだと考えるようになります。するとそれを察した真珠が
すごいですよね、この顔。
で、過去の被害者の左腕が発見されるんです。こんな感じでストーリーが進んでいきます。1・2巻では、品川真珠は犯人だろうって感じですよね。だた、その設定がどこに向かっていくのか全然想像がつかないんですよ。
この感じは「幽霊塔」にもあって、あれもカオスだったんですよね。というところから展開を予想しても、なかなかなんですよ『夏目アラタの結婚』は。
少し話はそれちゃんですけど、ぼくは駆け引きが面倒になるときがあるんですよ(笑)。すーっていきたくなります。このときのアラタも途中から、急に素に戻ってしまうことがあったんです。
ぼくは、このときのアラタの気持ちがよく分かりました。メッキは重ねていっても最後には剥がれるじゃないですか。乃木坂太郎さんの作品は、そこが一貫している気がします。
最後には人間の素が出ていると思うんですよね。
ここで、読者もみんなスッキリできる。例えば、「医龍」のここですね。誰が次の医局長になるのかというときに、有力者の野口先生がどんどん力を失ってしまうんですよね。これだけ席を用意しているのにですよ。
『医龍(22)』(乃木坂太郎/永井明/小学館)より引用
そこへ、主人公の浅田は違う派閥なのに、対立する野口先生とお酒を酌み交わすんです。ぼくはここがすごい好きなんですよね。医局とかなかったら、本当は...というのか。すごく人間らしくて。
そんなシーンが「医龍」にあるのか、それとも「幽霊塔」にあるのか、という作品の違いは当然あるんですけど、人間味に溢れるシーンは『夏目アラタの結婚』にも共通している描写だと感じます。
あとはnoteでもよくこの話をしていると思うんですが、最近のマンガはエログロから入って、実はミステリーでしたみたいな展開が増えましたよね。
でも『夏目アラタの結婚』は最初から一貫してミステリーだと、ぼくは思っています。3巻になると、徐々に答え合わせのようなシーンも出てきてすごく面白いです。
あとは、やっぱり絵のタッチが好きですね。
乃木坂太郎さんが描くキャラクターには独特の魅力がありますよね。『夏目アラタの結婚』では、悪い人の絵が特に光っています。「実は、こういう人を描きたくて連載がはじまったのかな」と想像してしまうぐらい、うまく悪人を描いていると、ぼくは思っているんですよね(笑)。
(ヘッダー画像引用元:夏目アラタの結婚@乃木坂太郎)
それではまた明日!
最後に。
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