『プラダを着た悪魔』をみて、作業と仕事の違いを再確認しました
土曜日ということで、映画です。
『マイ・インターン』をきっかけに『プラダを着た悪魔』も観ました。『天気の子』観たあとの『君の名は』パターンですね(笑)。今回はミランダの仕事に対する姿勢にかなり刺激を受けました。
さっそく感想を話していきます。
タイトル
『プラダを着た悪魔』って観たことないけど、言葉としてはたくさん知っていて映画の冒頭で、"THE DEVIL WEARS PRADA" っていうアルファベットが出てきたときに「なんかめっちゃかっけぇな」と思いましたね。「Devil って言葉を久しぶりに見たな」って思いました。なかなか見ることがないんで(笑)。
エミリーの仕事
まずは第一秘書のエミリーが不親切だなとは思いました。
最近うちも新入社員が入社する時期だったんですが、最初は引継ぎがあるりますよね。そこでこの映画は「突然やれ」みたいなところからスタートします。
でもぼくは結構この仕事のさせ方は好きで「丁寧だからいいわけじゃない」と思っています。仕事はマニュアルを読んでいようが意味がない。必要なときに、必要な情報が入ってこないと仕方がないと考えているからです。
だからOJTに勝るものはないと思っているんですよね。はじめから「これやっといて」「これどうやって解決したらいいんだろう」っていうところから始まるので。問題を解決するためのマニュアルは、最初に読んでいるだけでは意味がないと思います。でも、その物事と出来事が一緒にあったら絶対に忘れない。だからエミリーの仕事のさせ方は結構好きです。
理想の上司
そもそも、ぼくが今ここにいられるのは「出会った上司がみんな良かったからだ」と思っているんですよね。19歳から働き始めたときに本当にいい上司に恵まれました。
必要なときに必要な情報をくれたんです。
実は「Excelってどうやって使ったらいいんですか」って質問したことがなかったりします。かわりにExcelを前にして「すごい」「数字があるの?」「足していくの?」って感じで、=+をずっと駆使していたんですけど(笑)。
そうしたら上司が「SUMってあるんだよ」といった感じで声を掛けてくれて「ああ、そうなんだ」って納得しました。つぎに「これ文字数とかってどうやってカウントするんですかね?」って言って、COUNTを教えてもらったりとか。「こうやりたいんだけど」って課題が無限にあったときに、それを知りたいタイミングで教えてくれたんですよね。
そう考えると、エミリーは不親切だけど最後に細かいことは教えてくれている気がします。先方の電話番号とか。だから、それ以外のところはまずはやらせようっていうのは、ぼくは「悪いことじゃないな」って思いました。
あと「ミランダに質問してはいけない」っていうのが超かっこいい。「質問をしないで」いいですねえ。
ミランダの仕事
ぼくは思ったのが、ミランダは怒ってはいないんですよ。”That's all.” とか言っても「以上」ってだけで。
感情とは無縁、もう怒るとか怒らないとかっていうところにいない。ミランダにとっては「やりたいことを伝えてやってくれる人かどうか」以上。だから余計にミランダがこうなるまでが見たいなってぼくは思いましたよ。
あれだけの地位とポジション、映画の最後ではそれを失いかけてましたけど、それすらも食い止められるくらいになるまでが知りたかったなっていうのはありましたよね。『ヤング島耕作』みたいな(笑)。
あとミランダは出社するたびに、毎日バッグとかコートをバシバシ置かれていくじゃないですか。あれだけ置かれたら「テンション下がる」っていう人も、もちろんいるんだろうけど。
毎日バンバン置かれてなんなら、パソコンのキーボード壊れるんじゃないかくらいに思ってましたけど。あんだけ置かれたら気持ちよくなってくるんだろうなというのがありまして。あのシーンでぼくはちょっと、違う価値観を持ったのかもしれないです(笑)。
さらに、週末ミランダはマイアミにいます。アンディはパパと食事ですっていう状況があったんですけど...
不幸フラグが速攻立っているじゃないですか。そんな世の中、幸せな週末じゃねえぞと。案の定アンディがパパとご飯を食べているときに電話が掛かってくるんですよ。もう、ほらねって思いましたよね。
電話はミランダからで「全部フライトが無くなったけど明日の発表会に間に合いたい、手配してほしい」みたいな依頼だったんです。そのとき「大袈裟ね、ただの濃霧よ」って言ってるのに雷がバンバン落ちているんですよね。
ああ、このミランダはどこに本心があるんだろうって思って、ちょっと面白かったですよね(笑)。でも、まあ物語の結論としては、その日はフライトはチャーターできなくて「娘は大成功だったけど、私は」みたいな。
ここで、ぼくは1番いいなって思ったことがあります。
人を1番傷つける方法
突然ですが、人の傷つけ方って分かりますか?
実はその人自身を傷つけてもダメなんですよ。そうではなくて、その人の大切なものとか、大事なものとか、その人ではないものが1番その人を傷つけると思っています。傷つけたい人が大事にしている物を壊すとかですね。直接的にその人に暴力を振るったところで、それは意味がないんですよ。
こんなことを考えたのはミランダのセリフがきっかけでした。ここはミランダいいなって思ったところで、ぼくも深く共感しているんですけど、アンディに「選んだ私がバカだった」と言うんです。「あなたのせいでもなく、あなたを選んだ私が無能だったということなんでしょう」と言って、なんの反論もさせない怒り方をするんです。
このやり方をすると人って1番傷つくんですよ。
なぜ、ぼくがこれを言えるかっていうと...
前の会社のときに部下がミスをしたんですけど、部下は社長に怒られるだけでぼくの給料が下がるみたいなことがありました。つまり、ミスを理由に部下の給料を下げても仕方がないから上司の給料を下げる。
そうすることで、部下も自分の減給だったら食生活を改善するとか、なんとか凌ごうとすると思うんですけど、上司の給料を下げられるという、自分ではどうすることもできない苦しみを味あわされるわけじゃないですか。今思えばすごいなって思うんですけど、これが本当の人の傷つけ方なんだっていう。それをぼくも一応知っているのでミランダの行動はよく分かりました。
ナイジェルの仕事
そのあと、アンディは泣いちゃって「認めて欲しい」みたいなことを言うわけです。それに対してナイジェルは「ミランダは自分の仕事をしているよ」「あなたも認めて欲しいじゃなくて自分の仕事をしろ」みたいなことをいうわけですよ。認める、認めないってなんなんだと。
結局仕事の世界ではお互いに仕事でしか語れないわけじゃないですか。相手を認めたところで、なんか仕事に影響出るんですか?出ないんですか?っていう話だと思うんですよね。っていうところから、お互いに仕事で返せよとなり、そこから絵に描いたようにアンディは綺麗な感じになっていくんですよ。理想的な before & after ですよね。
必要なものをお願いしているだけ
そのあとアンディはミランダの家にファイルを置きにいくことになるんですが、夫婦喧嘩を目撃してしまいます。そして翌日のミランダはめっちゃ機嫌悪いんです。でも怒っているようには見えなくて「ハリーポッター を買ってきてほしい」「子どもたちが好きだから」と指示を受けます。そこで「分かりました」「買ってきます」ってアンディが返したあとに、ミランダが
「なに寝ぼけてんの?」と。
このセリフ最高ですよね。
これ、誰もが一瞬油断したと思うんですよ(笑)。
今回はハリーポッター を買ってくればいいんだって、そしたらまさかの発売前のを買ってこいっていう、どういうこと?みたいな。っていうところからアンディはなんとか手に入れるんですけど「発売前のハリーポッター を取り寄せろ」って言える人なんていないじゃないですか。J.Kローリングスに電話掛けるかって思わずアンディが考えてしまうくらい、無理な話だよなって思いました。
さらにアンディが方法を調べているところに、ミランダは「できなければ戻ってこなくていいよ」とか言ってましたよね。あのときどっちなのかなって思ったんですよね、本心は。本当に戻って来なくてもいいぐらいの感じで依頼しているのか。でも、そもそもこの考え方がミランダにとっては不要な考え方なんでしょうね。きっと、どっちでもないんですよ。
ミランダは必要なものをお願いしているだけ。
それによって、アンディがどうなろうがどっちでもいい。それを気にするのはミランダの仕事ではないんです。そして走るアンディ。ここで思うことは1つ、ニューヨークって絶対人轢かれねえよなって。この時点では思ってないですけど、あの後エミリーが轢かれてしまうんですよね。
あれはなかなかだったな(笑)。
アンディの仕事
最終的にアンディは、約束の1時間前には双子の分もコピーを終えてミランダに渡しましたよね。ここで仕事のできる秘書ってまたちょっと違うなって思うことがありました。さっきの認める話とは矛盾することを言うかもしれないんですけど、食い気味に来られるとイラッとするんですよね。
「なになにやってね」「終わってます」
「これは?」「もうそれも終わってます」
みたいな言い方。なんで仕事はできるのに最終最後だけ気持ちよくしないんだろうなと。その言い方、俺は嫌なんだよなってアンディの返事を見ながら思ってましたね。ぼく的にはちょっとイマイチみたいな。最後まで気持ち良くさせればいいのになって。
そこが決して秘書をやりたいわけではなく、ミランダに気に入られたいわけでもなく、ただ単純に仕事がしたいだけなんだなっていう。
そこがね、なんかちょっとね、違うんですよね(笑)。
パートナーの理解力
こっから徐々にアンディがドレスアップするごとに、恋人のネイトとすれ違っていくんですよね。これめっちゃ分かるなって思ったのが、自分が成長していったり昇進すると私生活が崩壊っていうのもそうなんですけど、やっぱりなにかに捧げていると、なにかを失うというか。
ぼくとかもそうかもしれないんですけど、仕事にここまで専念するとプライベートとかゼロだしみたいな。超後回しにするんですよね。
これ、ぼくは仕方がないと思っています。
それまで生活水準が同じだった人が急にブランド品とか身に付けたり、働く環境が変わるとか、それはもう追いついていけなくなると思うんですよ。そのときに本当に一緒にいてくれる相手を...別に、別れないといけないっていう話じゃないんです。
ただ、このパートナーの理解力ってめちゃくちゃ問われるんだろうなって。嫉妬もするだろうしとか考えましたね。なんなら誕生日も一緒に過ごしてくれないとか、そういうことだと思うんですよね。これをどのタームで見るかっていうのが、なんか考えるところがあるよねっていう。
この物語でワンチャンそこを可愛くするのはアンディがネイトとのデートで「この服も新しいのだけど」って話しかけても「ふーん、イマイチじゃない」って返されるところがあって。普通だったらアンディが「なにその反応」っていきそうなところを「もう1個新しいのがあるの」って下着を見せていく。こういうトラブルってたぶんヤってる瞬間とかって一応解決しているというか、そこをちゃんと描いているのはえらいなって思いましたね。
まあでもそれは表面上のことであって解決しない問題は残っているんですけど、それとセックスは別問題っていう。それをちゃんと描いていてこれが本当の姿なのかなって思いましたね。
アンディが辞めた理由
そのあと物語は進行し、エミリーが事故に遭い、アンディがミランダのパリ出張に同行することになります。このポジション変更をアンディからエミリーに告知しないといけないのが辛いとかっていうシーンもあったんですけど、あの辺はぼくからすると普通で淡々と流れていって映画は最後まで終わっていきました。
が、車の中でアンディがミランダから褒められるシーンがあるんです。
ここに来るまでにミランダは 「ランウェイ」 の編集長を辞めさせられそうになり、それを食い止めるためにいくつか強引な手段をとっていました。このことを、アンディは「酷い」と言います。それに対して、ミランダは「あなたもいろんなことを選んできたじゃない」と言います。
ここで、アンディは「仕方がなかった」と返すんです。これまでも何回もアンディは「仕方がなかった」という言葉を使うシーンがありました。さらに、ミランダは「仕方がなかったというのも、選んだっていうことでしょう?」と返すわけです。
これはめっちゃ理に叶っているなって思っていて、仕方がなかったっていうのは感情論、選んできたっていうのは結果論。結局、決断するときにどんな意見が入っているのか、自分が決めたことなのか、相手が決めたことなのかは分からないけど、その道を選んで歩んできているってことは間違いない。
このシーンではなにかしら決断をしてその道を歩んできたんだなって気付かせてくれました。そして最後、アンディは携帯を噴水のなかに投げ捨てて仕事を辞めていくわけですけど。
これ、ぼくはアンディは褒められたから辞めたんだと思っています。
「あなたと私って似ているわね」って話をミランダがしたんですね。ここでアンディが褒められていなくて、ミランダがこれまで通り怖い存在でいたら、たぶんその後もアンディは自分でなにも考えることもなく、ひたすら仕事を、ミランダの言う通りのことをやっていた毎日だったと思うんですよ。
これまではミランダが離婚しなくちゃいけなくなったときに、アンディが「私になにかできますか?」って聞いても「JOB!」「仕事しろ」って言われたんですけど、その関係性が最後、車のなかで一瞬崩れたんですよ。
これが「マイ・インターン」だったら、もっと仲良くなって仕事をしていけるんですけど。これは『プラダを着た悪魔』であって、ミランダという人間は仕事というものしか選ばない。
この物語の最後でいうと、アンディがミランダの下にいることが幸せだったのかっていうとぼくはそうとは限らないと思いました。なので辞めるっていう道を選んで良かったんじゃないかなって。
正直、一流編集長に上がっていくストーリーとか、こっからキャリアウーマン化していくストーリーもあるんだろうなって思うんですけど、最後にネイトと2人のところに落ち着いちゃったなみたいな感覚もあります。でも、それが悪いことじゃないなとも思っています。
話を戻すと、恐怖で縛ってとにかく言うことを聞かせてきたミランダがアンディを認めて褒めたから、だから本人に自我が生まれて辞めるっていう道を選んだんだろうなって、そういうことを感じました。でもそのあとアンディが次の就職先が決まる過程はぼくのなかでは結構普通でした。
このあと、また2人は偶然再会します。
車に乗ろうとするミランダと、道路を歩いて横切ろうとするアンディ。そこではもう上司と部下の関係ではないのでアンディは軽く手を振るんですね。そして手を振り返さないミランダ。ここが好きでした。
ぼくも運転手の方がいるんですが、いつもとは違う気になることがあると進まないで待っていてくれるんですね。消えていくアンディを見たミランダは運転手に向かってなにしてるの?って感じで、 "GO" って言うんですよね。
ここですぐには進まなかった運転手の方の気持ちも分かるし、ぼくはこの "GO" は誰に対しての "GO" なのかっていうのがポイントだと思いました。
運転手に向けたのか、ミランダ自身に対してなのか、アンディに向けた "GO" なのかっていう。これは意味がある "GO" だとぼくは捉えました。
作業と仕事
この映画を観終わったあとに、たまたま秘書にSlackとかしていたんですけど俺はちょっと仕事の仕方を変えようかなって思いましたね。この話はnoteに書こうとしてやめたんですけど、「作業と仕事」みたいなことも同じ構造だと思います。
例えば、ぼくらが提案書を作るのって作業なわけですよね。一方で、ミランダがやっていることって意思決定の数々だと思うんですよ。「この表紙がイケてる」「このドレスがイケてる」「イケてない」とか。
ミランダみたいに本来は必要な人が必要なことをやるべきだと思うんですよね。ぼくが好きだから提案書を作るとかそういうことじゃなくって。だから、ぼくは意思決定をしないといけないんだなって再確認をしました。
具体的には意思決定をする数を増やさないといけない、そのためには多少のことには構わない。とにかくその1点で勝負をするっていうことだけに、もっと研ぎ澄ましていかないといけない。
だから多少のことというか、自分がしていきたいことがあったとしても人に振っていくとか、人を頼るとか。まあさすがにぼくもミランダみたいに、それはできなくてもしゃあないぐらいに非道にはなれないんですけど(笑)。
ただ、やっぱり任せないってことじゃなくて、もっと任せてみて自分しかできないことをしていかないといけないなって再確認しました。
なんか、当日観ているからか、脳味噌が生き生きしていますね(笑)。
今日はこんなところで!
最近見てる映画はあたりってかんじですね。それではまた明日!
最後に。(やっぱり毎回言おうと思います)
読んで頂きありがとうございます!そして読んだということで「ハート」をポチってください。人間リアクションは大切です。
あと(追加!)、人生相談というnoteを書きました。ちゃんと回答していきたいと思うのでぜひあれば書き込んでみてください。
またnote内にサークルがあります。こちらもよければ。
良いと思ったらサポートお願いします。嬉しいので。 もちろんちゃんと返信させて頂きます。